「中学受験の正体」を“イロハ”から進学塾VAMOSの代表・富永雄輔さんに教えていただきます。
今回は、習い事との付き合い方について。受験が迫ってくるとやめる人が増える習い事。本人の息抜きや、運動不足解消のために続けさせたいという声もありますが、どうするのがベストなのでしょうか。
習い事との両立、基本は6年生7月まで
保護者としては、受験勉強も頑張ってほしいけれど、一方でそれ以外の体験もしっかり積んでほしいという思いもあり、悩みますよね。
でも時間は有限です。優先順位を考えなければいけません。
僕は、習い事は6年生の7月までで、そこから先の半年間は気持ちを切り替えて、受験勉強に専念してほしいと思っています。
ただ、それも習い事の内容や、家庭の方針によります。
両立が難しい集団スポーツ系の習い事
まず、サッカーや野球などの集団競技の場合は、自分のペースで取り組めない分、受験本番まで続けるのは難しいでしょう。
「受験します」と伝えることで、主要メンバーから外されたり、「最後の大会は出ないんでしょう」という扱いになることは珍しくありません。
あるいは「みんな本気でやっているのに」と仲間や指導者に嫌な顔をされて居づらくなってやめる羽目になる子どももいます。
逆に、「ピッチャーのお前に今やめられたら困る」と引き止められ、秋の大会まで野球を続けた結果、受験で失敗するケースもあります。
息抜き程度の習い事は続けてもOK
集団スポーツ系の習い事ではなく、息抜き程度の習い事なら受験勉強との両立も可能でしょう。
家庭での練習に時間が取られず、習い事のペースも週一、30分〜2時間程度、そのスタンスを指導者も許容してくれるなら、本人のリフレッシュにもなります。
そうした場合は夏以降も続けていいかもしれません。
根を詰めすぎるタイプの子どもで、受験勉強一本ではメンタルが心配だからと、あえてそうした習い事を続けさせる保護者もいます。
運動不足では頭が冴えず、結局勉強がはかどらないからという方針のもと、運動系の習い事を受験直前まで継続する家庭もあります。
悩んだら本来の目的に立ち返る
悩んだら、何のために受験をするのか、何のために習い事をしているのか、本来の目的に立ち返りましょう。
習い事の道でプロになることを目指す一環なら、続ければいいと思います。でも、そういった子どもはわずかで、別の目的があって「中学受験合格」を目指している子どもが大多数ではないでしょうか。
それならば、受験勉強の支障になる習い事は一度やめて、受験勉強をすればいいのです。
習い事は一度やめても再開することができますが、受験のチャンスは一度きりです。
後悔しないためにどうすればいいのか、家庭でしっかり話し合ってください。
習い事を極めて生きていく子ども以外は、6年生の夏以降は習い事をセーブするのが基本。
夏以降も習い事を続けるのか迷った場合は、「受験勉強の時間を確保できる習い事なのかどうか」を基準に考えるようにしましょう。