母乳を与える母親

母乳育児で頑張りたいと思っていたのに、いざ始まってみると、出が悪いのか、1時間もしないうちにまた授乳…上の子をゆっくり相手してあげる時間も取れない毎日。母乳育児と心のゆとりのあいだで板挟みになっていませんか?今回はそんな悩みに対するヒントをお届けします。

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1時間おきの授乳とお世話でクタクタ…上の子もいるのに


産院から自宅へ戻ると、いよいよ赤ちゃんとの生活の本番がスタートします。

 

でも、授乳が終わって1時間もしないのにまた泣き出して、おっぱいをあげてみると一生懸命飲もうとするけど、飲み終わって眠ったと思ったらまた泣いて…の繰り返し。ちゃんと飲めてるのかな?もしかして、母乳がたりてないの?と不安になりますね。

 

特に、上の子がいる場合、いちばん忙しい夕方から就寝までの数時間は、夕食作りから上の子の食事・片づけ、上の子のお風呂・ママのお風呂、おもちゃを片づけたり絵本を読んであげたりして寝かしつけ…とやることが満載なのに、1時間おきにおっぱいをあげていては時間がいくらあってもたりません。

 

粉ミルクと哺乳瓶

 

ミルクをたしていれば赤ちゃんの体重はそれなりに増えていきますので、産院での検診でも、本当のところ母乳がたりているのかいないのか、はっきりしないこともあります。

 

新生児のお世話と頻繁な授乳でママもクタクタ。授乳ばかりはパパに交代してもらうこともできないので、せめて上の子の相手をお願いしたいところですが、仕事で帰りが毎日遅いとそれも難しいですよね。

 

ただでさえ、ママを赤ちゃんに取られてしまったようで、上の子は頭では分かっていたとしても寂しい思いは必ずしていますから、少しでも時間を作って、ひざの上で抱っこしてあげたり、話を聞いてあげたりしたいもの。

 

このままがんばって母乳育児を続けるべきか、いっそミルクに切り替えて時間を確保するか…正解がないだけに悩んでしまいます。

母乳が出ない、飲んでくれない理由は人それぞれ


まずいちばん気になるのは、本当に母乳が出ていなくて赤ちゃんが泣いているのか、それ以外の理由なのかということですよね。

 

ミルクをプラスしていない場合は、赤ちゃんの体重が増えないこと以外に、おしっこの量が少なかったり色が濃かったりすることや、ウンチの回数が少ないことから母乳不足とわかります。しかし混合の場合は赤ちゃんの様子では判断できないことが多いので、その場合はママの体調をチェックすることである程度見分けがつくことも。

 

たとえば、「搾乳してもほとんど出ない」「授乳間隔が空いてもおっぱいが張ってこない」といった場合、100%とは言えませんが母乳不足の可能性はあります。

 

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母乳の出が悪い原因としては、ママの体質もありますし、忙しくてバランスの良い食事がとれないことでカロリー不足や水分不足になっていたり、逆に糖質や脂質過多による乳管の詰まりや、ストレスで自律神経の働きが乱れていることも原因となってしまいるようです。さらに、母乳自体は作られているのに、十分飲めない…というケースも。

 

まれに、ママの乳首の形が赤ちゃんにとって吸いにくく、工夫しても十分に飲めない場合があります。また、赤ちゃんの飲み方も最初は上手でない子もけっこういます。

ミルクに切り替えるかどうかで迷ったときは


もしも母乳が十分に出ていなかったり、赤ちゃんが上手に飲めていなかったとしても、赤ちゃんの水分補給さえ気をつけていれば、何度も練習しているうちにだんだん出るようになったり、うまく飲めるようになってきたりすることはよくあります。

 

助産師さんなどにお話を聞くと、かなり出が悪くても、生後2ヶ月が終わる頃までには授乳リズムが整う親子が大部分とのこと。

 

ただ、その時期までがんばろうと思うと、しばらくは上の子やママへの負担もかなりのものになるので、「本当にこれでいいのかな」と迷ってしまったら、一度、優先順位を整理してみることが大切です。

 

完全母乳の場合、ミルク代が要らず、夜中にミルクを作る手間も必要ありません。ママの免疫も母乳を通じて赤ちゃんに伝わりやすいと言われています。

 

対して完全ミルクの場合は、赤ちゃんもしっかり飲めるし、ミルクをあげるのを誰かにお願いすることもできます。完全にミルク育児だった赤ちゃんでも、「3歳までほとんど風邪もひかない」というママも沢山います。何より、ミルクにしたことで肉体的・時間的に余裕ができて、上のお子さんの相手をしてあげられたり、ママに余裕ができて、子どもたちに笑顔で接することができれば、それは大きなメリットと言えるでしょう。

 

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実は、最大の壁は、「赤ちゃんは母乳で育てるべき」という考え方だったりします。

 

産院や保健師さんもまずは母乳育児を勧めますし、両親世代や周囲のママもそう言う人が大多数でしょう。でも、それは「飲ませられるのであれば」ということで、どうしても出ない場合や、仕事・服薬などの事情がある場合は、ミルクでも問題なく育っている赤ちゃんはたくさんいます。

 

そう理屈では分かっても、なぜか「ミルクにしよう」と思うと、ママ自身に「母親失格」「寂しい」などの気持ちがわいてくるのがいちばんの障壁なのではないでしょうか。

 

上の子のケアも最大限にしつつ、なんとか母乳のリズムが整うことを目指して少しのあいだ頑張るのか、後ろめたさを克服してミルクに切り替え、心のゆとりを持って過ごすのか。

 

自分にとっての優先順位をじっくり考えて選ぶのがいちばんの解決方法といえます。

「母乳が出ない」まとめ


母乳育児をがんばるか、ミルクに切り替えて心のゆとりを持って過ごすか…。

 

「すべてにおいて満足」というのはなかなか難しいものですが、ママがしっかり考えて決めた結論なら、どちらにしても子どもたちもきっと分かってくれるはず。

 

今は大変でも、ほんの1年後の今頃にはいい思い出になっているに違いありません。ママの決断を応援しています!

 

文/高谷みえこ