夫婦不和のイメージ

19歳年上の夫と結婚した女性がいます。4年で離婚し、その5年後に元夫と再婚したアラフォー会社員の325さん。離婚中も元夫と子どもの3人で一緒に暮らし続けました。一見、理解できない離婚後の同居、そして再婚。彼女の激動の経緯を聞きしました。

最初から「この人と結婚する!」と直感

当時20代だった325さんと、将来の夫となる19歳年上の彼との出会いは職場でした。転職した会社に、彼がベテラン社員として在籍していたのです。

 

「彼はとてもマジメな人でした。ウソをつかない誠実さや、ギャンブルをしない堅実さに好感を抱くようになりました。最初からこの人と結婚するかもしれないと予感のようなものはありましたね」

 

コーヒーを飲もうとデートに誘われたのがきっかけで交際を開始。一緒にいると楽しく、退屈しませんでした。彼の友人家族に会った際、彼が子どもを抱っこしている姿を見てこの人が自分との子どもを抱く姿を見たいな…”と感じることも。

 

「まわりの友達に、10歳以上年上と結婚している人が多かったこともあり、年齢差は最初から気になりませんでした。彼自身、見た目がすごく若かったんです。しかも彼は自分の家族をとても大切にしていました。結婚したら、私のことも大事にしてくれるだろうとも思っていました」

 

付き合って約11か月で入籍。振り返ってみれば、交際期間が比較的短かったこともあり、お互いのことをよく知らないまま結婚に至ったと感じるそうです。

 

「結婚生活はそれなりに楽しかったのですが、夫は人の気持ちに鈍感な部分があり、私とは物事のとらえ方が異なりました。たとえば、気になることを話し合おうとしても、夫は冗談だと思いこみ、笑い飛ばすだけ。いつも軽く流されてしまいます。思いを受け止めてもらえない寂しさがありました」

気持ちが通じ合わない生活に疲れ、4年で離婚

彼はバツイチ。「前の奥さんよりいい妻だと思われたい」と、325さんは気負っていました。共働きにもかかわらず、家事はすべて325さんが担当。作り置きはせず、どんなに忙しくても毎日料理して、夫には2日続けて同じメニューを出したことがありませんでした。

 

「夫の実家にも気をつかっていましたね。誕生日や母の日、お正月などのイベントでは必ずプレゼントを用意して訪問。義母から、どんなにきつい嫌味を言われても黙ってニコニコしていました」

 

19歳年上の夫と前妻の間に生まれた子どもは成人していましたが、その前妻との子どもの結婚式に参加させられたことも。前妻と直接顔を合わせなくてはいけなかったのは、精神的なダメージが大きなできごとでした。夫は、325さんが前妻と会うのが苦痛だと思い至らなかったようです。

 

結婚してから知ることも少なくありませんでした。実は、夫は束縛が激しいタイプ。友達と遊びに行けば、「何時に帰ってくる?」と何度も電話。新しい洋服を買えば「どこに着ていくつもり?」と詮索。何をしてもこまかく口を出され、自由がありませんでした。

 

それでも325さんは、夫の前では人の悪口も言わず、お金も散財せず、「いい妻」としてつつましく暮らしていました。

 

妊娠し、出産1か月前まで夫と同じ職場で働いたものの退職。夫が家計管理をしていたので、専業主婦になってからは、自由に使えるお金がありませんでした。そのため、産後1年ほどで別の職場に再就職しました。

 

「しばらくしてふたり目を妊娠しました。でも、前妻との間にふたりの子どもがいる夫は、私との子どもはひとりでいいと思っていたようです。それも結婚前は伝えられませんでした。結局、初期流産してしまったのですが、そのとき初めてふたり目はあきらめてほしいと言われ、ショックでした」

 

育児疲れや流産、夫、義実家へのストレスに加え、新しい職場の環境が合いませんでした。メンタルダメージにより、首の骨が曲がってしまうほど。それなのに仕事を辞めたいと伝えても、夫の返事はNO。しんどいことを訴えても耳を傾けてくれません。

 

「毎日つらくて切羽詰まっていたのに、夫はまともに話も聞いてくれません。意思が尊重されないことにも、夫の考えがわからないことにも嫌気がさしてしまいました。離婚したのは子どもが3歳になった頃です。仕事も転職しました」

離婚後も同居生活をしていくと気持ちも変化し

ところが、325さんは離婚後も元夫とは一緒に暮らし続けました。大きな理由は、子どもの暮らす環境を変えたくなかったためです。自身の親が転勤族だったため、325さんは幼少時から引っ越しや転校が多く、苦労した記憶が。子どもに同じ大変さを味わせたくありませんでした。

 

「それに、離婚後に転職した職場が激務で、子どもを元夫に預けざるを得なくなった事情もありました。元夫は、結婚しているときは何もしなかった人なのに、離婚後は人が変わったように家事も育児も率先してくれて。束縛もなくなりました」

 

元夫からすると、妻としての325さんには何の不満もなかったそうです。それにも関わらず離婚に至ったのがショックで、自分の行動や考えを改めるようになっていました。すっかり丸くなった元夫の姿を見て、次第に325さんの気持ちも変わっていきました。

 

「いちばんの変化は話し合いが増えたことです。家事や子どもの面倒も見てくれるし、彼なりに歩み寄ろうとしているのが伝わりました。離婚後は、なんでも話せる親友みたいな関係になりました。結婚前、まったく私の気持ちをかえりみてくれなかったのがウソのようでした」

 

また、325さんは生まれつきひざが悪く、3回手術しました。そのたびに元夫は付き添い、まめにお見舞いにも来てくれました。家の中でも過ごしやすいよう気を配るように。細やかな配慮をしてくれる姿を見て、「もう一度やり直してみよう」と決意。

 

325さんから再婚を提案したのは離婚から約5年後のことでした。夫も快諾。一度は離婚したものの、その経験を乗り越え、ふたりはふたたび夫婦として歩み始めることになったのです。

文/齋田多恵 
※上記は、325さん個人の経験談・感想です。画像はイメージです。