三角に切った鍋用の豆腐

具材を切って、鍋に入れて煮込むだけ。鍋料理の作り方は、いたってシンプル。でも、本当にその野菜の切り方、材料、火加減でいいかと聞かれたら、ちょっと不安になりませんか?

 

鍋料理がおいしくなる簡単テクニックを、鍋に詳しい料理研究家安井レイコさんに教えてもらいました。

1.豆腐が崩れない三角カット

豆腐は、つかむときにすぐ崩れてイラッとする

 

そんなときにおすすめなのが三角カットです。

 

垂直に刃を入れて四角に切るのではなく、豆腐の角の部分から斜めに切るだけです。お箸でつかむときは、三角形の頂点の部分を、お箸ではさみこむようにして乗せます。こうすると、豆腐が崩れることなくつかむことができますよ。

崩れない!鍋にぴったりな豆腐の切り方を紹介する動画

2.肉の解凍は余裕を持って

食材購入の手間を減らすため、まとめ買いして、肉を冷凍しているご家庭も多いかもしれません。鍋にそうした冷凍肉を使う場合、1枚ずつはがそうとするとぼろぼろになったり、そのまま入れたら肉が固まってくっついたりしてしまうこと、ありませんか?

 

冷凍していた肉を使う際は、2つのコツがあります。

 

1つめは、鍋に入れた瞬間に肉がほぐれる程度まで解凍しておくこと。

 

2つめは、肉が煮固まる前にほぐすこと。

 

冷凍のまま鍋に入れてしまうと、肉の臭みが出てしまいます。

 

冷凍した肉の旨みを逃さずに解凍するには、あらかじめ冷蔵室に移してゆっくり自然解凍をするのがおすすめです。自然解凍は時間がかかりますから、夕食に鍋をするなら、その半日ほど前を目安に冷蔵室に移しておきましょう。

 

冷蔵室の自然解凍では間に合わない場合や、すぐに解凍したい場合は、レンジで解凍すると便利です。レンジ解凍では、解凍時にドリップ(冷凍肉を解凍するとき出る液体で、これが出るとうまみが低下する)が出てしまうことがあるため、耐熱皿にキッチンペーパーを敷いて冷凍肉を置き、電子レンジの解凍モードで解凍を。加熱にムラが出やすいため、様子をみながら解凍しましょう。

 

解凍したら、肉から出たドリップはキッチンペーパーでしっかりとふきとると、アクや臭みが出にくくなります。

 

「鍋の肉がどうもおいしくない」という人は、こういったことができていないことが多いです。鍋料理をするときは余裕を持って準備しましょう。

 

ちなみに鍋に具材を入れる順番は、「肉野菜」、魚がメインの場合は「野菜魚」です。理由はとってもシンプルで、肉よりも魚のほうが煮崩れしやすいためですね。しゃぶしゃぶ用の極薄切り肉などでない限り、肉は野菜より先に入れると覚えておきましょう。

3.火加減は、ふつふつ煮えたら弱火

具材にしっかり火を通すため、ぐらぐらと煮え立つ鍋に具材を入れている人がいますが、それではアクが出すぎてしまい、おいしさや食感は損なわれてしまいます。

 

沸騰したら中火にして、肉や野菜などの具材を投入。ふつふつ煮えたところで弱火にしましょう。

 

最初からアクが出てしまうのは、火加減が強すぎるサイン。火を弱めましょう。「1回沸騰したらぐらぐらさせずにあとは弱火をキープ」これがポイントです。

4.子どもがおいしく食べる!?野菜の切り方

鍋の定番「白菜」は、葉の部分と芯の部分を分けて、そぎ切りにしている人が多いでしょう。そぎ切りは味をしみこみやすくするためですが、これはあくまでも好みの問題。たとえば子どものなかには「シャキシャキした白菜が好き」という子もいます。

 

シャキシャキ感を保つには、野菜の断面積を少なくするのがコツ。そぎ切りではなく垂直に切ればいいのです。

 

小さいお子さんがいるご家庭で食べやすさを重視するなら、野菜は細く切ってあげること。大根やにんじんなど硬めの野菜は、ピーラーを使ってそのままお鍋に入れるのもおすすめです。ピーラーの使い方を教えれば、子どもにお手伝いを頼むこともできます。野菜嫌いのお子さんでも、自分で切った野菜だと喜んで食べるという声もありますよ。

5.パッケージの材料を守ってみる

市販の鍋つゆのパッケージの裏側を見ている人、一体どれくらいいるのでしょうか。

 

「市販の鍋つゆでおいしいお鍋を食べたい」と思っているはずなのに、どの鍋つゆでもいつも具材が同じ、なんてことはありませんか。

 

あなたの購入した鍋つゆのいちばんおいしい食べ方は、実はパッケージにあります。

 

ほとんどのパッケージの裏側には、おすすめの食べ方やレシピが書いてあります。また、メーカーのホームページを検索すると、さらにいろいろなアレンジレシピも紹介されています。これはメーカーがお金と時間を費やして生み出した味。作らない手はありません。

 

なのに、意外と自己流で作ってしまう人が多い!これはもったいないことなのです。

 

適当な具材で適当に作って「今日の鍋はイマイチ」なんて言っていたら、メーカーさんに失礼かも(笑)。

 

お鍋がワンランクアップする5つのテクニックは、どれも難しいことではありません。ぜひ実践して、鍋料理を楽しんでくださいね。

 

PROFILE 安井レイコさん

安井レイコさん
鍋に詳しい料理研究家。カリスマ主婦ライターとして、雑誌・テレビなどさまざまなメディアに登場。出産を機に学び始めた健康料理で、料理研究家としても活動する。「簡単、キレイに健康に」をモットーとした、誰にでも作れる、簡単でヘルシー、しかもエコな料理を考え広めている。

取材・文/樋口由夏 イラスト/植田まほ子