話し合えず、互いに向き合えなかったことで離婚した夫婦がいます。しかし、5年後。その夫婦は同じ相手と再婚。2回目の結婚生活は、初婚時とくらべ、どのように変化したのでしょうか。元夫と新たな関係を築いた325さんに、離婚・再婚によって得たこと、学んだことを聞きました。
再婚後「いい妻」はやめて、素の自分をさらけ出した
4年間の結婚生活ののち、離婚したのは子どもが3歳の頃でした。その後、約5年の離婚期間を経て、元夫と再婚。現在は再婚して約4年が経ち、今年、子どもは小学校卒業を迎えます。離婚してから、325さんの気持ちには大きな変化がありました。
「以前は、夫から“いい人だと思ってもらいたい”気持ちが強かったのですが、そういう人目を気にするのはやめました。パートナーの評価に振り回されてもしんどいだけ。もっと自分の気持ちを大切にして、ありのままでいようと思いましたね」
これまでは夫の目を気にして、ガマンばかり。それが、再婚後はお互いの思いを伝えるよう努力しています。夫も以前は「妻は自分と同じ気持ちでいるはず」と思い込み、325さんの意思をないがしろにしがちでした。でも、離婚を機に視野が広がり、しっかり向き合ってくれるようになりました。
「義理の実家に行く頻度も減らして、夫と一緒につねに行動するのもやめました。いわゆる“いい妻・嫁”を終わりにしたんですよね。夫も、“夫婦でも違う考えを持っていることもある”と気づいたようで話し合う機会が増えました」
「夫が変わった」家事や育児も協力し合える関係に
初婚の時は共働きだったにも関わらず、家事も育児もすべて325さんが担当。精神的に追い詰められた325さんは離婚を決意しますが、子どもの生活環境を変えたくない思いもあり、離婚後も夫と同居を続けました。
離婚直後から転職し、多忙になった325さんに代わり、現在は夫が率先して家事を担当しています。
「今、夫はゴミ出しから、冷蔵庫の中身や生活用品の在庫チェックや買い物までを担当。掃除、洗濯、食事の支度は手の空いているほうがしています。夫が家事に率先することで、私の自由な時間も増えました」
夫が積極的に取り組むようになったのは、家事だけではありません。以前は「子どものことは母親が全部するもの」と勝手に決めつけていたのが、「育児は夫婦ふたりで行うもの」と意識が芽生えたようです。
「昔は参観日にも行こうとしませんでした。でも、ある時“この子の親は私だけじゃないんだよ。あなたも親なんだからね!”とビシッと言ったら、目が覚めたようです。それ以来、参観日、個人面談など、夫は積極的になりました」
元夫と再婚してよかったか?まだわかりません
一度離婚したことで、325さん夫婦は話し合いの大切さを学びました。どちらかがガマンしたり、意見を押し通したりするのではなく、ふだんから向き合い、相手の気持ちを尊重することを意識しています。
「夫婦間はもちろんですが、私たちは子どもも含めて家族です。だから、何か話し合う必要がある時は、子どもにも同席してもらい、家族の問題として共有するようにしています。一人ひとりが勝手に行動するのではなく、家族全員で答えを出し、一緒に歩んでいこうと思っています」
さまざまな葛藤を経て、以前とは異なる新しい家族の形を築きつつある325さん一家。けれど、325さん自身は「再婚してよかったか?」と問われると、まだ明確な答えは出せずにいます。
「正直なところ、今でもときどき“離婚したままでいたほうがよかったかな”と思うことはあります。結婚記念日に私は夫にプレゼントを用意したのに、夫からは“忙しくてそれどころじゃなかった”と言われ、“私の存在ってその程度なの?”と、カチンときたことも」
夫婦とはいえ、もともとは他人同士。一緒に暮らしていると、時にはすれ違いや、ケンカになる場合もあります。それでも“再婚して正解だった”と胸を張って言えるよう、努力する毎日です。
「一度は離婚したにも関わらず、夫とは縁があって再婚しました。これから時間をかけ、改めて愛情を育んでいきたいです。夫婦としても、家族としても、思いやりの気持ちを忘れずに支え合い、信頼し合い、何事も共有して生きていきたいですね」
文/齋田多恵 ※画像はイメージです
※上記は、325さん個人の経験談・感想です。