現在、公立の小学校に通っているお子さんのママ・パパのなかには、小さいうちから中学校は私立と決めている人、地域の公立中学校を予定している人だけでなく、「私立・公立どうしよう?」と迷っている人もいるのではないでしょうか。

 

また、転勤などで都市部に引っ越してきたら、周囲は中学校受験で私立に行く子ばかり。あわてて検討を始めたという人もいるかもしれません。

 

そこで今回は、私立中学校と公立中学校の違いやメリット・デメリットを比較し、納得して選ぶためのポイントを解説します。

私立中学校受験はいつごろ決めるべき?

両親ともに小学校から私立、もちろんわが子も受験を予定している…という家庭はともかく、お子さんが小さいうちは中学校受験についてはっきり決めていない人も多いと思います。

 

「私立中学校」とひとことで言っても、校風やカリキュラムはさまざまです。

 

しかし、入学試験である程度の学力が求められる学校を希望するなら、ほとんどの子が塾に通い、早ければ小学校4年生から受験勉強をスタートします。

 

4年生のクラスは上の学年の入試が終わった直後から年度が始まるため、実際にスタートするのは3年生の2月(3学期)頃。

 

となると、塾選びや申し込み期間なども考えて、小学校3年生の秋頃までには中学受験をするかしないかを決める親子が多いといえるでしょう。

私立・公立中学、それぞれのメリットとデメリットは

私立中学と公立中学の一般的なメリットとデメリットを、ポイントごとに比較しながら見ていきたいと思います。

学費

文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査の結果」によると、公立・私立それぞれの中学校の3年間の学習費総額は以下のように、私立では公立の約3倍近くとなっています。

 

  • 公立中学校…48万8,397円
  • 私立中学校…140万6,433円

 

2人、3人ときょうだいが増えれば差額はますます広がります。

 

中学校は義務教育のため、公立であれば基本的に授業料や教科書代は必要なく、お金が発生するのは制服や学用品・部活の費用・修学旅行などの行事費などですが、私立では授業料に加えて通学の交通費がかかることが多く、制服や行事費用なども全般的に高額になりがちです。

 

ただ、学費の高さにはそれなりの理由もあり、公立よりも充実した設備や体制の中で学んだり、スポーツなどに打ち込めるのが私立のメリットです。

人間関係

2021年現在、東京都では約4人に1人が私立中学校に進学しますが、地方では私立中学校に行くのはクラスで1人だけということも珍しくありません。

 

仲良しの友達がみんな公立中学に行く場合は、新しい環境に慣れるまで淋しい思いをする可能性はあります。

 

逆に、小学校でいじめやからかいなどの被害に遭っていた場合は、加害者の子たちと離れることで安心できるでしょう。

 

私立校では、親の経済状況や教育方針など似通った家庭環境の子が集まりやすいため、比較的落ち着いて過ごせることが多いといわれます。

 

一方で、実社会に出ればさまざまな人とうまくやっていく必要があるため、公立中学で幅広いタイプの同級生や先輩後輩と関わりながら成長することも大きなメリットといえます。

部活

公立の中学校の部活動は、一部の強豪校をのぞき、予算や顧問の先生の負担軽減のため練習時間が限られていたり、そもそもやりたい部活がなかったりします。

 

私立では専門の外部コーチを招いている部も多く、多くの学校で体育館やナイター設備なども充実しています。

 

また、そのまま高等部に進学する場合は6年間を通じてじっくりと活動に取り組むことができるのもメリットです。

 

大会やコンテストなどでは公立中学が上位に勝ち進むことも珍しくないので、一概に私立が有利とは限りませんが、子ども自身に打ち込みたいスポーツがある場合、部活も重要な選択のポイントになってきます。

子供の負担

中学受験や私立中学への通学は子供自身にとっても負担が大きい場合があります。

 

4年生から中学受験準備を始めれば、6年生までの約3年間、外で友達と走り回って遊んだり、時間を忘れて趣味に打ち込んだり…といった経験をする時間は受験勉強に費やされてしまいます。

 

また、遠距離の電車通学は近所の中学校に通うのと比べて時間的負担も大きく、感染症などへの不安もあります。

 

とはいえ、独自のカリキュラムや校風、気の合う仲間との学校生活など、負担を上回るメリットが感じられれば子供も乗りこえていけます。

 

そのためには本人が納得して中学受験に向かうことが欠かせないといえるでしょう。

おわりに

お子さんの中学校の進学で私立と公立どちらを選ぶかについては地域差も大きく「私立しか考えていない」「ほぼ公立一択」という人も少なくありません。

 

しかし、どちらの可能性もありはっきりと定まっていないときは、今回の記事も参考に、子供自身の希望や適性、また家族としてどの部分を重視するのかをよく見極めて決定して下さいね。

文/高谷みえこ

参考/文部科学省「平成30年度子供の学習費調査の結果について」 https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_01.pdf

一般財団法人 東京私立中学高等学校協会 東京私学ドットコム 中学校 | データから見る東京の私立 https://j.tokyoshigaku.com/knowledge/about-shigaku.html