9/1は、防災の日。この日をきっかけに、「防災のこと」について、いま一度考えてみませんか?

 

今回は防災備蓄収納1級プランナーの資格を持ち、11万人超えのフォロワーに支持されるInstagramのアカウントで#ぴょこ防災部として情報を発信しているぴょこぴょこぴ(@pyokopyokop)さんに「家での備えに」ついてお話を聞きました。

あなたの家は、どの自然災害に対して備えが必要なのか

「まず、災害が起きた場合に自宅がどういう被害を受ける可能性があるか、住んでいる家の状況をよく知ることが防災の第一歩です」

 

例えば沿岸部か内陸部かによっても起こりうる災害の種類は変わります。また、戸建てなのか、マンションなのか、その場合は何階に住んでいるのか…などによっても被害は異なるので、状況を整理しておくことが必要です。

 

「その際、国土交通省の『ハザードマップポータルサイト』などを使って住所検索をすると、洪水や津波、土砂災害など、災害種別で想定される自然災害のリスクが分かります。

 

例え同じ町内であっても、土地の成り立ちによってリスクが違うなど、いろいろわかることがあると思います」

 

リスクに応じた備蓄品の収納場所を

住環境で想定されるリスクがわかると、防災のための備蓄品をどこに収納すべきかも判断しやすくなります。

 

「水害のリスクが高いエリアの戸建てであれば、1階よりも2階以上に重点的に備蓄をするといいでしょう。

 

わが家も避難用の防災リュックは玄関に置いていますが、基本的には水害の危険性が少ない2階に分散して収納しています。防災用の備蓄品はできればまとめて収納できると管理しやすいのですが、日本の住宅事情ではなかなか難しいですよね」

狭い家の中で、備蓄品を収納するコツは?

狭い住環境では、日用品などの収納もままならない状況ですが、普段使わない備蓄品はどう収納すればいいのでしょうか。ぴょこぴょこぴさんにコツを伺いました。

 

「収納場所を分散する場合、私がお勧めしているのは使う場所の近くに収納することです。災害時のトイレ用品もトイレの吊り戸棚の中に、非常用の水もキッチンに…など。

 

使う場所の近くにあれば、災害時でも収納場所が把握しやすくなります」

 

「また、就寝中に地震が起きた場合、寝室から出られなくなる可能性も考えられます。ベッドの下には1食分の食料と水を小分けにして置いてあると安心です」

 

3日間分しのぐには何が必要?と考えてみる

では、狭い家の中で、どれだけの備蓄品が必要でしょう?自治体の災害対策ページをはじめ、一般的には最低限3日分の水や食料を備えておくことが必要だと言われています。

 

「食べ物はもちろんですが、そのほかの備蓄品も『3日過ごすのに何が必要か』で考えていくと、イメージしやすいですよね。

 

また、3日分の備えがあれば、被災した場合だけでなく、台風やゲリラ豪雨などで買い物に行けないケースでも対応できます」

では実際に、何を備蓄していけばいいのか

私たちが悩むのは、具体的にどういったものを備蓄するといいのか?ということ。優先順位をどのように考えるといいのかについてもお伺いしました。

 

いちばんのライフライン「水」は絶対

「水は、命に関わるので、いちばん大事だと思います。何年ももつような防災用の水は割高なので、普通に売られているもので十分。私がオススメしているのは、2ℓの水ではなく500mlのペットボトルです。

 

開封してから飲みきるまでの時間が短くなるので衛生面でもよく、持ち運びの際も軽いです。また、防災としてでなくても、普段のシーンで『水筒を準備する時間がない!』なんてときにパッと持っていくことができ、日常的にも使えます」

 

水を収納する場所は、落下しても危なくない低い位置のほうがいいそう。

 

「水は重さがあるので、例えばベッドの下など落下しても危なくない場所に入れておくといいと思います。

 

水の備蓄量として望ましいのは、『1人3ℓ×最低3日(できれば1週間)』と言われています。できれば1か月分という専門家もいますが、4人家族だとものすごい量になってしまいますよね。我が家では、少し多めの1人1週間分を備蓄しています」

 

避難所では配給されない場合も多いのが「食べ物」

「避難所では基本的に自分で持ってきたもので過ごす場合も多いです。家族の食料は防災リュックなどに用意しておきましょう。

 

私は、水を入れたら食べられるアルファ米とおかずになる缶詰などをストックしています。あと、少しは気が紛れるように子ども用のお菓子などがあるといいですね」

 

子どもの「着替え」はどれくらい?

「本当は着替えも何日分かあるといい…という話もあるんですけど、避難時のリュックにはそんなに大量に詰められません。

 

我が家では、着替えなどは子ども優先。やっぱり子どもって汚したり濡らしたりするので。子どもの分だけは2セットずつ入れています。大人用は、最低限の下着だけ今はリュックに詰めています。

 

衣類に関して、私は半年に1回ほど見直すようにしています」

 

「冬場なら暖をとるアルミシートやホッカイロも忘れずに。季節によって、必要なものは変わってきますよね」

 

スマホのモバイルバッテリーやライトも必需品

「もし夜間に停電してもすぐに行動を起こせるよう、我が家は各部屋にライトを置いています。あとはモバイルバッテリーも、今の時代には欠かせないので、普段から外出時には持ち歩くように習慣化しました」

 

照明に関しては家の中にも工夫があるそう。

 

「携帯用ライトのほか、寝室から玄関にかけては充電式のセンサーライトも設置し、自動で点灯するようにしました。階段の端にも蛍光テープを貼り、停電中の暗闇でも屋外への避難ができるように備えています」

 

母子手帳や保険証のコピーも

「母子手帳、保険証のコピーは忘れずに入れています。スマホに写真を撮っておいてもよいのですが、何があるかわからないので。水に濡れる可能性も考えて、ジップ付きの保存袋に入れて濡れないようにしています。

 

また、リュック自体もドライバッグという中に水が入らないリュックを避難リュックとして使っています」

 

「また、備蓄ではありませんが、子どもにはIKEAの反射ベストが便利。夜間に避難すると真っ暗になるので、これを着せようと思っています。視認性が高まると離れ離れにもなりにくいので。たまに保育園の帰りとか、日常使いすることもあります」

備蓄品は「見直し」を忘れないで

「いくら備蓄とはいえ、ストック品や防災リュックの内容が更新されないままだと、万が一、被災したときに必要なものが足りない…ということも。

 

私の場合は、防災の日の9/1と、東日本大震災が起きた3/11のタイミングで半年に1回、中身を見直すようにしています。

 

完璧とは言えませんが、負担にならないくらいの頻度で見直すことは、とても重要だと思います。最近では、マスクや除菌スプレーを追加しました」

 

台風や地震のような大きな災害をイメージすると何を用意すればいいのだろう…とわからなくなってしまいますが、まずは「週末に外に出られなくなった場合を想定してそのために必要な備蓄」を考えるとイメージしやすいかも、とぴょこぴょこぴさん。

 

「普段の生活でも、多めにあると慌てずに済むということもあると思います。マニュアルにある量や内容ではなく、自分の生活環境の収納スペースなどのバランスで、自分たち家族にいちばん適した備蓄をして防災できるのがよいですよね」

 

PROFILE ぴょこぴょこぴ(@pyokopyokop)

防災備蓄収納1級プランナーを取得し、#ぴょこ防災部 として、防災のハウツーを自身のインスタグラムにて発信。その他にもクリンネスト1級、整理収納AD1級を取得。家事にまつわる暮らしの工夫を、日々投稿している。

取材・文/松崎愛香