「シワには保湿が大切だからいろいろと塗っていたのに」「顔のマッサージの効果はなかったのかな」など、鏡に映るほうれい線を見て、毎日のケアに疑問を感じることはありませんか?
皮膚科専門医の土屋佳奈先生によると、「年齢に合ったケア」が必要とのこと。20~40代の年齢別のほうれい線の原因と、正しいセルフケアについて取材しました。
30歳前後は「ヒアルロン酸」や「セラミド」の日常使いを
20代後半〜30代前半はほうれい線が気になり始める年代です。土屋先生いわく、この年代でほうれい線が目立つ原因として多いのが「肌の乾燥」。
「乾燥肌の人は小ジワができ始める頃。肌が潤っていると、角質層が水分で満たされてふっくらしています。しかし、乾燥すると角質層の水分が奪われて、肌のキメが荒くなります。すると、表面がガサついて生まれた肌の亀裂が小ジワに。肌に小ジワができると、鼻の脇から伸びたほうれい線が少しずつ目立ってきます。肌の表面を乾燥させないために、スキンケアには保湿成分である『ヒアルロン酸』や『セラミド』が配合された化粧品を使うとよいでしょう」
「ヒアルロン酸」や「セラミド」を含んだ化粧水や乳液、美容液の種類は豊富で、ドラッグストアでも手軽に購入できますよ。また「急激なダイエット」もほうれい線の天敵。
「いきなりやせると、頬の皮膚が余ってしまいます。その余った皮膚がほうれい線の溝にのって、シワが深くなります。そして、急激な体重の減少は、リバウンドしやすいもの。太ると顔に脂肪がつき、その重さで皮膚が垂れて、ほうれい線が目立つように」
短期間でダイエットしようとせず、正しい食生活を心がけて健康的なスタイルを目指しましょう。
30代後半は「レチノール」で紫外線対策!
ほうれい線は肌のたるみによっても生まれると、土屋先生は言います。そのたるみは、30代後半から加齢によって進行します。
「肌の奥には、真皮という厚い層があり、肌のハリや弾力を保っています。このハリや弾力を支えているのが、たんぱく質の一種『コラーゲン』と『エラスチン』。これらが減ると、皮膚がだらりと緩み、たるみが起こります。30代後半のたるみは、紫外線が主な原因。紫外線のダメージによって『コラーゲン』と『エラスチン』がやせ細ってきれてしまい、ハリや弾力が保てなくなります」
たるみを引き起こさないためには、まず日焼け止めをしっかり塗って紫外線の予防が第一。そして、紫外線のダメージを受けた後のケアも大切。土屋先生によると、ビタミンAである「レチノール」が入った化粧品を使えば、ハリや弾力を守れるそうです。
「『レチノール』は『コラーゲン』や『エラスチン』を増やすため、真皮の層が厚くなり、ハリや弾力を高めます。ただ、『レチノール』は効果が高いけれど、刺激が強めの成分です。敏感肌の人には低刺激で同様の効果が期待できる『ナイアシンアミド』がおすすめです。マイルドなぶん効果も緩やかですが、アトピー肌の人も使えます」
これらの成分は、ほうれい線が本格的に深くなる前の20代後半~30代前半の人が予防として早めに使い始めてもよいそうです。
40代以降は「塗るボトックス」で肌の弾力ケア
閉経前の40代はホルモンバランスが変化して、肌の老化にも影響が出てきます。
「閉経前は、女性ホルモン『エストロゲン』が減少。たんぱく質を作る能力が低下するため、『コラーゲン』や『エラスチン』ができにくくなります。また、肌が乾燥したり、血流が悪くなる変化も起こしやすい。これにより、肌に栄養が行き渡らないため、細胞が生まれ変われず、さらに『コラーゲン』や『エラスチン』の増加が難しくなります」
そこで、40代からは「コラーゲン」や「エラスチン」と同じたんぱく質「ペプチド」入りの化粧品を使うとよいでしょう。なかでもおすすめは、「塗るボトックス」。表情ジワを目立たなくするボトックス注射と同様の効果がある成分同じ成分が配合されている美容液です。
「ペプチド入りの化粧品は、たるみができやすくなる40代以降の肌に、ハリや弾力の素となる『コラーゲン』や『エラスチン』の生成を促してくれるたんぱく質を補ってくれるアイテムです」
年代によって肌は変化していきます。そのため、ほうれい線ができる原因もさまざま。単にシワができたからといって、「保湿だけ」していればいいわけではありません。生活習慣の改善やその年代の肌に必要な成分を補う化粧品を使ったスキンケアによって、老け顔を予防できますよ。
PROFILE 土屋佳奈さん
取材・文/廣瀬茉理 イラスト/かりた