書籍『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(通称:ビリギャル)の著者・坪田信貴先生に、教育上で大切にしてきたことを聞きました。

心の中で子供を抱きしめる

── 子どもに教えるうえで、いちばん大切にされていることは何でしょうか。

 

坪田先生:

塾って面白いのがお金を払ってくれる人と受益者が違うんですね。

 

親からお金をもらって、子どもにサービスを提供する。だから子どもが満足していても、親が満足していないパターンが結構あるんです。

 

でも、そうなったときにどこを向くべきかと言ったら、僕は圧倒的に子どもだと思います。

 

大事にしているのは、子どもが何を求めているかだし、子どもが何をしたいかをサポートするのが僕らだと思っている。

 

いっぽうで、子どもと言ってもいろんなタイプがいます。生意気な子、無口な子、うるさい子、明るい子、波長が合う子、合わない子もいる。

 

それでも、「心の中で抱きしめる」のを常に大事にしながら対応することを意識しています。目の前にいる子どもの話を聴きながら、心の中で相手を抱きしめるつもりで接しています。どんな会話をしている時でも。

 

── なかなか難しいですよね。

 

坪田先生:

それは訓練が必要だからです。

 

水泳の本を読んでクロールができるかというとできなくて、水の中で溺れながら、何度も練習して、上手くなるわけですよね。子どもへの向き合い方も同じことです。

 

── 受験を支援される場合も、結果より成長をみているのでしょうか。

 

坪田先生:

比較ではなく、日々そういう姿勢で接していれば、結果はついてくるんです。

好意の返報性で、相手も自然と伸びていく

── テストの点ばかり言うのではなくて、心の中で抱きしめていけばということでしょうか。

 

坪田先生:

相手の気持ち、考えをまず受け入れることをしていけば、心理学的にいう「好意の返報性」が生まれて、相手もこの人のためにも頑張ろうとか、一生懸命勉強するようになるというシンプルなことで、伸びていくんです。

 

PROFILE 坪田信貴(つぼたのぶたか)

坪田信貴
累計120万部突破の書籍『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(通称ビリギャル)や累計10万部突破の書籍『人間は9タイプ』の著者。これまでに1300人以上の子どもたちを子別指導し、心理学を駆使した学習法により、多くの生徒の偏差値を短期間で急激に上げることで定評がある。大企業の人材育成コンサルタント等もつとめ、起業家・経営者としての顔も持つ。テレビ・ラジオ等でも活躍中。新著に『人に迷惑をかけるなと言ってはいけない 子どもの認知を歪ませる親の言葉と28の言い換え例』がある。東京都在住。

取材・文/天野佳代子