年末年始は、これまで目を向けていなかった家のなかの汚れが気になるもの。特に毎日使うキッチンは、掃除はしていても片づけとなるとなかなか難しい!洗った食器や使った調味料をつい出しっぱなしにしてしまうことも…。

 

そこで、スタイリストとして身につけたセンスを生かした片づけ術を提案する、整理収納アドバイザーの奥住えみさんに、年末に短期集中でできる「キッチンの整理テク」を聞きました。

1.キッチンの収納、場所別に中身をすべて出す

一般的なシステムキッチンには、シンクの下、ガス台の下、システムキッチンの上の棚など、いろいろな収納スペースがあります。

 

確実に整理収納を行うためにまず大切なのは、収納庫内のモノを全部出してみること。片づけの際に「モノを全部出す」ことは、キッチンだけでなくどの場所にも共通の必須事項です。

 

とはいえ、全部一気に中身を出すと、どこに何をしまっていたかわからなくなり、モノが紛失しがち。吊り戸棚、食器棚の上半分、シンク下の引き出し3つ分、という具合に、今すぐ片づけが必要と判断したところだけやってみましょう。1か所ずつ着実に片づけていくことで、小さな成功体験が得られます。

2.出したモノを自分でルールを決めて仕分け

中身を全部出したら、自分で簡単なルールを決めて、仕分けていきます。複雑に考えず、使うモノは右側、使わないモノは左側、という具合に。迷わず直感でサクサク進めていきましょう。

 

仕分けたら「使わないモノは処分する」という考え方で整理します。1年間使わなかったモノは処分を検討するようにしてください。きれいな食器や鍋など、まだ使えそうなモノはフリーマーケットやリサイクルショップに持ち込んだり、フリマサイトに出品する手もあります。

整理する前の吊り戸棚
整理する前の吊り戸棚

ちなみに、もともと使用頻度が低い「たこ焼き器」や「かき氷機」といった季節アイテムは、1年間使っていなかったとしても、今後も使う可能性があるなら取っておいてかまいません。逆に、紙コップや使い捨てのお弁当ケースなど、運動会や花見用に買った100円ショップの商品は、かさばるので思いきって処分することをおすすめします。

「なくても生活が成り立つモノ」はなるべく減らして

たとえば、洗った食器を置くための水きりかご。狭いシンクまわりでかなり場所を取るので、片づけという観点からみると個人的には不要だと思っています。食器は洗ったら水きりマットなどで水けをきってから、すぐふきんで拭いてしまうようにすれば、水切りかごは使わずにすみますよね。キッチンも広く使えます。

 

鍋も、揚げ物鍋や蒸し用鍋など用途別に複数持っている人もいるかもしれません。でも、単機能の鍋は結局使わなくなりがち。蒸し用鍋は脚つきの蒸し器目皿やスチームプレートがあれば、普通のお鍋も蒸し器に早変わりします。これを機に手放すことを検討してみてください。

3.使うモノを使用頻度別に仕分ける

モノの量を減らして、最低限必要のモノだけを選別したら、使用頻度別に分けていきましょう。

 

「毎日使うモノ」「そこそこ使うモノ」「めったに使わないモノ」という具合に、3カテゴリ程度に分けます。 

 

  • 「毎日使うモノ」…使いやすい大きさの食器、コーヒー豆や紅茶のティーバッグなど。日常的に使うとわかっているモノ。
  • 「そこそこ使うモノ」…食べ残しを入れる保存容器やラップのストックなど、すぐには使わないけれど定期的に使うモノ。 
  • 「めったに使わないモノ」…来客用の食器や大皿、おせちのお重など、一年に一度使うか使わないかの使用頻度が低いモノ。

4.使用頻度別に“定位置”を決める

使用頻度で分けたら、次は収納場所を考えていきます。収納の基本は「モノの定位置を決める」こと。定位置を決め、使ったら必ず同じ場所に戻すことをルールにしましょう。そうすれば、すっきりした状態がキープできるし、探しモノがなくなり、生活全体の時短にもつながります。

 

