書籍『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(通称:ビリギャル)の著者・坪田信貴先生に、親が子どもに言ってはいけない言葉を伺います。今回は「早くしなさい」です。言ってはいけない気もしますが、その理由はなぜでしょう?

親の「早くしなさい」が達成されることはない

── 「早くしなさい」と言ってはいけないと先生はおっしゃいます。言ってしまいがちな言葉ですが、どうしていけないでしょう。

 

坪田先生:

早くというのもどれぐらいか、というのが大前提にあって、いつまでにとか当然ですけど、大人が意識している「早く」と子どもの意識している「早く」には乖離がある。

 

「早くしなさい」と言わなければならない状態のお子さんはいくら「早くしなさい」と言っても、親御さんが望む状態の「早く」にはならないです。

 

だって、もしわが子の行動が「めっちゃ早いな」と思っていたら、そもそも「早く」と言わないので。「早くしなさい」というお子さんて親御さんから見たら少しゆっくりしています。

 

「早くしなさい」といった時点で、それって、その言葉が達成されることはそもそもないから、自分の中でイラつきがます言葉なんです。

 

例えば、すごい太っている子がいて「痩せなさい、もっと痩せなさい」と言ってるのと同じなんです。「食事を減らしましょう」とか、「サラダをとりましょう」ならわかりますが、「とにかく頑張りなさい」では、頑張り方がわかりません。

 

お互いが不満になる言葉なんです。

「早くしなさい」というときは手順が多かったり、別のことをしていたりで、そこの部分をわかっていれば、「早くしなさい」という言葉にはならないはずです。

 

── 手順を言ってあげることが大事なんですね。

 

坪田先生:

そうなんです。5分後に家を出ないといけない状況があって、親は親で化粧したりとか子どもの着替えとか用意していて、「あ、まだテレビ見ているな」と思ったら、なんと言いますか。

 

「早くしなさい」じゃなくて、「今から300数えるあいだに家を出ないといけないから、まずはテレビを消しなさい。次に着替えなさい。着替えるときは肌着が汚れていたから一緒に変えてね」とか、「部屋に行って荷物を取ってきて」と言えばいいだけなんです。

 

PROFILE 坪田信貴(つぼたのぶたか)

坪田信貴
累計120万部突破の書籍『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(通称ビリギャル)や累計10万部突破の書籍『人間は9タイプ』の著者。これまでに1300人以上の子どもたちを子別指導し、心理学を駆使した学習法により、多くの生徒の偏差値を短期間で急激に上げることで定評がある。大企業の人材育成コンサルタント等もつとめ、起業家・経営者としての顔も持つ。テレビ・ラジオ等でも活躍中。新著に『人に迷惑をかけるなと言ってはいけない 子どもの認知を歪ませる親の言葉と28の言い換え例』がある。東京都在住。

取材・文/天野佳代子