今年はコロナ禍で状況が異なるかもしれませんが、9月から年度末にかけては一般的に、人事異動や転勤のシーズンです。
単身赴任という選択もありますが、とくにお子さんが小学生くらいまでは家族で引っ越しするケースが多いのではないでしょうか。
今回は、お子さんの小学校転校にあたり、「新しい学校でうまくやっていける?」「学校選びで重視する点は?」などの疑問について解説します。
転校がうまくいくコツ:大人編
親の転勤による子供の小学校の転校は、どのように進めればいいのでしょうか?
引っ越し先で公立小学校へ転校する場合は、特に学力試験等もなく、役所に届け出るだけで新しい居住地の学区の小学校にすんなり転入できます。
私立の小学校に転入したい場合は少し複雑で、定員に空きがあればいつでも受け入れ可能な小学校から、そもそも転入の受け入れをしていなかったり、限られた時期だけ受付していたりという学校までさまざまです。
また学校によっては学力試験があったり、前の学校も私立であればその学校のレベルも考慮されたりします。
先に住居を決めてしまうと公立では自由に他学区の小学校を選ぶことは難しく、私立の場合は通学時間などの条件も加わって学校の選択肢は限られてきます。
転校してから「しまった」「うちの子に合わないみたい」とならないためには、住居を決定する前に、地域の小学校の特徴を把握しておくことがポイントです。
私立小学校なら、学校のホームページなどでカリキュラムや校風などが詳しく分かりますし、転入に関する規則は電話などで教えてもらえるでしょう。
公立でもホームページを開設している小学校は多いですが、規模や立地などは分かっても、校風や独自性はそこまで伝わってこないかもしれません。
もし、お子さんが転校前の小学校で人間関係のトラブルで苦しんでいたり、受け入れ体制がどのようになっているか知りたい場合は、教育委員会や自治体の窓口に問い合わせると教えてもらえることもあります。
転校がうまくいくコツ:子供編
小学生のお子さんが新しい学校やクラスになじめるかどうかは、本人の性格や気質と学校やクラスの環境、両方の要素があります。
学校やクラスの雰囲気は、「親編」で紹介したようにある程度は事前に予測できますが、あくまでも問い合わせたり調べた時点での情報。
特に公立小学校では、校長先生や主任の先生が異動すると学校全体の雰囲気や方針がガラッと変わることもありますし、クラス替えや担任の先生によってもクラスの雰囲気は変わってきます。
そんな中でお子さん自身にできる対策はあまり多くありませんが、自身の子供時代に転校を経験したママたちに当時の体験談を聞いてみたので、ぜひ参考にしてみて下さいね。
「小学校3年生で1回、中学1年生で1回、父親の転勤に伴って転校しました。私はどちらかというと人見知りで、あまり自分から積極的に話しかけるタイプではなかったのですが、せめて話しかけやすいようにと、下を向かずに顔を上げておくようにしていました。すると、近くの席の子など、誰かしら話しかけてくれましたね」(Mさん・4年生と1年生のママ)
「小学校4年生の2学期から転校しました。学年の最初だとすっと溶け込めそうですが、2学期はちょっとハードル高めですよね。でも、新しい担任の先生が、事前に好きなスポーツや漫画、ペットなどを聞いてくれて、自己紹介のときに○○なんだって!と補足してくれたおかげで、共通の趣味がある子と友達になれました」(Tさん)
自分から積極的に話しかけられる子はともかく、そうでない子は「話しかけるきっかけ」を用意しておくのが良さそうですね。
転勤以外で転校するとき
なお、保護者の転勤で引っ越しや転校をするのではなく、人間関係のトラブルやいじめなどが原因で転校を検討しているお子さんや親御さんもいるかと思います。
この場合の受け入れ対応は、自治体や学校ごとに異なりますが、文部科学省の資料を見ると、近年ではいじめが原因と分かっている場合は転校できる例が多いようです。
いじめられる児童生徒には、保護者の希望により、関係学校の校長などの関係者の意見も十分に踏まえて、就学すべき学校の指定の変更や区域外就学を認める措置について配慮する必要があること。
参考:文部科学省「いじめの問題に関する総合的な取組について(抄)」 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakko-sentaku/06041014/008/002.htm
不登校については、現在、転校の可否についてはっきりと述べられた資料はありませんが、本人には登校する意欲はあるのに人間関係のトラブルが原因で登校できないような場合は、弾力的な対応が取られることが増えているようです。
おわりに
子供は、大人と比べてあっという間に新しい環境になじむ…といいますが、やはり周りの環境や本人の性格などで、そのスピードには差があるといえるでしょう。
今回お話を聞いたママからは、「複数の学校や環境を知って価値観が広がった」「少人数の閉鎖的な雰囲気の学校から、大人数の学校に転校してのびのびできた」など、転校してよかった点もいくつもあげられています。
お子さんが転校するときにもそう感じることができるよう、忙しい中ではありますが、下調べなどをしっかり行って、新しい学校でも楽しく過ごせるようサポートしてあげたいですね。
文/高谷みえこ