書籍『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(通称:ビリギャル)の著者・坪田信貴先生に、親が子どもに言ってはいけない言葉を伺います。今回は「やればできる」です。

正しくは「やれば伸びる」

── 「やればできるよ」と言いたくなってしまいますが、先生はそれは言ってはいけない言葉と著書で指摘されていました。問題があるのでしょうか。

 

坪田先生:

「やればできる」と言いますが、僕がどれだけ訓練してもNBAの選手になれるかと言ったらやっぱり無理ですよ。できません。やってもできないことの方が本来多い。

 

でも僕が練習したら、今よりバスケは上手くなる。成長はできる。成功はできなくても。

 

だから、正しくは「やれば伸びる」なんですよ。「やればできる」じゃない。

 

—— 「やれば伸びる」。そう言われると、前向きになれそうですね。

 

坪田先生:

「やればできる」というのは、結果至上主義なんです。「できるかどうか」が重要だから。

—— 目標に向かって努力するとか、未達だけれども進捗があったということは関係ないわけですね。

 

坪田先生:

そう。成し遂げられなければ「やってもできなかったね」という評価になる。

 

ならば、やらない方が評価は落ちないですよね。そのことが防波堤になって、やらないようになる。やることを避けてしまう。

 

だから、「やればできる」は本当に言わない方がいいです。

 

「頑張れ」は具体的な指摘とともに

── 代わりに何を言ったら良いのでしょうか。

 

坪田先生:

こういうところがやる気があるんだね、というといいんです。伸びていきますから。

 

「すごいゲームするよね、めちゃくちゃそこにやる気あるね。頑張れ、頑張れ」と言って、その子のその瞬間のモチベーションをこっちが言葉に出していくとその子もわかっていきます。

 

すると「なんでこの漫画が好きなのかな」、「なんでこの動画好きなのかな」とこっちも分析するし、子どもも「自分もこういうのをやった方がいい」と分析するようになっていきます。

 

坪田信貴
PROFILE 坪田信貴(つぼたのぶたか)  

累計120万部突破の書籍『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(通称ビリギャル)や累計10万部突破の書籍『人間は9タイプ』の著者。これまでに1300人以上の子どもたちを子別指導し、心理学を駆使した学習法により、多くの生徒の偏差値を短期間で急激に上げることで定評がある。大企業の人材育成コンサルタント等もつとめ、起業家・経営者としての顔も持つ。テレビ・ラジオ等でも活躍中。新著に『人に迷惑をかけるなと言ってはいけない 子どもの認知を歪ませる親の言葉と28の言い換え例』がある。東京都在住。

取材・文/天野佳代子