横峰沙弥香さん・達夫さんご夫妻
4年前、夫婦で会社を起ち上げ、仕事でもパートナーとなった横峰沙弥香さん・達夫さんご夫妻。一緒に過ごす時間が長くなるほど、粗も見えやすくなるものですが、“さらに絆が深まった”といいます。

 

「お互いが抱える状況をきちんと“見える化”することが、家事や育児参加にいかに重要かに気づいた」と達夫さん。チームとしても最強のパートナーとなったお二人が、今一番大切にしていることは?

ちょっとした愚痴を日々受け止めてくれる夫が尊い…

── コロナ禍で、夫婦で過ごす時間が増えたことで互いの不満が噴出し、ケンカが増えたという声もよく聞きます。お二人は常に一緒に過ごしているのに、すごく仲が良いですよね。お互いが心地よく過ごせる秘訣は、どこにあるのでしょうか?

 

沙弥香さん:

一緒に仕事をするようになって良かった点は、お互いの仕事の分量やどんなふうに働いているかなど、相手の状況が目に見えてわかること。特に明確にルールを決めているわけではないのですが、「これをやってほしい」といちいち言わなくても、気づいた方がやるといった感じで、自然と配慮しあえるようになりました。

 

あとは、仕事で疲れたときに、ちょっとした愚痴を受け止めてくれる相手がいつも側にいてくれるというのは、すごく心強いですね。夫にとっては迷惑かもしれないけれど(笑)。

横峰さん連載イラスト1

達夫さん:

いや、僕は別にストレスを感じていないから平気だよ(笑)。

 

そもそも不満をためこんで妻がストレスを抱えるくらいなら、その都度吐き出してもらう方がよほどいいと思っているから、うまく受け身を取りながら受け流すようにしていますね。

 

ただ聞いてほしいだけの愚痴なら大ごとにとらえず、“そうなんだ、大変だったね”と受け流せばいいし、そこに解決すべき問題があるなら、その方法を探ればいいし。

 

── コミュニケーション能力が高いですね(笑)。ケンカになることはないんですか?

 

沙弥香さん:

ケンカというより、私が疲れてバーッと文句を言って、夫がそれを受け流すという感じなので、感情的にぶつかり合うことはないんです。夫はとにかくメンタルが安定していて、私はそれにすごく救われています。

 

唯一直してほしいのが、服や靴下をそこらへんに脱ぎ散らかすことですね。いつも私がプリプリ文句を言いながら、それを拾ってたたんでいます。

 

達夫さん: 

どうせまたすぐに着るし、置いた場所を覚えているから大丈夫なんだけどなぁ。

 

沙弥香さん:

そういう問題じゃないのよね…。ただ、あまりガミガミ言うときっと居心地が悪くなるだろうし、夫婦は持ちつ持たれつだとも思うので、ある程度の妥協や割り切りも必要かなとは思っています。

 

そもそも、もしも夫に「明日から愚痴を言うのをやめてほしい」と言われたら…きっと心が便秘になって死んでしまうと思うので(笑)。夫が大らかに愚痴を受け止めてくれるから気持ちが満たされ、心が健康でいられる。

 

そう思うと、脱ぎ散らかすくらい、まあいいかなと。インテリアになじむフタつきのかごでも置いておきます(笑)。

横峰沙弥香さん・達夫さんご夫妻

夫婦には「これでもか」というほどの情報共有が必要だ

── 結婚生活が長くなると、つい慣れが生じて “してもらっていること”への感謝を忘れがちになるケースも。でもおふたりの場合は、日々のなかで感謝の気持ちをきちんと表していますよね。ほかに意識していることはありますか?

 

沙弥香さん: 

夫婦ふたりで過ごす時間を作ることは、やはり大事にしていますね。ランチを食べに行ったり一緒にお酒を飲んだりしてたくさん話をすることが、私にとってなにより欠かせない時間になっています。

 

達夫さん: 

一緒に仕事をするようになって気づいたのは、夫婦間の情報共有が、家事や育児参加にとっていかに重要かということです。

 

うちの場合、相手の1日の動きや抱えている仕事の量、進捗などがわかるようになったことで、自分が今、何をすれば家の中がスムーズにまわるのかが、把握できるようになりましたね。

 

よく“夫が家事や育児に参加してくれない”という不満の声を聞きますが、それってきっと、奥さんの状況がよくわかっていないせいなのかも。情報をしっかり共有しておくことで、お互いにとって余計なストレスや揉めごとが減ると思うし、夫婦円満に過ごすことにも繋がるのかなと感じています。

 

沙弥香さん:

確かにそれは大きいかもね。

 

自分ひとりで家事や育児を抱えることが増えると、“こんなに頑張っているのに、夫はわかってくれない!”とか、“なんで察してくれないの?”と思ってしまいがちですよね。でも、そもそも状況が正確に伝わっていないから理解されづらいというのはあるかもしれない。

 

その点で言うと、わが家はお互いの状況が目に見えるから、無駄なアピールをせずに済むので、そういうのが苦手な私は気持ちがラクです(笑)。

 

例えば、共働きの夫婦なら、1日の動き方や家事・育児の量などを、アプリなどを使って“見える化”して、情報を共有しておくのもいい方法かもしれませんね。そこに問題が見つかれば、話し合いもしやすくなる気がします。

 

お互いの頑張りを認め、理解し、尊重しあえる夫婦が理想。口で言うほど簡単じゃないけれど、これからも目指し続けていきたいです。

 

PROFILE 横峰 沙弥香さん

長崎県出身、1984年生まれのイラストレーター。2015年、長男誕生を機にわが子と過ごす日常を絵日記にしてSNSに投稿し、話題に。 現在は夫・達夫さんと長男、2017年生まれの長女と4人で賑やかに暮らす。著書に『まめ日記』(かんき出版)、『まめ日和』(光文社)、『ちんちんぼうずのだいぼうけん』(KADOKAWA)など。

取材・文/西尾英子 イラスト/横峰沙弥香