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こんにちは。メンズカウンセラーの中村カズノリです。

 

夫婦関係に問題を感じている読者の悩みの解決方法を探っていく本連載。今回の相談者はパートナーと2人のお子さんと暮らすDさん。下の子が生まれてまもないため、現在は育休中とのことです。

Dさんの相談内容

夫と義兄の仲が良すぎることに悩んでいます。年齢も近いことから大学生の頃はルームシェアもしていたそうなのですが、2人とも結婚してそれぞれ子どもが生まれてからも心の距離は変わらないみたい。

 

お互いの家を子ども連れで行き来したり、2人でゴルフに行ったり…たまにならいいのですが、その頻度がハンパないんです…。

 

多いときには月に3回、義兄とその家族が泊まりがけで遊びに来たことも。正直気が休まらないし、家族より義兄が大切なのかと思えて、モヤモヤが止まりません。

実兄と仲が良すぎる夫にモヤモヤ!

仲が良すぎるのが悩みと聞くと、「仲が悪い兄弟よりいいじゃないか」と思ってしまいそうですが、だからこそ人には相談できないと話すDさん。たまに遊ぶ程度ならまだしも、毎週末ごとに会い、旅行に行くにも2家族合同が前提となると、話は違ってきますよね。

 

Dさんが今も忘れられずにいるのは、産後1週間という体力もまだ回復していない時期に、パートナーが義兄家族を家に呼んだこと。

 

本人は「子どもたちの面倒を義兄家族に見てもらえれば、妻が休めるだろう」と考えてのことだだったようですが、Dさんにしてみれば「気も使うし、全然休めない」状況です。「産後の恨みは一生残る」の典型的な例だなぁと思いました。

家族間でも横行する「善意の押しつけ」

こういうとき、「良かれと思って」という言い訳は通じません。産後に限らず、家族の体調が悪いときは、どうしてほしいのか、相手の希望を聞くのが第一ですよね。

 

同じような「善意の押しつけ」から夫が勝手に義父母を招いてしまい、妻と喧嘩になるパターンもよく聞きます。

 

Dさんに過去にパートナーと言い合いになってしまった事例を思い返してもらったところ、義兄との関係について意見が対立し、冷戦状態になる場面が多かったそうです。

 

Dさんにとっての「家族」は同居しているパートナーとお子さんたちですが、パートナーにとっては義兄家族もそこに含まれるようですね。それ自体は“感覚の違い”なので、どちらが普通でどちらが異常だ、ということはありません。

 

問題は、Dさんがそれによって自分のペースを乱されてしまうことです。

中村さん連載イラスト1

お子さんはいとこと遊べるのが嬉しくて、家に行くのも来てもらうのも喜ぶので、自分の気持ちだけで嫌だとはなかなか言いにくいと言います。

 

こうした場合、「それぞれの妻同士でタッグを組む」というのがひとつのセオリーですが、義姉はDさんのパートナーいわく「そういうのを気にしない人」。結婚前から「兄+兄の彼女+弟」の3人でよく出かけていたそうです。

 

その状況に身を置いてなぜ平気なのか…それは、Dさんの言葉から察せられました。

 

例えば、いとこが遊びに来てくれたのに、パートナーが1人でゲームをしている…という場合。Dさんは「せっかく来てくれたんだから」などと注意してしまうそうですが、義姉は何も言わないタイプなのだそう。

どこまでが家族でどこからが親戚?人によって感覚は180度違う

この違いは何かというと、「家族付き合い」と思っているか「親戚付き合い」と思っているかの差です。

 

自分の実家では心置きなく過ごせても、パートナーの実家では気が休まらないという人は少なくないでしょう。「自分の家だと思ってくつろいで」と言われて、義理の家族がいい人たちだとわかっていたとしても、その場にすんなり馴染める人もいれば、馴染めない人もいます。

 

「他人」「親戚」「家族」のラインの引き方は、人それぞれ違うからです。他の人との「ここちよい距離の取り方」と言い替えてもいいかもしれません。

 

それはその人の生まれ持った性格や生育環境に根ざしているので、誰かに何かを言われたくらいで簡単には変わりません。

 

「家族付き合い」のつもりでいるパートナーと義兄夫婦に対して、「親戚付き合い」をしているDさん。精神的な負担度は大きく違いますよね。

 

だからと言って、Dさんが付き合い方を変えればいいとは僕は思いません。Dさんを取り巻く状況下ではDさんはいわゆる「少数派」ですが、世間一般から見れば、Dさんの感覚のほうが「多数派」のような気もします。

「誰かが我慢する状況」が不幸を招く

いずれにしても、そこは「多数決」では決められないところ、どれだけ親しい間柄でも外から「変えさせよう」としてはいけない部分だと思います。誰かが我慢するのではなく、皆が「ここちよい距離」を取れることが大前提なのです。

 

Dさんも最近は少しずつ「今日は義兄の家には行きたくない」と伝えられるようになり、パートナーも事前に義兄家族を招いていいか、意向を聞いてくれるようになってきたそう。それはとても良い傾向だと思います。

 

ただし、もし変えられるなら、変えたほうが気持ち的に楽になれるのではないかと感じたことがあります。それは、パートナーがお子さんを連れて義兄の家に遊びに行っているとき、Dさんが「なかなか1人の時間を楽しめない」こと。

 

子どもの世話を押しつけているようで引け目に感じてしまうというのは、Dさんが真面目な性格だからこそでしょう。ですが、1人の時間は子育て中には貴重な機会。「人に見てもらっている間にのんびりすること」自体を肯定して、のんびり羽を伸ばせるようになると、気持ちにも余裕が出てくるかもしれません。まずはそういった小さなことから始めてみてほしいと思います。

文/中村カズノリ イラスト/竹田匡志