勉強する受験生を気遣う家族

「中学受験の正体」を“イロハ”から進学塾VAMOSの代表・富永雄輔さんに教えていただきます。

 

東京都の中学入試まで残り1か月となる年末年始。お正月くらいゆっくりさせたい気もするけれど、合否への影響も心配です。

 

6年生の冬休みの過ごし方について、お話を聞きました。

本番100日をきったら休みはナシ

6年生の冬になると、本番を意識して気持ちが引き締まってきます。幼かったわが子の目の色が変わってきて、スキマ時間も惜しんで勉強するようになる…。

 

そんななか、どう休息を取らせるか、保護者としては悩むかもしれません。

 

でも、長年多くの受験生を見てきた立場から言わせてもらうと、6年生の11月以降、本番まで残り100日をきったら、まったく勉強しない日は作らないで欲しい、というのが僕の考えです。

 

それがたとえ年末年始であってもです。

 

塾が実施する「正月特訓」はほとんどの受験生が受講しますが、多くの場合、大みそかや元日は休みです。塾が休みなので、保護者はつい「1日くらい休んでのんびりすればいい」と言いたくなるかもしれません。

 

でも、大みそか、元日と休んでしまうと、それまで築いてきた勉強のペースが崩れてしまう。せっかく本番に向けて気分が盛り上がっていたのに、気持ちがきれたり、「時間を無駄にしてしまった」と後悔を引きずって調子を落とす子が毎年少なくありません。

 

冬期講習や正月特訓が休みの日であっても、いつもと同じリズムで生活して、なるべく勉強のペースを崩さないようにしてください。

 

勉強する内容は、冬期講習や正月特訓の際に何をやるべきか指示が出るでしょうから、それに従えば大丈夫です。

息抜きは最長2時間以内で

もちろん、ラスト100日、起きている間ずっと勉強しろとは言いません。集中力が落ちるので、睡眠時間を削って勉強するのはダメです。

 

受験本番に必要なのは知力よりも前に体力。この時期は、生活リズムを整えながら健康的な生活を送ることを意識してください。勉強中心の生活に、息抜きとして休息をはさむ。ただしその息抜きは長くても2時間と考えておいてください。

 

模試の帰りにおいしいラーメン屋に行くとか、講習の区切りの日にゲームを1時間だけ解禁するとか。その程度なら勉強への集中力は途切れません。

家族は子どもの集中を切らさない振る舞いを

この時期、子どもが一生懸命に勉強をしている横で、大人がテレビをつけっぱなしにして酒盛りをしたり、きょうだいが大騒ぎしていたりするのはよくありません。

 

大みそかと元日に受験生が家で過ごすのなら、その2日間は勉強の集中をさまたげないよう家族で協力したいもの。

 

正月番組は録画して、観たいところだけ観る。遊びたいさかりのきょうだいがいるなら、保護者のどちらかがきょうだいを連れ出して、外で思いきり遊ばせる。こうした過ごし方や分担については、家族であらかじめ話し合って、意識を揃えておきたいところです。

 

お正月気分は、家族でお節料理を食べる、近所の神社に1時間ほどお参りをするなど、ちょっぴり味わうくらいにとどめましょう。

 

中学受験の正体_matome1

本番が近づくと、多くの受験生は気持ちが引き締まり、勉強にも集中するようになります。

 

のんびり過ごしたくなる年末年始ですが、子どもの集中に水をささないよう、家族全体で協力しましょう。

中学受験の正体バナー
監修/富永雄輔 取材・構成/鷺島鈴香 イラスト/サヌキナオヤ