洗車の段ボール作品

ダンボールで戦車やセーラー服…?ダンボールでモノ作りを始めて10年になる大野萌菜美さん。アニメーターを目指していましたが、ダンボールの可能性に目覚めて作品作りを開始。現在は国内外問わずオファーが続出!一体どんな環境でモノ作りに目覚め、幼少期、学生時代を過ごしてきたのでしょうか。

小学生の時は「割り箸鉄砲」作りに夢中!

—— ダンボール女子として活躍されていますが、子どもの頃からモノ作りに興味があったのでしょうか。

 

大野さん:

実家が和歌山県で、電車の遮断機も降りない田舎街で育ちました。家の近くには田んぼがあって、道端には木が所々に捨てられていて、子どものころは、それらを拾い集めては、遊び道具を作りましたね。

 

小学校低学年のころは、木で銃を作りました。木と木を組み合わせて、釘や接着剤でくっつけたら完成です。高学年になると、割りばし鉄砲も作りました。

 

何か物が飛んでいくのが面白くなって、水鉄砲も作ったと思います。近所の竹藪に行って、竹をノコギリで切って材料を調達。竹にキリを空けて、完成図だけ見ながら何となく完成させました。

 

—— そんな小さい時から釘やノコギリも使っていたんですね!

 

大野さん:

父親の趣味がDIYで、休日は父が何か作っている姿をよく見ていて。家にはDIYボックスも常備。釘やねじ、ノコギリも子どもの頃から身近でした。自分でも物を作るようになると、父親から部品を借りましたね。父も「怪我しなければいいよ」と言って、自由にさせてくれたと思います。

 

—— 水鉄砲や割りばし鉄砲を作る時は、設計図があったのでしょうか。

 

大野さん:

今も昔も、設計図を見て作ることはほぼないですね。銃や水鉄砲は、たしか母親が図書館で工作の本を借りて来て、銃の絵だけを見て作ったと思います。

 

—— 絵を見ただけで作れるとは!ちなみに子どもの頃は、周りでテレビゲームも流行っていたかと思いますが、そういった遊びもされていましたか。

 

大野さん:

ゲームもやりましたし、友達と遊ぶときは鬼ごっこもはりきって参加しました!足が割と速くて、当時は外遊びも好きでした。家では何か物を作って、友達とは外で遊んで、バランスがちょうど良かったのかもしれません。

 

ただ、中学生になってからアニメにドハマりしました。 

エヴァの衝撃。私、アニメーターになる!

—— アニメにドハマり?どんなアニメにはまったのでしょうか。

 

大野さん:

『エヴァンゲリオン』です!それまでは、NHKの『おじゃる丸』とか、優しそうなテイストのアニメをよく見ていました。でも、『エヴァンゲリオン』は、人間の底とか、裏に隠れた闇も描かれていて、それまで見てきたアニメとは違っていた。

 

思春期に入って、人間関係について考える時期だった影響もあるかもしれません。初めて『エヴァンゲリオン』をテレビで観た時から、「これはすごい!」と衝撃を受け、将来は絶対アニメーターになろう!と思いました。

 

—— このことがきっかけで、高校は商業高校のデザイン科に進学されたと?

 

大野さん:

そうです。デザイン科に入るためにデッサンも必要で、受験対策として絵画教室に通い始めました。週に1回、23時間程度のレッスンだったと思います。

 

その後、無事にデザイン科に合格。デザイン科の特徴は、美術の授業時間の多さ。週6時間あって、授業が2限続く日もありました。

 

また、絵の基礎だけでなく、将来クリエイティブな職種に就いた場合も、締め切りを守る大切さなど、社会人としての教育も高校で学びました。 

アニメーションの世界から一転…

—— 高校卒業後は大阪芸術大学に進学されましたが、ここでアニメーター志望から路線変更されたとか。

 

大野さん:

大学では念願かなってアニメーションの勉強をしていました。ただ、ペーパーアニメの作品を作っていると、ひとつひとつ絵を描いて、色を塗って、ストーリーを考えてと、莫大な作業を一人で進めるには労力も時間も掛かってすごく大変。

 

さらに、作品作りには毎回画材の費用が掛かってしまって。そんなときに、たまたま家にあったダンボールを試しに使ってみたら、意外といける!と。しかもダンボールの性質にも魅力に感じて、徐々に路線変更していきました。

 

今は、ダンボール作品を作り続けて10年になります。子どもの頃から父親の趣味がDIYで、母親は私が興味のありそうな工作の本を借りて来てくれました。周りにはモノ作りを楽しむにはいい環境が揃っていたと思います。今考えると、とてもありがたい環境ですね。

 

PROFILE  大野萌菜美さん

1991年和歌山県生まれ。大阪芸術大学キャラクター造形学科在学中より段ボールアートの製作開始。2013年『大阪芸術大学展示プロジェクト京2013』にてキャラクター造形学科賞を受賞。2015年には台湾のホテルに作品を出展し海外進出を果たした。個展やワークショップ、オンラインサロンの開催、テレビや雑誌、メディアでも活躍。

取材・構成/松永怜