体力が消耗される、夏。仕事で疲れた日はつい、そうめんなど単品に頼りがちです。「身体が心配だしこのままじゃマズい。でも、毎日献立を考えるのは大変だし無理…」と途方に暮れている人もいるかもしれません。
そんな声に応えるべく精力的に活動しているのが、SNS総フォロワー80万人超の人気料理ユニット・ぐっち夫婦。YouTubeの人気コンテンツ「平日をラクにする一週間献立」にも、その思いはぎっしり詰め込まれています。
共働きで、ときには遅い時間まで仕事をする日もあるけれど、簡単で美味しいものを日々楽しむことが何より幸せと話すふたり。普段の献立作りでいちばん大事にしていることって何なのでしょうか?
まず食べたい主菜を想像!次に主菜がおいしくなる副菜を考える
── 実は私、平日の夕飯の献立を一度に考えることがほとんどなくて、正直その日暮らしなんです(苦笑)。料理には苦手意識もあって…。どこからどう決めていけばいいのでしょうか?
SHINOさん:
そもそも、無理をして一度に5日分の献立を決める必要はないんです。2〜3日分ずつ決めればいいですよ。実際、私たちも献立は2〜3日分ずつくらいで考えることが多いです。
私たちはYouTubeで5日分の献立をまとめて紹介していますが、これは献立を考えるのに困っている人に向けた企画だから。少しでも悩まずに、ラクしてもらいたいので。
Tatsuyaさん:
自分で考える場合、まずは主菜として食べたいものから決めるのがいいと思います。ハンバーグやしょうが焼きなど、わかりやすい主菜を選ぶと早いですよ。
和風、洋風、中華など、味つけのジャンルが続くと飽きてしまうので、そこだけ気をつけたほうがいいですね。
── 副菜はどうやって決めていけばいいですか?
Tatsuyaさん:
主菜がよりおいしくなる副菜、を意識すれば考えやすいと思います。味のジャンルは主菜と合わせ、主菜がこってり系なら副菜はあっさり系にするとか、主菜の味つけがトマトベースなら副菜は塩・こしょうでシンプルに仕上げるとか。食材を2品以上使えば、副菜は1品で十分だと思います。
── 副菜は1品でいいと聞き、気がラクになりました!家族の好物をうまく組み込みたいときはどうしたらいいでしょう?
SHINOさん:
家族の好物が明確だといいですね!献立をたくさん考えなくてすむのでラクだし、毎週金曜日はカレーの日と家族の共通認識にすれば、「え、またカレー?」と嫌がられることもありませんから。
わが家の場合、週1で必ず食べる好物メニューはありませんが、疲れたときはお刺身を買うのが定番になっています。
定番料理も旬の野菜を取り入れれば食べ飽きない
── 献立を考える際に気になるのが材料費です。なるべくお金をかけずにおいしい料理を作りたいのですが、コツはありますか?
Tatsuyaさん:
旬の野菜をぜひ積極的に使ってください。立派なものも安くておいしいし、季節性も出る。ハンバーグやチキンソテーなどの定番料理に旬の野菜を組み合わせると、幅が広がると思います。ハンバーグなら夏はソースをトマトソースに、秋はきのこソース、といった感じで。
── いちから考えるのは大変だけど、定番料理をアレンジするなら気軽に旬な野菜を取り入れられそうです。夏の旬野菜で、特に使いやすいものというと…?
SHINOさん:
やっぱりトマトですね!トマトは生のままサラダにしがちだけど、加熱すると旨み成分が出てすごくおいしくなるんです。チキンソテーのトマトソースにしたり、スープに入れたりしてもおいしいですよ。
Tatsuyaさん:
麻婆トマトもおすすめですよ。ひき肉と一緒にトマトを炒め、豆腐を入れて煮込めばあっという間に完成します。酸味と甘みのバランスが最高だし、後味もさわやかで夏にぴったりだと思います。なすもおすすめですね。どの季節でも売っているけど、旬の夏がいちばんおいしい!
── なすって油を吸い込んでギトギトになりません?あまりうまく活用できないんです…。
Tatsuyaさん:
それはなすと油の相性がいい証拠。油を吸収したなすはトロトロの食感になり、とってもおいしいんですよ。夏ならピリ辛の味つけとか、豚肉と合わせて照り焼き風に炒めるとか。麺にも丼にも合うので、いろんな食べ方をして楽しんでもらいたいです。
SHINOさん:
ちょっとオイルをまわしかけてレンチンすると、キレイな色でふっくら蒸したように仕上がります。和えものにしてもおいしいですよ。
当日食べたいものが変わったときはどうしたらいい?
── せっかくメニューを決めていても、当日になって「今日は気分じゃないな…」なんてこともありそうです。そんなときはどう対応したらいいですか?
SHINOさん:
別の調理法にすると、メニューをガラッと変えることができるので、急な変更に対応できますよ。
Tatsuyaさん:
メインとなる素材1つにつき、「失敗しない調理パターン」を3つくらい想定しておくと安心かもしれません。焼く、レンジで蒸す、ご飯と一緒に炊く、といった感じで。
その中でこってり系は焼く、さっぱり系はレンジで蒸すなど、味つけの方向性が分かれていると、よりスムーズに対応できると思います。
── なるほど!でも、そこまでの域に達していない人もいるかもしれません。「ちょっと特別感があるのに、作るのはラク」なメニューがあったら最高なんですけど…。
SHINOさん:
焼くだけ、蒸すだけなど、調理法はシンプルにしつつ、添え野菜の彩りやたれで特別感を演出できる方法もありますよ。
それと、仕上げにちょこっと野菜を添えるだけで見た目が華やかになるので、冷凍しておくと便利です。小ねぎとパプリカは切ってから、ミニトマトはヘタを取って切らずにそのまま冷凍するだけで大丈夫。
味に特別感を出したいときは、市販のたれにほんの少しスパイスやハーブを加えるとお店っぽい味になります。シーザードレッシングにひとつまみカレー粉を入れたり。
Tatsuyaさん:
ごまドレッシングにチューブのおろししょうがを入れてしょうが風にして、豚しゃぶサラダにかけたり。オニオン和風ドレッシングには、わさびを加えるとさっぱりしておいしいですよ。
自分のお気に入りの味をいろいろ試してみてください!
Profile ぐっち夫婦
Tatsuya、SHINOからなる夫婦料理家ユニット。「日々の暮らしを楽しくおいしく。ちょっとおしゃれに」をテーマに、レシピ開発をはじめ、オンライン料理教室、ブログ、SNS、各メディアで食の情報を発信している。近著は『お疲れ、乾杯。今夜は家呑み』(KADOKAWA)。https://gucci-fuufu.com https://note.com/guccifuufu/
取材・文/小松﨑裕夏 撮影/松村隆史