書籍『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(通称:ビリギャル)の著者・坪田信貴先生に、親が子どもに言ってはいけない言葉を伺います。今回は「ほしいものはお小遣いを貯めて買いなさいと言ってはいけない」です。

お金が貯まるまで買うのを待たないのが社会の前提

── 著書『「人に迷惑をかけるな」と言ってはいけない』でも、子供にグローバル時代の金銭感覚を教えるために、「誕生日まで待ちなさい」とか、「お金を貯めてから買いなさい」と言ってはいけないとおっしゃっていますよね。

 

坪田先生:

目的によると思いますが、現実社会ってお金が貯まるまで本当に待っていますか、という話なんですよ。大人になってから。いかがですか。

 

住宅ローン、車のローン、現金が溜まったから買っているわけじゃないでしょう。

 

仕事の企画ひとつとってもお金があるからやりますじゃなくて、企画があって、それをしたいからスポンサーを集めるとかしますよね。それが会社です。2、3万円でもプレゼンテーションして会社からお金を出してもらいますよね。

 

金融システムって本質的に全部そうで、起業も「お金を借りたいです」と言って、銀行にプレゼンしてお金を貸してもらう仕組みです。

 

欲しいものがあったときに我慢して貯めるのは金融的発想じゃない。

アメリカ人とか現金を全然、持っていないですよ。小さいときから株を買って、その配当を得るとか、先にお金を出しておいて、配当でお金が入ってくるのが基本です。

 

でも、日本はどちらかというと毎日の給与をプラスとマイナスで貯蓄にまわしてとかしているからお金持ちになれないんだと思う。

 

そこでいかに説得力のあるプレゼンができるかだと思う。お金持ちになるためというんじゃなくても、社会に出てから必要なスキルだから。「自分はこういうことがやりたいんだ、だけどお金がたりないんだ、出してもらえないか」と言えるようにしてほしい。

 

仲間を募るときもそう。こういうことがやりたいんだ、協力してもらえないかと言って募りますよね。受験の面接も。やりたいことのアピール。だから子供のときからやり続けることが練習になります。

 

── でも家計の状態も伝えた方がいいんですよね。今は難しいとか。

 

坪田先生:

そうそう。それはプレゼンされても、すべて受け入れるのではなく「心に響かないです」とか「今は家計が実行する余力がありません」とか答えれば、それで終わる話です。

グローバルな視点でお金を使う

── そんなにお金使ったらダメだよとか、だめになるよという親もいると思いますが、それはよくないんですよね。

 

坪田先生:

お金って天下のまわりものと言われていて、使って回すものなのに、お金を使うことが悪いことだって思われている節がありますよね。使うとき、罪悪感を覚えると言う声を聞いたりする。

 

例えば、教育者がフェラーリに乗っていると「なんかあの人どうなのかしら」ってなるけど、僕に言わせたら、フェラーリ乗れるくらい成功している人にぜひ教えてもらいたい。

 

お金を使っている人というのはあまりよくないっていうイメージががあるのは日本だけですよ。

 

これからの時代が日本だけならいいけど、グローバルな目線で活躍しないと生きていけない瞬間が多々ある。今の40代、50代は英語が喋れなくても生きていけないわけじゃないけれど、今の1桁代のお子さんが活躍するのは、それこそ2050年くらいです。

 

そのころは人口も圧倒的に少なくなっていて、外国籍の方がさらに増える可能性もあります。

 

そんな社会の中でグローバル化した価値観を受け入れていける状況にしないと痛い目にあうのは自分のお子さんですよ、ということです。

 

PROFILE 坪田信貴(つぼたのぶたか) 

坪田信貴
累計120万部突破の書籍『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(通称ビリギャル)や累計10万部突破の書籍『人間は9タイプ』の著者。これまでに1300人以上の子どもたちを子別指導し、心理学を駆使した学習法により、多くの生徒の偏差値を短期間で急激に上げることで定評がある。大企業の人材育成コンサルタント等もつとめ、起業家・経営者としての顔も持つ。テレビ・ラジオ等でも活躍中。新著に『人に迷惑をかけるなと言ってはいけない 子どもの認知を歪ませる親の言葉と28の言い換え例』がある。東京都在住。

取材・文/天野佳代子