激安商品を多数取り揃えている「業務スーパー」。8月放送の『林修の今でしょ! 講座』(テレビ朝日系)では“業務スーパーの大ヒットの秘密”が特集されました。低価格を実現するために、どのような企業努力がおこなわれてきたのでしょうか?

品揃えを悪くすることがヒットの秘密!?

以前までは製造コストの低い中国製商品を大量輸入していた業務スーパーですが、2008年に発生した「中国製ギョーザ中毒事件」をキッカケに開発スタイルを大きく変更。中国製品に頼る方法をやめるために国内のつぶれかけた工場を買収し、プライベートブランドの開発に力を入れ始めました。

 

経営不振の工場を再利用することで、既存のラインを使用できるのも業務スーパーが目をつけたポイント。また工場で製造した商品は卸業者を介さず店におろせるため、より安い価格で販売できます。

 

他には「あえて品揃えを悪くする」というテクニックも登場。業務スーパーを運営する株式会社神戸物産の花房篤史さんによると、種類を増やすよりも売れ筋商品に絞り込んだ方が1個あたりの販売数は多くなるそう。さらに品揃えを少なくすれば、「大量に仕入れるから安くしてほしい」という交渉も可能に。花房さんは“量を売ることによって利益を上げている”と説明していました。

世界の人気商品も販売!

続いて注目された低価格の秘密は「はこちん」という販売方法です。はこちんとは“箱のまま陳列”の略称で、業務スーパーの場合はトラックで運ばれた商品をそのまま店頭に。品出しをする必要がなくなるので、人件費のカットにつながります。

 

そして“業スーの大ヒット”で欠かせないのは、2012年に「ボルシチの素」や「パッタイペースト」といった海外商品の販売を始めたこと。日本では購入できない海外商品を輸入したことで、売上が倍増しました。

 

40カ国の工場から直輸入したものを販売する「世界の本物」は大人気コーナーのようで、「業スーは安いだけでなく、海外商品を手軽に買えるのも魅力の一つ」「値段も低価格だから嬉しい」など好評の声が。業務スーパーの低価格実現は、社員たちの見えない努力のおかげで成立しているようですね。

2代目社長が語った“商品販売のこだわり”

“業務スーパーの秘密”を取り上げましたが、ここまでの成功を実現した立役者は創業者の父親から社長の座を引き継いだ息子の沼田博和さん。「世界の本物」を考案したのも沼田さんで、業務スーパーの躍進に大きく関わっているキーパーソンです。

 

以前放送された『日経スペシャル カンブリア宮殿』(テレビ東京)に出演した沼田さん。番組のインタビューに対して、「『他の会社がうまくいっているから』と同じことをするのではなく、自分たちで考えて自分たちなりの商品を生み出す」と自身のこだわりを語っています。

 

ちなみに業務スーパーは昨年、コロナ禍にも関わらず過去最高売上(3408億円)を記録しました。業績は右肩上がりでアップしているので、今後2代目社長がどのような戦略を企てるのか見ものですね。

 

次々とヒット商品が登場する業務スーパー。あまり利用したことがない人は、この機会に立ち寄ってみては?

文/牧野聡子 ※画像はイメージです
参照/『テレ東BIZ』公式YouTube「再ブレークの『業務スーパー』人気のワケは? 【2分で見るカンブリア宮殿】(2020年11月12日OA)」https://www.youtube.com/watch?v=5juK4ynSElM