聞き上手な親を目指したいけれど、そもそもコミュニケーションが苦手…。
教育評論家の親野智可等さんは、そんな聞き下手なママがわが子との信頼関係を高めるためには、スキンシップを上手に活用することが大切だといいます。その具体的なテクニックとは?
会話が苦手なら、スキンシップで子どもの心をつかもう
── 「子どもとうまく会話できない」人のなかには、親自身がコミュニケーションに苦手意識を持っているケースも少なくありません。
親野さん:
なにも会話だけがコミュニケーションのすべてではありません。たとえ、言葉巧みで会話が弾ませることができたとしても、そこに心がこもっていなければ、本当の意味での信頼関係は築けませんよね。
逆に、言葉で伝えるのが苦手だけれど、実はすごく思いやりがあって優しい人のほうが安心できます。ですから、たとえ会話が苦手でも、心から子どもを思いやる気持ちを持っているのであれば、そんな自分を否定する必要はまったくありませんよ。
親野さんのおすすめは「8秒抱っこ」
── 会話以外で子どもとの信頼関係を高める方法はありますか?
親野さん:
そういう人は、特にスキンシップを大事にしてほしいですね。ハグをしたり、頭を撫でてあげるなど、できるだけ子どもとの触れ合う時間を作り、習慣にしましょう。
すでに多くの専門家が指摘しているように、スキンシップの効果は絶大です。子どもにとって、親の愛情を身体全体で実感できるので、心が満たされ、気持ちが安定します。自分は愛されているという実感が自己肯定感に繋がり、頑張るエネルギーになります。さらに、他者への信頼感も高まるので、人間関係を上手に作れるようになるんです。
以前、「8秒抱っこ」がネットで大きな話題になったことがあります。8秒という時間は、子どもが愛情を感じられる最短時間とのこと。もちろん、「1、2、3…」などと数える必要はありませんが、“忙しい中でもこれくらいはできるはず”という意味で「8秒抱っこ」を意識すると良いと思います。
そのときに、「大好きよ」「いつもありがとう」などとポジティブな言葉を伝えるとさらに効果的です。スキンシップによって幸せホルモンが出るので、子どもはもちろんママ自身の心の安定にもつながります。
イライラしたときはゆっくり撫でる「タッチケア」
── 言葉でのコミュニケーションが苦手でも、スキンシップで十分カバーできるのですね。「8秒抱っこ」ぜひ取り入れてみたいです!
親野さん:
くすぐりあいやじゃれつき遊びも効果的です。もうひとつ良い方法が、体を撫でてあげる“タッチケア”。背中でもどこでもいいので、1秒間に5cmほどのはやさでゆっくり撫でてあげましょう。
この方法は、イライラしたときに自分自身に施すのも有効です。私もストレスや緊張を感じるときは、みぞおちあたりをゆっくり撫でるのですが、心がスッと落ち着きます。ぜひ試してみてください。
Profile 親野智可等さん
教育評論家。本名・杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。Twitter、YouTube「親力チャンネル」、Blog「親力講座」、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」などで発信中。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。Twitter、YouTube、Blog、メルマガ、講演のお問い合わせなどは、インターネットで「親力」で検索してホームページへ。
取材・文/西尾英子