新型コロナウイルスの影響により激動の一年となった昨年、
社会全体で最もフォーカスされているキーワードといえば「サスティナブル(=持続可能な)」。化粧品業界でも、パッケージや原料を環境に負荷をかけないものに変えるなど、社会的に持続可能な取り組みを行うムーブメントが起きています。

 

そんな背景を踏まえ、今注目のブランドとその取り組みについてご紹介します。

 

今回取り上げるのは、日本でも大人気のイギリス発ブランド「ラッシュ」。カラフルな製品づくりに秘められたサスティナブルな思いとは?

25年前からサスティナブルを意識していたシャンプーバー

英国発のナチュラルコスメブランドとして、抜群の知名度を誇る「ラッシュ」。充実したヘアケア商品のなかでもとくに根強い人気を誇るのが、固形シャンプー(シャンプーバー)です。

 

このプロダクトは25年以上前に創立者によって開発されました。25年たった今もなお、世界中で愛され続けているシャンプーバーが、ここにきてまた注目を集めているのは、サスティナブルな商品を選択する人が増えているという背景も手伝っています。

シャンプーバーの使用シーン
製品の表面には、国際的に活動する動物福祉団体「ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル」が世界中で展開するキャンペーンの「#BeCrueltyFree」が明記されている

「ラッシュ」の製品は、新鮮な野菜や果物を使った100%ベジタリアン対応で、約9割の商品がヴィーガン対応という徹底ぶり。エッセンシャルオイルをふんだんに使用し、動物実験をせず、可能な限り合成保存料に頼らない処方で開発。原材料の新鮮さ、本質的な意味においてオーガニックであることに価値をおいています。

 

また、エシカル憲章として、「動物実験反対」「100%ベジタリアン」「納税ポリシー」「キャンペーンカンパニーであること」「公平な給与」「All are welcome.Always」「透明性と外部監査」などの9つの項目を掲げ、他者や地域社会、自然環境などを思いやる精神を大切にしています。

イギリスで開発し“日本のキッチン”で製造

ロングセラー商品として愛されており、英国では特許を取得しているシャンプーバー。シャンプーバーは10種類のラインナップで、キューティクルを引き締め髪に輝きを与えるレモンや肌を清潔に保つオレンジ、潤いを与えるハチミツやオリーブなど、新鮮な原材料を使い、神奈川県の製造工場で、ハンドメイドで製造されています。

 

特徴としては、固形で水分を含まないため合成保存料フリーであることと、泡だけで髪と頭皮を洗うことができるので、頭皮への負担が少なく済むこと。液体シャンプーと比較すると1回分の使用料を調整しやすいという利点があるうえ、ジムや旅行など持ち運びにも便利です。

 

今回はそのなかから、クルエルティフリーを印字した「ニュー シャンプーバー」をピックアップ。すっきりとした洗い上がりが特徴です。

ラッシュ シャンプーバー・コルクポット
ニュー シャンプーバー1250円 コルク ポット1300円(すべて税込)

あわせてご紹介したいのが、シャンプーバーを収納するための「コルク ポット」。ポルトガル南部で栽培されたコルクガシの樹皮から作った100%自然由来の生分解性容器です。

 

サスティナブルかつリジェネラテイブ(再生可能な)素材であるコルクは、木から樹皮のみをはいで収穫します。再び収穫できるのは9年後。循環収穫システムは木に害を与えません。コルクは水分を逃し、乾くのが早いというメリットもあります。

シャンプーバーを使っているところ
泡立ちがよく、ラッシュ独特の爽やかな香りが心地いい

使用方法は、濡らした髪へ適量を直接もしくは手で泡立ててからなじませてシャンプーし、洗い流すだけ。爽快な使い心地で、髪と頭皮を健康に整えます。

環境と消費者に配慮した「ネイキッド(裸)アイテム」でゴミを削減

人権、環境への関心が深い「ラッシュ」。今回ご紹介したシャンプーバーもコルク ポットもどちらもサスティナブルを意識した製品です。

製品に使用しているコルク
コルクポットに使用されている原材料
100%自然由来の生分解性容器で、リジェネラティブ(再生可能)な原材料コルクを使ったコルク ポットは、1個当たりのライフサイクル全体で約1.2キログラムCO2を吸収します。

 

シャンプーバーは完全パッケージフリーで、ボトルのゴミを削減し、また固形にするため製造時の水使用量をも削減しています。合成保存料、パラベン不使用な点やシャンプーバー1個分が、液体状の250mlのシャンプー3本の量となるので、サスティナブルな面はもちろん、コストパフォーマンスも申し分ありません。

 

「ラッシュ」ではゴミになるだけの無駄なプラスチック包装を必要としない、裸(ネイキッド)の状態で販売を可能とするイノベーティブな開発を信念としています。「パッケージにかかるコストは、肌に効果的かつ高品質な原材料に使いたい」という考えのもと、環境とカスタマー双方に配慮した商品開発を体現しているのです。

文/久保直子 撮影(静物)/清永 洋