生理が始まったばかりの子どもが、慣れない生理で不安になっていたら、親としては何かフォローをしてあげたいところ。

 

でも親に初潮があったのはずいぶん前。経験に基づいたアドバイスは必ずしも適切ではないかもしれません。

 

生理用品の選び方や処理の仕方、子どもの生理との向き合い方について、産婦人科医の高橋怜奈先生に伺いました。

ナプキンの交換頻度は自分基準で

多くのお子さんが生理用品としてナプキンを選ぶと思いますが、そのときに意外と教えていないのが、交換頻度です。

 

「経血の量が多い日」は23時間に1度などとされることが多いのですが、時間はあくまで目安にすぎません。経血量がとても多い日は、1時間に1度交換しても間に合わないこともあり、ケースバイケースです。時間で区切るというよりは、不快になったら交換するように教えてあげてください。

 

「経血の量が少ない日」に多い日用のナプキンを使用していると、汚れていないからと長時間使用することがありますが、蒸れる原因になります。経血量に合わせたナプキンを選び、不衛生にならないようアドバイスしてあげましょう。

 

最初のうちは汚してしまうこともあるかもしれません。今は使い捨てのショーツ型ナプキンが、5枚入り500円前後で販売されるなど、便利な生理用品が充実しています。

 

お子さんの生理に合わせて、親も生理用品の知識がアップデートできたら素敵ですね。

生理のときの股の拭き方

排尿時にはトイレットペーパーをやわらかく折りたたみ、経血とともにやさしく押し当てて吸い取るようにしましょう。とくに尿の拭き残しがあると、炎症やにおいの原因になるため、しっかり吸い取るように教えてあげてください。

 

ごしごし拭く必要はありません。強くこすりすぎると、外陰部に炎症を起こしてしまいます。これは生理のときに限らず常に心がけて欲しいこと。初潮をきっかけに改めて伝えてもらえればと思います。

生理をポジティブに捉える必要はない

初潮は、妊娠・出産に備えて体の準備ができたということを意味します。また、生理による女性ホルモンは、病気になりにくい、骨が強くなる、肌の潤いが保たれるなどの効果があります。

 

お子さんが「お腹が痛くなりそう」「毎月、出血があるのは面倒」と不安になっていたら、体がしっかり成長している証拠だと教えてあげてください。

 

一方で、無理にポジティブに捉える必要はないと思います。やはり、生理が毎月繰り返されることは、体にとって大きな負担です。まして生理痛がひどい場合は、つらいもの。

 

また、生理には、子宮内膜症などの婦人科系の病気を進行させるリスクがあります。生理による不調は軽視せずに、親子でオープンに話せる関係をつくっておくことが大切です。

親子でかかりつけの産婦人科を見つけて

親子で生理についてオープンに話す延長にあるのが、親子でかかりつけの婦人科をもつことだと思います。

 

「出産以来、婦人科には行っていない」という方は、まずはご自身のかかりつけの婦人科を見つけてください。妊娠に関わることだけでなく、女性のライフステージに応じた不調をサポートできるのが婦人科です。生理前にニキビができる、イライラしてしまうなどの不調でも相談できます。

 

かかりつけの婦人科があれば、お子さんの体で心配なことがあっても、すぐに相談できますよね。

 

私のところでも「今度、子どもを連れてきていいですか」とおっしゃって、お子さんの受診に至るケースがあります。親が馴染みのある医師なら、ちょっとしたことでも安心して相談できるのではないでしょうか。

 

お子さんに初潮がきたら、親子の体のメンテナンスを視野に、婦人科にかかることを検討してみてください。皆さんにもっと気軽に婦人科を受診してもらいたいと思っています。

 

 

PROFILE 高橋怜奈(たかはし・れな)さん

2009年東邦大学医学部卒業。産婦人科専門医、医学博士。東邦大学医療センター大橋病院産婦人科勤務、四ツ谷レディスクリニック非常勤医師スタッフ。「産婦人科医You Tuber」としても活躍。監修に『おとなも子どもも知っておきたい新常識 生理のはなし』(主婦と生活社刊)がある。

取材・文/樋口由夏