祖父母・親・子の三世代が同居する世帯は、40年ほど前は約半数に上っていたのが、最近の統計では全体の10%程度まで減少し、今や少数派となってしまいました。
同居の子育てにはもちろんメリットもありますが、親子だけの生活とは質の違うストレスも数多くあります。
そこで今回は、現在夫の両親と同居しながら子育てをしているママに、ストレスの解消法や事前に手を打ってストレスのもとを回避する方法を聞いてみました。
まずはストレスをためない環境作り
小学5年生と2年生のお子さんがいるYさんは、ストレスをためない方法として
「義両親の持ち家に同居しているので住宅費がほとんどかからず、家計に多少余裕はありますが、子供たちの手が離れたらパートには絶対に出たいと思っていて、下の子が小学校入学時に働きに出始めました。日中、義父母と私だけ…というのはやっぱり気詰まりなので」
と、仕事に出ることで適度な距離を保っているといいます。
3歳のお子さんがいるUさんは、結婚前、夫の生家が古くなってきているので建て替えするときには二世帯同居を前提にと義父母から言われていたとのこと。
「家の設計を決めるとき、私はWEBデザイン系の仕事をしていたので、小さくても仕事用のスペースを作ってもらうようがんばって交渉しました。結果、3畳くらいですがドアの閉まる仕事場を確保でき、仕事に集中したり、子供とその部屋でおしゃべりしたり絵本を読むなど、義父母の目を気にせず過ごせる時間が作れています。」
と、先を予測して、プライベート空間を確保したそうです。
職場の先輩女性から「家事は、しっかり分担した方がいい」と同居のコツを事前に聞いていたJさん。
「できるときにできる人がやる形式だと、もし義両親がズボラな人なら全部自分が引き受けてストレスがたまるし、向こうがきっちりしていると小言を言われがち。やり方も人によって違うので、分担が一番だよというアドバイスを聞き、勇気を出して提案しました」
分担がはっきりしていると、夫に対しても「今日はこれとこれが残っているから一緒にやろう」と伝えやすいのだそうです。
相手は変わらないから…発想と行動を変えてみた
長年続けてきた自分流・わが家流の暮らしはなかなか簡単に変えられないもの。
それならと、発想や行動を変えてしまうことでストレスを軽減できた人もいます。
「義父母はいろいろとこだわりがあり、年中行事から外食のお店、しょうゆのメーカーまで指定が細かいので、最初は戸惑い、なんでもいいのに…とイライラしたのですが、途中からあきらめました!そのかわり、これじゃないと…と言われたものについては、お金は出してもらっています」
と話すWさん(4歳児のママ)。
共通の買い物や行き先などは割り切って義父母に合わせ、夫婦と子供だけで使うものや出かける先はしっかり自分たちの好みを取り入れているそうです。
生活面の同居ストレスも積み重なれば大きいですが、それよりさらに気になるのが「育児」にかかわるものではないでしょうか。
「いくら泣いてもダメなものはダメと毅然と教えたいのに、孫の泣き声に辛抱たまらず、まあまあ、もういいよね?と割り込んでくる義母。おかげでこらえ性のない子に育ってしまうのではないかと気になって…」
と心配だったというNさん(3歳児のママ)。
「でも、核家族で一人っ子のママと話したとき、彼女は彼女で、子供をいろんな大人と触れ合わせたいけどできないことに悩んでいると知りました。少し甘やかされたとしても、子供が多様な価値観を得るのは何倍ものメリットだと」
そう発想を転換してから、Nさんはイライラがかなり減ったそうです。
それでもストレスがたまったら、発散しかない!
最後に、同居のママだけでなくみんなに通用しそうなストレス発散方法を聞いてみました。
「ママ友や友人に愚痴る!同居ストレス発散はこれが最強です。夫が相手では、実の親を否定されたように感じて嫌な顔をされたり、逆に解決を急ぐあまり言わなくていいことまで伝えてしまったりするので」(Sさん・1年生と5歳児と2歳児のママ)
また、コロナ禍で対面で友人と話す機会が減ってしまった2020年頃からは、SNSで同じ境遇の人とつながることで共感し慰められる…という人も増えました。
「私の友人や親戚で同居の人がまったくいないので、夫も同居に踏み切ったことに感謝してくれてはいます。かわりと言ってはなんですが、わりと気軽に1人で出かけるようにしています。普通に買い物するだけでも1人ならストレス発散になるし、新しい雑貨屋さんがオープンしていたら子供が迷惑かも…と気にせずフラッと入れます。生まれた時からじいじとばあばに囲まれているため、息子も私がいなくても気にしないし、ワンオペの友人からそこはよくうらやましがられます」(Aさん・1歳児のママ)
おわりに
東日本大震災の後「親、子などとの同居・隣居・近居」の割合はぐっと増えたといいます。
コロナ後の社会も、経済的な理由だけでなく、もしものときの安心安全を考えて同居を希望する人が増えるかもしれません。
同居でもそれ以外でも育児にはある程度のストレスはつきものですが、もしも同居が決まったら、ぜひ今回の体験談やアドバイスも参考にしてみて下さいね。
文/高谷みえこ
参考/3 家族と世帯|令和元年版高齢社会白書(全体版) - 内閣府 https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2019/html/zenbun/s1_1_3.html