「中学受験の正体」を“イロハ”から進学塾VAMOSの代表・富永雄輔さんに教えていただきます。
今回は、中学受験の際に提出が必要となる調査書について。調査書のために、学校行事には積極的に参加した方がいい?担任との相性は影響する…?
中学受験の調査書とは
中学受験では、入学願書と合わせて調査書の提出を求める学校があります。
これは、小学校に作成してもらう子どもについての資料です。
調査書が必要かどうかは、志望校によって変わるので、募集要項やホームページ、学校説明会などで、早めに確認しておくようにしましょう。
調査書の合否への影響
調査書の提出が必要とわかると、「生徒会を頑張らなきゃ」「いいことを書いてもらえるよう小学校の先生にアピールしなきゃ」と気負う保護者がいます。
そうでなくても、「担任との相性が影響するのか」「コロナ禍でもあまり休まないほうがいいのか」と気になる方もいるかもしれません。
調査書の扱いは、私立中学か公立一貫校(国立含む)かで異なります。
私立中学の場合は、調査書が合否に直接影響することはあまりありません。調査書や通知表のコピーを提出させたとしても、極端な長期欠席がないか出席日数を確認する程度。その出席日数でさえ、コロナをめぐる諸事情に配慮して事実上見なくなっているところがほとんどです。
対して、公立一貫校では、調査書が点数化され、受験当日の試験結果と、調査書の点数を元に合否が決まります。評価の対象は、各科目の成績を単純に点数化したものがほとんど。
学校の方針にもよりますが、先生の所見やコメントが点数化されることはほぼありません。
学校の成績がどのくらい重視されるのか、調査書の扱いは学校によって違います。志望する中学がどういう位置付けにしているのか、早めに知っておきましょう。
調査書が必要なら早めに担任に打診を
調査書が必要な場合は、小学校に発行をお願いしなくてはなりません。6年生の秋くらいには、担任の先生に伝えておくようにしましょう。
特に中学受験者が多い地域では、大人数の調査書を書かなくてはなりませんから、先生の負担は相当なものです。
そうした地域の学校では、2学期の保護者会などで先生の方から「調査書希望の有無」を確認することが多いようです。小学校側から確認されたときに、すぐ答えられるよう準備しておけるといいですね。
小学校での学びを侮らない
そもそも、調査書の提出が必要な中学は全体の1割程度。9割は受験当日の結果次第です。
だからといって、小学校生活をないがしろにして受験勉強だけをすればいいとは思いません。
学校には、仲間と協力して進めるグループワークや学校行事など、集団で過ごす場ならではの学びがたくさんあるからです。そうした学びは、文科省の学習指導要領でも重視されるようになっています。
大学入試のみならず、中学入試でも従来の知識型の問題から、自分なりに考えさせる問題が徐々に出されるようになってきました。これは、受験だけではなく、社会に出てからも必要な力です。学校はそうしたスキルを磨く場であることを忘れないでください。
調査書が必要なのかどうかは、6年生の秋までには確認しておきましょう。
調査書が合否にそれほど影響がないとしても、小学校は貴重な学びの場。保護者は長期的な視野で子どもの小学校生活を見守りましょう。