園や学校・習い事などで、指導者から「子供は小さな成功体験を積み重ねることで自信がつき、自己肯定感が上がって伸びていきます!」といった話を聞いたことがありませんか?
なかには、わが子は日々成功体験を積み重ねているという人もいるかもしれません。
しかし多くの人は、
「それはもちろんそうだろうけど…意図的に成功させようと思ってもできないんじゃない?」
と疑問に思うのではないでしょうか。
そこで今回は、子供の成功体験のために親ができることはあるのか、あるとしたらどのようなものか考えていきたいと思います。
子供に自信をつける「成功体験」積み上げの例
いきなり高い目標を達成しようとしても、今の自分にはできないことが多すぎて歯が立たない…。子供に限らず、大人でもよくあることですよね。
そんなときは、大人でも子どもでも
- レベルを下げたところから始め、できたら少しずつレベルを上げる
- いくつかの段階に分けて1つずつやってみる
という方法が王道で、教育現場やスポーツクラブなどでも必ずといっていいほど行われています。
少しずつレベルを上げる方法は、スイミングスクールやピアノなどの進級制度が代表的。また、サッカーボールが怖い子には、まずは軽く柔らかいボールを使って慣れる方法などがあります。
また、いくつかの小さい(スモール)段階(ステップ)に分けることを「スモールステップ」ともいいますが、スモールステップを1つクリアするたびに成功体験が積み上がり、自信や成長につながっていく…という方法もよく取られています。
例えば、本を1冊読むのはハードルが高くても1日2ページだけなら読めるかもしれません。
また、跳び箱をいきなり跳び越えられなくても、「助走」「踏み切り」「手をつく」といったそれぞれの動きを何度も練習し、少しずつ連続でできるようになっていく子も多いですよね。
親や家族ができること
では、家で同じように子どもが成功体験を積み上げることは可能でしょうか?
学校や習い事のコーチは、いわば教え育てるプロ。家で同じようにはできないと思うかもしれませんが、実は応用できる場面はたくさんあります。
例えば
- 着替えを最初は100%手伝ってあげていたのが、手伝う割合を90%、80%と減らしていく
- トイレトレーニングでは、いきなりトイレで用を足させようとせず、まずは服を着ておまるに座る→リビングでおまるを使う→トイレでおまるとすすめていく
- ボール投げでは、少しずつ親が後ろに下がって投げる距離を伸ばしていく
など、毎日の遊びや生活の中で自然に取り入れている人が大半ではないでしょうか。
ポイントは、急いで進めようとせず1つの段階が十分できた後で次に進むこと。
また「できるようになったね」と結果だけをほめるのではなく、「何回も練習したね」など途中の過程もほめることが大切です。
成功させるより「失敗してもいい」環境作りを
成功体験には、チャレンジの原動力となる・苦手意識を克服できるなど数多くのメリットがあります。
しかし、実は同じくらい「失敗体験」も大切といわれています。
「失敗は成功のもと」ということわざもあるように、失敗をきっかけに、原因を考えて反省・改善する習慣がつき、失敗した他人の痛みも理解できるようになります。
また小さいころに(親の助けもあって)成功ばかりしてきた子が、思春期や大人になって初めて挫折すると、立ち直り方がわからなかったり、激しく落ち込んでしまったりする可能性もあります。
つまり、成功体験と並んで大切なのが失敗体験であり、周囲の大人が子どもに対して「失敗してもいいよ」「失敗で学べてラッキーだね」というマインドを持つことだといえるでしょう。
とはいうものの、やはりわが子が失敗するのは見ていられなくて、早めに手を貸してしまったり、先回りして失敗の元を取り除いてしまったりするのは多くの親に共通の心情かと思います。
また、何かをこぼすなどの失敗は後始末が大変ですし、慌ただしい朝に子どもの失敗をフォローする時間はない、親がやってしまった方が早い…などの理由でなかなか挑戦と失敗をさせてあげられない人もいるのではないでしょうか。
そんな場合は、たとえば夜だけ・週末だけなどと決めて、子どもに普段やらないことにチャレンジさせてみると良いかもしれません。
そのときは失敗しても責めずに、よくチャレンジしたねと声をかけ、次はどうすればいいか一緒に考えるつもりで見守れると良いですね。
おわりに
子どもの成功体験は、わざわざ何かを用意しなくても、日常でまだできないことを簡単なレベルにしてやってみたり、細かい段階に分けてやってみたりする中で積み上げられそうです。
また失敗した時はダメ出しだけで終わらせず、チャレンジしたことをほめるように心がけると、それが次回の原動力となり、さらに成功のチャンスが増えるかもしれません。
文/高谷みえこ