9/1は、防災の日。この日をきっかけに、「防災のこと」について、いま一度考えてみませんか?

 

#ぴょこ防災部 として、防災備蓄収納1級プランナーの資格をもとに、家庭で実践しやすい防災に関するハウツーをインスタグラムで発信しているぴょこぴょこぴ(@pyokopyokop)さん。彼女が防災について意識が高まったきっかけは —— 。

津波被害の怖さを聞いて育った幼少期

「私が育ったのは、深刻な津波被害があった土地です。『ここまで波が来たんだよ』『家ごと流されてしまったんだよ』と、津波を実際に経験した祖母や近所の年配の方たち、また、それを伝え聞いた両親から、津波や地震の話を聞かされて育ちました」

 

1946年の南海地震にて相当な被害を受けた土地で育ったという、ぴょこぴょこぴさん。

 

「だから頭の片隅には、なんとなく災害の意識はあったんです。

 

とはいえ、進学で上京し、いざひとり暮らしを始めても、どう備えるべきなのか…はあまりピンとこなくて。なんとなくリュックに防災グッズを詰めてはいましたが、正直なところ、リュックがホコリをかぶっているような状況でした。

 

ちゃんと備えなきゃ、とは思いつつ、あまり深く考えられてはいませんでした」

東日本大震災で変わった意識

その意識が変わったきっかけが、私たちの記憶にまだ新しい東日本大震災でした。

 

「東日本大震災が起きた当時は、仕事で会議をしている最中でした。会議がそろそろ終わろうとしているころ、強い揺れがきました。14階の会議室にいたため、かなりの揺れでパーテーションなどがガタンガタンと揺れて、『これはタダごとではない…』と感じたのを覚えています

 

家から遠く離れた事業所に来ていたので、当日は帰宅を諦め、ひと晩会社で過ごしました」

 

幸い、夫の無事も確認でき、自宅の被害もグラスが少し割れたくらいだったそう。

 

「でも、その後に計画停電があったり、スーパーの商品棚から物がなくなったり…。テレビからは津波被害の映像が映し出され、子どものころに聞かされた話がリアルに思い起こされました。『あ、これか』と、衝撃を受けたことをはっきり覚えています」

 

もし母乳が出ない中で被災したら…我が子に何が必要か

東日本大震災を経験した1〜2年後にぴょこぴょこぴさんは妊娠子どもが生まれてから考えたのは、これから同じような災害が起こったらどうしよう、ということでした。

 

「防災といっても、それまでは緊急用品やラジオ、乾パンなどを防災用のリュックに詰めておく程度でした。

 

でも、長女の出産を機に、災害が起きた時にこの子と一緒に生き延びるためには何が必要だろうと。スーパーからものがなくなって困るのは何か、考えました。

 

当時は母乳があまり出なかったこともあり、真っ先に思い浮かんだのはミルクです。粉ミルクやミルク用の水、オムツを多めに買い置きするところから備蓄品の見直しが始まりました」

 

ただ一度、買い揃えればいいというものではありません。子どもが成長すればオムツはサイズアウトするし、離乳食もどんどんステージが変わっていきます。定期的に防災リュックや備蓄品の見直しが必要になるのです。

 

「今では娘たちも大きくなったので成長にともなって頻度高くリュックを見直す必要はなくなりましたが、それでも、防災の日である9/1と東日本大震災が起こった3/11ころ、半年に1回は、防災リュックの中身を見直す習慣がつきました」

産後の台風被害でも日頃の備えに助けられた

「我が家は低い土地に建っています。数年前に大きな台風が接近するということで、3歳と6歳になる娘を連れて、事前に避難をしました。近所の学校などが避難所として開放されていて、私たちは自治体の小さな施設に義父母とともに避難しました。

 

台風は事前に予測できるため、当時は雨が本格的に降る前に余裕をもって避難所まで移動したので備蓄品も少し多く持っていけました。台風情報が出てからだと近隣の店舗から食料品などがなくなる可能性も高いので、普段から備えがあることは大切だと改めて実感しました」

限られたスペースに備蓄をどう収納すべきか。発信のために資格を取得

現在は防災備蓄収納1級プランナーの資格も取得したというぴょこぴょこぴさん。

 

「もともと収納が好きで整理収納アドバイザーの資格を取り、インスタグラムで発信をしていました。防災については『備えること』の必要性を強く感じるようになってから、投稿しはじめるように。当時は防災関連の投稿をしてる人があまりいなかったこともあり、反響が大きかったんです。

 

そこで発信をするのならきちんと勉強を、ということで資格を取得しました。いまでは防災について記事を書いたり取材のお仕事もいただくように。

 

私が発信しているのは、我が家の備えと、備蓄をどのように収納しておくかという話がメインです。日本の住宅事情的に備蓄する場所をなかなか取れない…という方も多くいらっしゃると思います。投稿やライブ配信を通して備えについて共有したり、ご質問にお答えしたりしています」

 

次回は、ぴょこぴょこぴさんが考える「備蓄」についてお話を伺います。

 

PROFILE ぴょこぴょこぴ(@pyokopyokop)さん

防災備蓄収納1級プランナーを取得し、#ぴょこ防災部 として、防災のハウツーを自身のインスタグラムにて発信。その他にもクリンネスト1級、整理収納AD1級を取得。家事にまつわる暮らしの工夫について、日々投稿している。

取材・文/松崎愛香