“忙しいから”とつい適当に対応したり、逆に、干渉しすぎてしまったり…。
子どもとの会話で親がついやってしまいがちなNG行為には、意外と気づけていないもの。具体的なNG例とその理由について、教育評論家の親野智可等さんに伺いました。
親子の会話でよく見るあの構図…実は最大のNG行為だった!?
── 子どもの話を聞くときに、ついやってしまいがちな言動が実はNGだった…ということがありそうで心配です。
親野さん:
いちばんありがちなのが、スマホをいじりながら、あるいは、テレビに目をやりながら子どもの話を聞く“ながら聞き”です。よく見る光景ですが、子どもからすれば「自分と向き合ってくれない、適当にあしらわれている」と寂しく感じてしまいます。
子どもと話をするときは、できるだけ作業の手を止めるなどして、しっかり対応することが大切。さらに、しゃがんだり椅子に座るなどして、目線の高さを揃えましょう。それにより「自分は親にとって大切な存在なんだ」と愛情を感じることができるのです。
また、未就学児の子どもに何か伝えたいときや指示をしたいときには、子どもの視界に入らないとあまり効果がないことがわかっています。
── それは意外でした。“言葉だけでは伝わらない”ということでしょうか?
親野さん:
大人同士なら声だけで伝わりますが、小さな子どもの場合、視覚情報に頼る部分が多く、言葉だけでは、自分に話しかけられているのかどうか理解できないケースも多いのです。これはお年寄りも同じ。
ですから、特に大事なことを伝えたいときや、なにか指示をしたいときは、きちんと子どもの視界に入り、目の高さを揃えて、視線があった状態で話すことを意識してください。それによって、子どもの聞く体制が整い、伝わり方が違ってきます。
子どもに指示するとき、大事なのは「ポジティブに表現する」こと
── 子どもがなかなか言うことを聞いてくれず、頭を悩ませている親は少なくありません。効果的な伝え方はありますか?
親野さん:
子どもに指示を伝えるときのコツは、「ポジティブな表現を使う」「できるだけ具体的に伝える」「指示は1つずつ行う」の3つです。
例えば、「片づけなくてはダメでしょ!」などの否定的な表現ではなく、「さあ、お片づけしようか!まずは、ココにあるおもちゃをあの箱に入れようね」というように、具体的な方法を示すことで行動を促しましょう。
さらに、話を聞くときのNG行為としてあげられるのが、否定しない、話の腰を折らないこと。詰問口調で質問を繰り返すのもタブーです。
「昨日●●ちゃんたちと遊んだよ」といった子どもの話を受けて、「そうなんだね。どんなことをしたの?」程度の質問ならいいのですが、「どこで遊んだの?メンバーは誰?そのあとは、どこでどんなことをしたの?」などとしつこく聞きすぎると、子どももうんざりして話す意欲をなくしてしまいます。意外とやりがちなので、気をつけてください。
Profile 親野智可等さん
教育評論家。本名・杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。Twitter、YouTube「親力チャンネル」、Blog「親力講座」、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」などで発信中。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。Twitter、YouTube、Blog、メルマガ、講演のお問い合わせなどは、インターネットで「親力」で検索してホームページへ。
取材・文/西尾英子