想像の斜め上をいく子どもたち。気づけば押し入れに入っていたり、壁に落書きをしていたりと、元TBSアナウンサーの枡田絵理奈さんは笑顔で話します。本来は、家事も掃除もキッチリやりたいタイプだそうですが、3人の子どもたちとどう向き合っているのでしょうか。
床を汚されても、壁に絵を描かれても
── お子さんが3人(2歳、4歳、6歳)いらっしゃるとのこと。育児を通して気づいたことはありますか?
枡田さん:
自分でも言うのもなんですが、私はけっこう穏やかな人間なんです。1人っ子だったので、小さいころから人と争うような経験がなく、いつもご機嫌な感じで過ごしてきました。
私自身はのびのびと育ててもらったとは思います。手がかからない、いい子だったかなと(笑)。親はラクだったと思いますよ。
でも、育児をしてみたら…、私の想像の斜め上をいく子どもたち。彼らと接していると、私も人並みに叱ったりするんだなって。喜怒哀楽が豊かになったのでしょうか。
子どもって、気づくと高いところに登っていて、この前も、いないと思ったら押し入れの棚の3段目にいたので驚きました。
基本的には床をどれだけ汚そうと、壁に絵を描かれようと、イラッとしたり、怒ったりはしません。もちろんやってはいけないことはしっかりと注意はしますし、それが他人にとって「迷惑」であることは伝えます。
「面白いこと考えたんだね。紙より大きいところに書いてみたかったよね。でも、壁に書くと消せないし、ここには書いたらダメなんだよ」と伝えるようにしています。
ただ、基本的には死ぬこと以外かすり傷っていう考え方の人間なので(笑)。まぁいっか、とすぐ思ってしまいます。最近は、大きなホワイトボードを買ったので、書くならここに書いて、と言っています。
商店街での会話がきっかけで「完璧主義」はやめました
── ただ、お子さんが3人いると、食事や掃除など次から次へとやることがありますよね。
枡田さん:
私は、元々は完璧主義なんです。家中ピカピカじゃないと嫌だし、食事も綺麗に盛りつけたものを出したいタイプ。でも、小さい子どもが3人もいると、なかなかそうもいきません。
前に子どもたちと一緒に街を歩いていたら、お店の人からこんなふうに声をかけられたことがあったんです。
「こんなにちっちゃいお子さんがいて大変でしょう。でも、こんなに可愛いときって今しかないのよ。あとになって、あのときのあの子たちに会いたいってなるから。ホコリなんてあっても死なないし、今のこの子たちの時間を楽しみなさい」って。
そう言われて、「たしかに!」とすごく納得して。毎日すごいピカピカにしなくても、余裕がないときは3日に1回くらいピカピカにすればいい。ご飯も、同じ栄養がとれるなら、ワンプレートのお皿にすると洗い物が少なくて済むな、とか。
自分の中のハードルを下げても、罪悪感を感じないようになりました。今日も完璧にできなかった…と思う必要はないですし、部屋が汚れたままだけど、疲れて寝ちゃった。それでも、寝てスッキリできてラッキーじゃん!と思うようになりましたね。
“家がキレイ”より“ママがご機嫌”なほうがいい
── たしかに完璧主義をやめると、精神的にラクになりそうですね。
枡田さん:
「家が綺麗だけどお母さんが寝不足でイライラしている」より、「ちょっと散らかっていてもお母さんがご機嫌」なら、絶対、後者のほうがいい。そういうふうに自分のマインドを変えていったんです。
実際は、床に転がっていたレゴなどをうっかり踏んで、「痛い!」ってなるときもありますよ(笑)。
あと、「この写真いいな」と思ってInstagramに載せようとすると、よく見たら床とか背景が汚れていたとか。子どもがパンツ一丁だったとか。そんなことは多々ありますが、それでもなんだかんだ日々楽しく過ごせていますね。
── みんなが笑顔でいられたら素敵ですものね。
枡田さん:
ときには、「ママ、この汚い部屋を見たら、失神しそう(笑)」となる日もあるし、自分自身がグッタリしている日もあります。そんなときは、イスに座りながら「ママ、今限界を迎えています!ちょっとタイム!」と、子どもたちに言うんです。
すると、「いいよ!休んでて!」と言ってくれます。ご丁寧に布団までかけてくれたりして。そして、「今から部屋に入ってこないでね」と言われて、後から呼ばれて部屋を見に行くと、3人で力を合わせて子ども部屋をピカピカに片付けていたり。雑きんがけも掃除機もばっちりでした!
母親が完璧じゃないと、子どもって意外と育つのかなって思うこともありますね。
PROFILE 枡田絵理奈さん
1985年神奈川県生まれ。成城大学卒業後、2008年TBSに入社。『チューボーですよ!』『スーパーサッカーJ』『NEWS23』など様々な番組に出演。2014年広島東洋カープ・堂林翔太選手と結婚。2015年6月にTBSを退社。同年9月に長男、2017年長女、2019年に次女を出産。現在は広島で子育てをしながらフリーアナウンサーとして活動中。
取材・構成/松永怜 画像/枡田絵理奈 Instagramより