市原隼人
©2021「おいしい給食」製作委員会

 

給食マニアの教師・甘利田幸男と、給食マニアの生徒・神野ゴウによる、どちらが給食を「おいしく食べるか」という闘いを描く学園グルメコメディ、ドラマ「おいしい給食 season2」が放送中。

 

前作に引き続き、給食を愛してやまない甘利田幸男を演じた市原隼人さんに、パワーアップしたシーズン2の見どころや、大好きな「おいしい給食」の撮影現場の裏話、さらに、自身の給食の思い出などを伺いました。

「給食の献立をさまざまな目線で楽しめます」

市原隼人
©2021「おいしい給食」製作委員会

 

── 続編が決まったときの気持ちを教えてください。

 

市原さん:

「おいしい給食」のスタッフ・キャスト一同の気持ちが、みなさまに伝わったという思いで感激しています。作品を作る醍醐味は、現場で満足するのではなく、作品を観た方々に満足していただいてはじめて形になると思っていますので、作品を愛してくれるファンのみなさまの気持ちの賜物でしかないという気持ちです。

 

── 甘利田先生と神野ゴウの再会シーンはインパクトがあってとてもおもしろかったです。

 

市原さん:

神野ゴウ役の(佐藤)大志の声変わりに驚きました。身長もだいぶ伸びて、隣に並んだら同じくらいになっていました。見た目は成長していますが、芝居が始まれば、僕は自然と甘利田になりますし、大志は神野ゴウとしてそこにいてくれるので、変化よりも“変わらない”と感じることのほうが多かったです。大きな変化は“マイ箸”が登場します。箸で食べることによりまた新たな給食の知識が増え、楽しい「おいしい給食」の時間を過ごしていただけると思います。

 

── 甘利田先生の動きがさらにパワーアップしていて笑いました。

 

市原さん:

甘利田を演じるには、例えていうならアドレナリンのようなものが必要です。こんなに強烈なキャラクターを演じるのは初めてでしたが、シーズン2は前作よりもさらによく動いています。実は使われていない部分も多くあります。

 

給食のシーンは太陽光が少しでもあるうちにしか撮影できないので、早朝から1日かけて撮っていますが、映っているのは10分程度ですし、食べる前の校歌も全力で踊っているのですが、使われているのは少しです。シリーズが始まった当初から、監督に「たとえ使われないシーンでも、いろいろと挑戦しましょう」と、話していたので幻のシーンがたくさんあってもOKとしています。ただ、密かな願いとして、もうちょっと使ってほしいな、って思うこともなくはないです(笑)。お客様には現場をお見せしたいくらいです。

 

市原隼人
©2021「おいしい給食」製作委員会

 

── あの動きで生徒が気づかないという設定もおもしろいですよね。

 

市原さん:

パラレルワールドのようですよね(笑)。

 

── シーズン2では学年主任の宗方先生(土村芳)の行動も気になります。

 

市原さん:

前作では、産休の先生に代わってやってきた副担任の御園先生(武田玲奈)に甘利田がいろいろと教え、引っ張っていく立場でしたが、今回登場する宗方先生は学年主任なので、甘利田が引っ張られる側になるのか、それとも逆に振り回してしまうのか、などと想像しながら、僕自身も楽しく撮影しています。

 

── 1話から初めて知るミルメークの豆知識などもありました。

 

市原さん:

シーズン2も給食にまつわるたくさんの知識が学べて、給食の献立をいろいろな目線でお楽しみいただけます。大人たちには、地域の特色や、子どもたちに伝えていきたい文化や歴史、地域の情勢なども分かるし、その地域の空気感などもなんとなく分かるようになっています。子どもたちは、給食を愛する甘利田の動きや、神野ゴウとの対決を純粋に面白く楽しめる作品です。

 

物語の舞台となっている1986年は、今よりも人と人が向かい合って個人の主張をしていた時代です。だからこそ出てくる愛くるしい登場人物のキャラクター性も作品の魅力になっています。その一方で、物事の道徳的な本質を見られる作品でもあります。甘利田がポロッと口にするセリフが、忘れかけていた道徳精神を思い出させてくれたりもする、素晴らしい作品になっていると思います。

 

市原隼人
©2021「おいしい給食」製作委員会

 

── 市原さんが給食で好きだったメニュー、苦手だったメニューを教えてください。

 

市原さん:

お気に入りのメニューはきなこパンでした。苦手なメニューはキウイでした。キウイがデザートの日は、世界の終わりくらいのテンションまで落ち込んでいました。先生が「牛乳をかければ食べられる」とキウイに牛乳をかけてくれたのですが、当時の僕には食べられるわけもなく(笑)、キウイはしばらく苦手なままでした。今はキウイもジェラートにしたりしてよくいただきます。

 

── 給食と聞いて思い出すことはありますか?

 

市原さん:

僕は、パンを半分食べてから、残りの半分をランドセルの中に入れて、下校時に犬にこっそりあげるのが日課だったんです。

 

── 半分しか食べなくてお腹はすかなかったのですか?

 

市原さん:

その分、おかわりをしていたので大丈夫でした(笑)。小学生の頃、通学路をテーマパークのように思っていました。行儀は良くないですが、学校に行くときにはパンかご飯を口に含ませてモグモグしながらどこまでいけるか、なんてくだらないことをやっていました。窓から家の中が見えるおばあちゃんに「おはよう!」と挨拶してから、待ち合わせ場所で石けりしながら友達を待つのが登校時のルーティーンです。友達が大好きで、早く会いたい一心で学校に行っていたので、ランドセルを忘れて行ったこともありました。

 

帰りは、クリーニング屋さんの時計で時間をチェックして、帰るにはまだ早い時間なら、ちょっと公園で遊んで行くという道草をしていました。その途中に犬がいて、はんぶんこしたパンをあげていました。ただの道ばたも、子どもの自分には全てのものが輝いて見え、本当に楽しかったです。

 

市原隼人
©2021「おいしい給食」製作委員会

 

── 甘利田先生のように駄菓子屋さんに寄り道はしましたか?

 

市原さん:

もちろん帰り道のコースに入っていたので、駄菓子屋にも寄り道していました(笑)。地域もしっかりしていたし、子どもを守りながら自由にさせてくれていた時代、環境だったのでいろいろと遊べたのかなと思っています。

 

── もし、市原さんが先生になるとしたら、どんな先生になりたいですか?

 

市原さん:

矛盾した見せかけの建前で対話すのではなく、すべての物事を子どもが理解するまで伝え続ける努力を惜しまず、子どもに対しても自分の非を認められる教師でありたいです。すべての生徒に差別なく愛情を持った教師になりたいです。

 

── キウイに牛乳をかけた先生もインパクト大でしたが、他に記憶に残っている先生はいますか?

 

市原さん:

友達と過ごした思い出が濃すぎて、正直、先生の記憶はあまりないのですが……。保健室の先生には憧れていました。若くて綺麗な先生のときは、ちょっとドキドキしながら、怪我もしていないのに保健室に行くことはありました。男の子ですから(笑)

 

市原隼人
「おいしい給食」の魅力をたっぷりと語ってくれた市原隼人さん