書籍『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(通称:ビリギャル)の著者・坪田信貴先生に、親が子どもに言ってはいけない言葉を伺います。今回は「今日学校どうだった」です。問題点はどこに ——。

その言葉で、何を聞いているのか

── 「今日学校どうだった」と聞いてはいけないと先生はおっしゃられますが、どうしてでしょう。

 

坪田先生:

何を聞かれているかわからないんですよ。

 

例えば、先生や友達との関係かもしれないし、勉強の進捗のことかもしれない。はたまた校舎自体の状態のことを聞いているのかもしれない。

 

質問の意図が漠然としていると、答えも当然「別に」とか「普通」になりますよね。

 

学校に限らず、オープンに聞いたらそういう回答が大半です。

 

それなのに「子どもが心を開いてくれない」とか「状況を話してくれない」と思ってしまう。でもそれは質問がそういうものだからなんです。

具体的な質問が信頼関係を築く

── それに親がそういう言い方だと、子どもは怒られている気がしますよね。

 

坪田先生:

そうなんです。ふだんから勉強のことばかり聞かれていると、なんだか、勉強ちゃんとやっていたと言わないといけないのかなと思ったり、隠そうと思ったりしてしまう。

 

── 具体的にどう聞いたら良いでしょうか。

 

坪田先生:

休み時間に誰と遊んだの?とか聞いてみたらどうでしょう。

 

そうすると、「誰と誰だよ」となってきます。

 

── そこでも「別に」という回答になってくることはないですか。

 

坪田先生:

「誰と遊んだの」と言って「別に」となったら、隠している、伝えたくないことがあるとわかり、「何かあったのかな」となりますよね。

 

その子が答えやすい質問からしていくことが大事。それが信頼関係を作ることになるし、少しずつ信頼関係を作るようにしていく。それがいい関係を作ることにつながります。

 

── いつもテストどうだった?と点を聞いてばかりでは信頼関係は生まれないのですね。

 

坪田先生:

部下との信頼関係と一緒だと思うんです。新入社員と話すとき、いきなり本質的なことを聞くのは無理じゃないですか。「大学の時、部活は何していたの」とかそういうところから聞いていくじゃないですか。それと同じです。

 

PROFILE 坪田信貴(つぼたのぶたか)

坪田信貴
累計120万部突破の書籍『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(通称ビリギャル)や累計10万部突破の書籍『人間は9タイプ』の著者。これまでに1300人以上の子どもたちを子別指導し、心理学を駆使した学習法により、多くの生徒の偏差値を短期間で急激に上げることで定評がある。大企業の人材育成コンサルタント等もつとめ、起業家・経営者としての顔も持つ。テレビ・ラジオ等でも活躍中。新著に『人に迷惑をかけるなと言ってはいけない 子どもの認知を歪ませる親の言葉と28の言い換え例』がある。東京都在住。

取材・文/天野佳代子