親としては、子供にはいつも前向きで意欲的にものごとに取り組んで欲しいですよね。
しかし実際は「やりなさい」と言われたらやるものの、新しいことを自分から始めるわけでもないし、わが子が無気力に思えてしまう…という人もいるのではないでしょうか。
今回は子供が無気力に見える時の心理や原因、なにか親として対処すべきなのかを考えてみました。
「無気力」は古今東西問題視されている?
年配の人と話していて「最近の子は意欲がない」「ハングリー精神がない」などと言われた経験はないでしょうか。
モノが豊かになり、調べ物や人との交流までなんでもスマホで事たりる現代社会では、子供の生きる力が失われてしまう…そんな風に感じて心配になるかもしれません。
しかし、「最近の若者は無気力だ」というのは、実は50年近くも前から、国内外を問わずたびたび言われていることなんです。
1970年頃には「三無主義(無気力・無関心・無責任)」や「しらけ世代」といった言葉が流行しました。
また2021年の中国では、「インターネット10大流行語」として、受験や就職・出世の競争に疲れた若者世代の無気力さを表す「トウ平(寝そべり)主義」が選ばれています。
子供が無気力に見えてしまうとき
一般的には、小学校低学年くらいまでは活発な子とおとなしい子の個人差はあれど、あまり「無気力」と感じることは少ないと思います。
ママやパパが「うちの子、ちょっと無気力では」と感じ始めるのは、小学校3~4年生頃から始まり、高学年や中学生の思春期にかけてが多いのではないでしょうか。
特に勉強に対してやる気がないように見えると、小学生なら「この先中学校でついていけるの?」中学生なら「高校受験を控えているのに大丈夫?」と心配になるかもしれません。
子供にやる気がないとき、無気力に見えるときの心理には次のようなものが考えられます。
勉強だけが苦手、嫌い
友達と遊ぶときや部活は元気なのに、授業中・塾での態度やテスト前の様子を親から見ると、そっぽを向いたり机につっぷしたりとまったくやる気がないと感じられることがあります。
特定の科目や勉強全体に苦手意識があっても「嫌い」「わからない」とも言えず、思春期のホルモンバランスの変化などからイライラしたり、後ろ向きな態度を取ってしまったりすることも。
忙しくて疲れている
週にいくつも習い事と塾に通い週末はスポ少、中学生なら部活もあって、今の子供たちは昔よりずっと忙しくしています。
勉強がもともと好きな子はそれでも前向きに取り組むかもしれませんが、「好きではないけどがんばらないといけない」という子にとっては、疲れた状態で机に向かってもなかなかやる気が出ないでしょう。
大人でも、仕事と家事を終えてから職場で命じられた資格の勉強をしないといけないとすれば、目を輝かせて取り組むのは難しいと思うので、子供の心情も想像はつきますよね。
叱りすぎ
何かにチャレンジしても、失敗すれば叱られる…という経験を積み重ねていると、子供はいつしか「何もしなければ叱られない」と考えるようになってしまうかもしれません。
過干渉
小さい時から本人が決めるべき事柄にまで親が介入し思い通りにコントロールしていると、子供は「自分にできることなんてないんだ」という自己認識を持ち、いざ自力で取り組むべき時に何も決められない・決めようとしなくなる可能性があります。
心配事がある
学校のクラス、部活、友達関係、家庭など日頃密接な関係のある場で、直接自分に関わるトラブルや、身近な人同士がもめていると、その影響で子供自身のことに身が入らないことも。
家庭内の問題であれば、できるだけ解決に努め、子供にネガティブな場面を見せないようにする必要があります。
学校でのトラブルは、信頼できる先生やママ友などにも状況を聞き、対処が必要なら学校へ早めに相談を。
無気力な子への対処方法はなにかある?
上記のようなはっきりとした原因が分かれば、それを取り除くことで、子供は安心して少しずつ前向きな気持ちになれるかもしれません。
また、叱るときは子供のやったことや言い分を完全否定すると子供は無力感を抱いてしまうので、「あなたの気持ちは分かるけど、この行動は良くないんだよ」というスタンスで伝えるのがおすすめです。
すでに自己肯定感が下がってしまい、「どうせ自分には何の価値もないからがんばる気もしない」という状態であれば、まずは日々の生活で笑顔で接し、何かしてくれたときに「ありがとう」と口に出して感謝するのはもちろん、何もしなくても「あなたがいてくれて嬉しいよ」と言うメッセージを根気よく伝えてみて下さい。
それですぐにやる気満点になることはないかもしれませんが、きっと少しずつ、子供の中に気力が溜まっていくのではないでしょうか。
おわりに
「子供なんだから、前向きでやる気にあふれているはずなのに…」と思う人も多いと思いますが、子供だって人間。外部の要因や本人の状態により無気力になってしまうことも決して珍しくありません。
無気力を責めるのではなく、そうなってしまう要因がないかな?と見回して改善したり、安心してチャレンジできる環境を作ったりしていけると良いですね。
文/高谷みえこ