「伝わるパワポ資料」の作り方をパワポ芸人・トヨマネさんが解説する本連載。今回は、メッセージをデザインに落とし込みます。デザインを作るときに意識してほしい「3つの極意」を紹介していただきます。
極意1:記号を選ぶ
メッセージをスライド上に表現することは、「意味」を「記号」に変換していく作業です。さまざまな種類の記号のなかから何をスライド上に配置すれば適切にメッセージを表現できるのか、を選ぶことは非常に重要です。
最も使いやすい記号は「文字」。文字は小さな面積で多くの情報を伝えられる反面、「ビジュアルではない」弱点があります。意味を受け取るには「読む」作業が必要になるのです。
スライドの強みはビジュアルですから、短時間で内容を理解してもらうためにも「いかに文字を使わずにメッセージをビジュアルで表現するか」が重要なポイントになります。
極意2:ノイズを減らす
2つ目に紹介する極意は「ノイズを減らす」です。メッセージを伝えるために必要ない記号はスライド上に載せないことが重要です。
なぜなら、たくさんの情報のなかから重要な情報を選別することは、非常に負荷が高い作業だからです。
例えば、色とりどりの数字が50個ほど散りばめられた紙を想像してみてください。そのなかに「3」がいくつあるか数えようとしたら、時間がかかりますよね。
では、注目してほしい「3」以外の数字を薄いグレーにしてみたら、どうでしょうか。ほんの数秒で数えられると思います。
せっかく分かりやすいメッセージを作っても、まわりにゴチャゴチャとしたノイズがあってはメッセージが頭に入ってきません。瞬時に伝わるスライドを作るためには、このノイズを減らすことが重要なのです。
極意3:先人に学ぶ
「少しのことにも、先達はあらまほしきことなり」とは、兼好法師の『徒然草』に出てくる言葉。ちょっとしたことでも、経験者のアドバイスがもらいたいものだ、という意味です。
スライドのデザインを考えるときも、ひとりで「ああでもない、こうでもない」といじくり回すのではなく、まずは「先達」のまねをしてみましょう。
あなたの周りにも、資料作りの名人がきっと1人や2人いるのではないでしょうか。あるいはGoogleで検索してみれば、自分で悩み抜いて作るよりもずっといいデザインが、たくさん見つかります。
そんな先達のなかでも、私がおすすめするのは「決算資料」です。実際のビジネスの場で使われているだけに、実用的なデザインの宝庫です。SMBCグループやWantedly、Gunosyなどの決算資料をぜひ一度見てみてください。
PROFILE 豊間根青地さん
パワポ芸人。1994年東京生まれ。飲料メーカーで通販事業のCRMや広告などを担当する傍ら、趣味のPowerPointで作成したスライドがTwitterで大きな反響を呼ぶ。アカウント(@toyomane)は1年間で5万人以上のフォロワーを集める。「くだらないけど、ためになる」をモットーに、スライド作成のノウハウや、あまり役立たないネタ画像などを各種SNSで発信中。
取材・文/出雲井亨 資料提供/豊間根青地