「子どもが反抗期を迎え、あまり話してくれなくなった」「話しかけても“ウザい!”と言われ、心が折れそう…」。
成長の証だとわかってはいるけれど、子どもの変化にどう対応していいかわからず戸惑う親も。反抗期の子どもには、どんなコミュニケーションが有効なのでしょうか。教育評論家の親野智可等さんに対策を聞きました。
反抗期の子の冷ややかな態度にどう対応するのが正解?
── 子どもが反抗期を迎えると会話がグッと減ったり、急に避けられてしまったり…。どう対応していいか、戸惑う親は少なくありません。
親野さん:
よくある悩みですが、思春期で反抗期にさしかかった子どもに無理やりコミュニケーションを取ろうとしすぎると、かえって距離を置かれてしまい、逆効果です。だからといって、働きかけることを完全にやめてしまうと、子どもは“見放された”“自分に関心がなくなったんだ”と寂しく感じて、よけい反発してしまう場合も…。
こうした時期は、無理やり会話をしようとするのではなく、たとえ子どもが無反応でも、日々のさりげない声がけを続けていくことが大切です。
「今日もいい天気だね!」「●●の大好きな卵焼き、できてるよ」とか、子どもが帰ってきたら「今日もご苦労さん!」「無事に帰ってきてくれてありがとう、うれしいよ」などと、親の愛情を感じられるようなポジティブな声掛けが効果的。うざい!と言われても気にせず、ドンと構えておきましょう。
逆に、「肘をついて食べない」「靴はちゃんとそろえて!」などの小言を繰り返すのは、反抗期が無駄に長引くだけなので避けた方がよいでしょう。
ただし、人として許されないような卑怯な行動や言動に関しては、「それはよくないよ」と真剣なまなざしで伝えること。そうでないと、「こんなことも注意してくれないなんて、もう自分のことはどうでもいいのかな」と感じてしまいます。
子どもが興味のある話題を小出しにして様子見を
── とはいえ、やっぱり以前のように楽しく話がしたい…と願う親も多いでしょう。コミュニケーションのきっかけをつくる方法はありますか?
親野さん:
例えば、子どもの好きそうな話題を振るのもひとつの手です。「●●の好きなアイドルの●●くん、最近かっこよくなったよね」とか「ママもこのゲームやってみたいから教えてよ」など、子どもの好きなものを肯定して会話のきっかけにしてみるのもいいかもしれません。
ただし、子どものタイプにもよるので注意が必要。自分の世界に踏み込んでほしくない子もいるし、無理にすり寄ってきてウザい!と、反発を招く場合も…。ですから、子どもの反応を見ながら、小出しにするのがいいかもしれませんね。
Profile 親野智可等さん
教育評論家。本名・杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。Twitter、YouTube「親力チャンネル」、Blog「親力講座」、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」などで発信中。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。Twitter、YouTube、Blog、メルマガ、講演のお問い合わせなどは、インターネットで「親力」で検索してホームページへ。
取材・文/西尾英子