平野ノラさん

ソバージュヘアに肩パッド入りのスーツを着て、80年代を彷彿とさせる「バブルネタ」でブレイクした平野ノラさん。今年3月に42歳で第一子を出産し、家族で協力しながら育児に奮闘中です。「子育てはチーム戦」と話すノラさんの日常とは──

妊娠中から夫をスパルタ教育!

── 娘さんは現在8か月だそうですね(※取材時)。初めての子育てはいかがですか?

 

ノラさん:それはそれは大変です(笑)。あっという間の8か月でした。生まれる前はなるべく早く仕事に復帰しようと考えていたんですけど、バブ子(※注:娘さん)はミラーボールのような…いや、玉のようなかわいらしい子で。これはまばたき禁止だ!なるべくそばで成長を見ていたい…という気持ちが強くなりました。

 

仕事も子育ても全力投球って難しいですよね。だから、家族に協力してもらいながら、ちょうどいいバランスを探っていて。最近ようやくそのペースがつかめてきて、子育てを楽しめる余力を残しつつ、仕事も頑張れるようになってきた感じです。

 

── 普段、娘さんのお世話はどうしていますか?

 

ノラさん:基本的に私、夫、私の母の3人態勢です。ありがたいことに、いまは母が週4日ぐらい家に泊まりこんでくれていて。夫が休みのときに、私が泊まりの仕事を入れたりして調整しています。

 

実は妊娠中から夫には「子育ては一緒にやるんだよ!チームだから!」と言い聞かせていたんですよ。私の産後は夫に1か月の育休をとってもらいました。その1か月間で、夫がひとりで一日中娘の面倒をみられるレベルになってもらわねばと教育しました。なんとか成長してくれましたね。

 

平野ノラさん

── 教育とは、どんなふうに?

 

ノラさん:スパルタです(笑)。たとえば妊娠中、私はお風呂に入っていて、夫はテレビを観ている…という状況のとき。「妊婦の私に何かあったらすぐ駆けつけてくれるか?テレビ以外の音にも耳を傾けているか?」をテストするために、風呂桶を落として大きな音を鳴らすわけです。そこで夫が「どうした!?」と駆けつければ、「よしっ、合格!」みたいな(笑)。

 

そういうことをたびたびやって「ふたりで親になるんだ」ということを意識させていました。私も働きに出る職業なので、「パパだけで大丈夫かな…」と心配するのではなく、「彼に任せておけば大丈夫!」と安心して出かけたいですから。その努力の甲斐あって、いまは夫に娘を安心して任せられます。

子どもには癒やされ放題、夫にイライラし放題!?

── ノラさんが不規則な仕事だからこそ、パートナーの協力は必要不可欠ですよね。家事分担の割合はどんな感じですか?

 

ノラさん:夫と私で37ぐらい? いや、母が8ぐらいがリアルかも…(笑) 。母がいる日は、食事は母が用意してくれています。私は料理があまり得意ではないので、母がいない日は、この差はなんだ?と思いつつ、たまにデリバリーを利用したりして、そこはもう手を抜いています。働いているし、息抜きのつもりで。

 

とはいえ、バブ子の離乳食も始まったので、苦手な料理もやっていますよ。リンゴをすったり、サツマイモをゆでたり…って、まだ料理とはいえない程度ですけど。これから難しくなってくるのかなぁと思うので、頑張らないとですね。

 

子育てしていると、あんなに料理が苦手だったのに「前回のほうがおいしかったな」「どうやったら喜んで食べてくれるだろう」と考えるようになりました。自分のためにはまったくやらなかったことも、娘のためを想うと、やるようになるから面白いです。

 

── 仕事と家事と育児と両立の日々で、心に余裕がなくなってしまうことはないですか?

 

ノラさん:子どもは本当にかわいくて、癒やされるばかりだし、仕事の配分もだいぶうまく調整できるようになりました。だから夫だけです、イライラするのは(笑)。彼はおっちょこちょいで不器用で、穏やかな性格なんですよね。毎日、私が一方的に怒ってるような気がします。

 

実は最近、衝撃を受けたことがあって…。夫は洗濯担当なのですが、あるとき、洗剤が切れたままだったんです。それで「洗剤切れてるのに買わなかったの?」と聞いたら、「勝手に買ったら怒られるから」って!それを聞いて、あぁ、私って勝手に洗剤を買っただけで怒る人間だと思われてるんだな…と。彼の「洗剤を買おう」というエネルギーを私が奪っているのかと思うと、なんだか考えちゃいましたね。でも、反論されたらつい反撃に出てしまうんですけど。

ママのあだ名は“バブ子警察”

── 日常のささいなことから、夫婦喧嘩に発展することは?

 

ノラさん:夫はいつも「はい、わかったわかった」という反応。私がどんなに怒っていても、右から左に抜けるんですよ。それがうらやましくて。

 

だから私は夫に「あなたはなんでそうなのよ!」と真剣に怒るんだけど、隣にいる娘には思わず「ね~!」と愛想を振りまいちゃう。そんなことをしているうちに途中で笑いがこみ上げてきて、結局夫をバシバシ叩きながら笑っちゃうんですよね。そんなとき、夫は決まって「“バブ子警察”がまたなんか言ってるよ〜」って娘に話しかけています。

 

平野ノラさん

── バブ子警察!かわいいです(笑)。ノラさんのことですか?

 

ノラさん:私が娘のことに対してうるさく取り締まっているので、そう呼ばれています。たとえば夫がベビーカーでのお散歩から帰ってきたら、「本当にお散歩ちゃんと行ってきたの?」「ちょっと待って、ブランケットが足元にかかってないよ?」という感じで、逐一チェックする“バブ子警察”が発動してしまう(笑)。

 

こんな毎日を過ごしていますが、夫婦の仲はいいですよ。2人でいるときは、バブ子のまねっこをする「バブ子クイズ」で爆笑しています。

 

── しっかり者のノラさんと、おっとりした旦那さん。バランスのいい夫婦なんでしょうね。42歳で出産されて、体力的にはどうですか?

 

ノラさん:いや、それが大変で。いまや娘を抱っこするときに「一か八かで持ち上がるか!?」と不安になるほど毎日しんどいです。夫は趣味で格闘技をしていてガッチリ体型なので、なるべく抱っこを担当してもらっています。

 

子育てはこの先何年も続くので、ムダに体力を消耗しないように、遊ぶときもなるべく動かず、手振り身振りで表現する感じ。大げさに顔を作ったり、娘が「アー」と言ったらもっと大きな声を出したり、最小限の動きで娘の笑いを取っています(笑)。

 

平野ノラさん

── いつも笑いが絶えない家庭でのびのび育ちそうですね。娘さんにはどんな人生を送ってほしいですか?

 

ノラさん:私は遅咲きで、30代まではひたすら模索の人生でした。でも、どんなときもあきらめなかったことで、30代以降はどんどん楽しくなって。だから、娘にも最後まで自分の人生をあきらめてほしくないですね。私自身も、これからもやりたいことにどんどん挑戦して、そういう姿を娘に見せられたらいいなと思っています。

 

PROFILE 平野ノラ

1978年生まれ。東京都出身。ソバージュ、太眉、肩パッド入りスーツの出で立ちで、大きな携帯電話を片手に「しもしも〜?」と言うバブリーネタでブレイク。2017年に一般人男性と結婚し、2021年3月に長女を出産。最近では片づけのスキルを生かし、公式YouTubeチャンネルで芸能人の自宅の片づけなどを行っている。

取材・文/大野麻里 撮影/佐久間ナオヒト