「子供が悩みを打ち明けてくれない」と悩む親もいます。話し方教室を運営し、『話すより10倍ラク!新 聞く会話術』を書かれた西任暁子さんに対応方法を聞きました。
親から悩みを打ち明ける
── 子供も小学生や、中学生になってくると、親には話さないことも出てきて「何か悩んでいないだろうか」と心配だという保護者の声を聞きます。子供の本音を聞くにはどうしたら良いでしょうか。
西任さん:
そうですね。保護者のみなさんは、どうでしょうか。お子さんに悩みを打ち明けているでしょうか。
── とおっしゃいますと。
西任さん:
「いいお父さんでいなくては」「いいお母さんでいなくては」という考えから、親が子供に悩みを言ってはいけないと思っている方が多いように思います。
子供に悩みを打ち明けてもらえないお父さん、お母さんが、「実はこんなこと悩んでるんだ」と子供に相談したところ、子供のほうも心を開いてくれたという例はたくさんあるんですよ。
── そうなんですね。
西任さん:
人は頼られると嬉しいものです。力になりたいと思いますよね。お母さん、お父さんが自分たちの良い面だけを見せようとしていた場合、子供も同じことをするのではないでしょうか。子供も親に良い面しか見せられなくなってはきませんか。そうすると、悩みは言いにくくなります。
お父さん、お母さんの打ち明け話は、深刻な悩みではなくていいんですよ。「ママ、ついパパの愚痴を言ってしまうの。どうしたらいいと思う?」と子供に頼ってみてはいかがでしょうか。そうして、親が心を開く姿が、子供の心を開くことにつながっていくと思います。
子供が心を開いてくれないなら、自分が心を開く
── 悩みを相談するというのは、心を開くということなんですね。
西任さん:
弱い自分を見せることになりますからね、だから自分から心を開いて悩みを打ち明けると、子供も同じことをやっていいんだなと思えます。またそのときは、感情をぶつけるのではなく、落ち着いて言葉にすることを意識してみてください。
悩みを話す場合も、心を開くことに慣れていない人はつい説明をしてしまいがちです。「お母さんは今、焦っているよ、辛いんだ」など、気持ちを伝えることが大切です。
それを聞いた子供は「親も悩んでいるんだ、そうなんだ」とほっとして話し出してくれるかもしれません。そうなるまでに、時間がかかることもあります。
また夫婦で心を開いた会話をしているでしょうか。親が心を開いて会話している様子を見ているうちに、子供も自然に心を開いていくと思います。
── 会話は奥深いですね。
西任さん:
そうですね。私自身、相手とより深いところで手をつなげたらいいなと思っています。ご縁あって出会えた方と、より深く分かり合えると嬉しいですよね。今の時代は、頭で考えて行う会話が多くなりがちですが、心での会話ができたらいいですね。
PROFILE 西任暁子
取材・文/天野佳代子 写真提供/ニシトアキコ学校事務局