  • 「毎日使うモノ」…手の届きやすい場所に置くことが大切。動線を考えてすぐに出し入れできる、ワンアクションで取れるといった、条件のいい場所を指定席にします。かがんで取る必要があるシンク下などは、毎日使うモノの置き場所には向きません。
  • 「そこそこ使うモノ」…「毎日使うモノ」の上や横の位置がおすすめ。
  • 「めったに使わないモノ」…棚のいちばん上など、手の届きにくい場所でOK。使わないモノは“外側”に置けばいい、と考えましょう。

 

毎日使うモノは、いちばん手の届きやすいところに定位置を決める。年に数回しか使わないモノは、いちばん手の届きにくいところを定位置に。あまり使わないモノは存在を忘れがちになりますが、定期的に内容を見直し、整理することをおすすめします。

 

整理後の吊り戸棚
整理後の吊り戸棚

5.出し入れしやすい入れ方を工夫する

アイテム別に、出し入れしやすい入れ方を解説します。

食器

食器棚にしまう場合は、真ん中がいちばん使いやすく、次は上段で、下段がいちばん使いにくいモノ。かがむ体勢はきついんです。ですから、普段使いの食器は中段にしまいましょう。

フライパン

ガス台の下に鍋やフライパンを収納している人は多いと思いますが、どのようにしまっていますか?

鍋やフライパンの収納

おすすめなのは、シンク下やガス台、IH調理器の下に鍋を立てて入れる方法。省スペースになるし、取り出すのも楽です。「ル・クルーゼ」のような厚手で重い鍋には向きませんが、「無印良品」のファイルボックスに、炒め鍋やフライパンを立てて入れるとすっきり。鍋のフタも、ファイルボックスに立てて入れると便利です。

調味料

ほぼ毎日使う調味料は1か所に集め、料理中に手に取りやすい場所を定位置に。料理をするときにどうしたらスムーズに使えるかを考えて、動線から定位置を決めます。

使いやすく片づいたキッチン
ガス台下の収納例

メインで使う塩や砂糖は作業台の手が届くところに。出しっぱなしで構いません。ハーブなど、たまにしか使わないスパイス類は、作業台近くの引き出しに。料理酒やみりんなどボトル系は、ガス台下の収納スペースが最適です。

キッチンツール

おたまやフライ返しなど毎日使う調理器具は、壁にフックをつけてひっかけるのがおすすめ。壁にフックが付けられない場合はツールスタンドに立てましょう。外に出しっぱなしでいいのは、毎日使うモノだけ。それ以外はガス台近くの収納スペースにしまいましょう。

 

また、ガス台まわりにモノを出しておくと、油がはねて掃除が面倒になります。つねに最低限のモノしか出さないように気をつけつつ、「ニトリ」の『油はね防止ネット』などを使って汚れをカバーするといいですね。

 

もし汚れたら、その都度拭いて落としましょう。汚れは溜めると落としにくくなるので、こまめに掃除する習慣をつけたいものです。

年末にやっておきたい!冷蔵庫の整理方法

冷蔵庫内を整理する場合も、中身を全部出すのが基本です。ストックの食品も例外ではありません。ただし、庫内全てのモノを一気に出す必要はなく、冷蔵室・野菜室など、ポイントを絞って整理しましょう。

 

全部出したら、要・不要で仕分けます。食品全般に言えることですが、ほとんどのモノに明確な賞味期限があるので、判断はつきやすいと思います。賞味期限をチェックしただけで、かなりモノが減る人もいます。

 

なかには賞味期限をあまり気にしない人もいるかもしれません。でも、大幅に期限が過ぎているモノは、衛生上処分したほうがよさそう。年末のタイミングにさよならしましょう!

 

常備菜を作ることが多いなら、保存容器にラベリングをして中身を書いて貼っておく習慣をつけましょう。

 

冷蔵庫は特に入れられる量が決まっています。詰め込まず、8割収納を目標に。手が入る余白を残して収納した場合、どれくらいのモノが入るかを割り出して、そこに収めるクセをつけるだけで、かなりすっきりしますよ。

 

PROFILE 奥住えみさん

スタイリスト・整理収納アドバイザー。20年以上のスタイリストとしての経験を活かした美しい収納が得意。ホームページ「整理収納 and Styling Life」やインスタグラムでわかりやすい整理収納のアイデアを提案。

取材・文/池守りぜね