こんにちは。メンズカウンセラーの中村カズノリです。
夫婦関係に問題を感じている読者の悩みの解決方法を探っていく本連載。今回は、このコロナ禍ならではのお悩みです。夫と小学生の長男との3人暮らしのMさん(37歳)にお話を伺いました。
Mさんの相談内容
コロナ禍で夫の在宅勤務が続いています。私は今は働いていないので、これまで日中は自分の好きなように家事をしたり休憩したりしていたのですが、夫はそんな私に何かにつけて文句を言ってきます。
「なんで掃除機かけてないのに休憩してるの?」とわざわざ言ってきたり…私には私の予定があるのに、そういうことはまったくお構いなしなんです。
狭いわが家で快適に仕事をするのは難しいだろうから、イラだつ気持ちもわかります。だからといって、私に当たられても…。今は週に2〜3回は出社していますが、夫が家にいる日は気が重いです。
在宅勤務でストレスMAXの夫に「何サボってるの?」と責められる妻は…
学生の頃からの付き合いで、数年の遠距離恋愛を経て結婚したというパートナーは、まさに激務をこなす日々。これまでは朝8時に家を出て日付が変わる頃に帰宅することも多く、家事や育児はMさんがほぼ100%担ってきたそうです。
ところが、コロナのせいで状況が一変し、パートナーは週の半分を在宅勤務することに…。
リモートワーク自体はもちろん悪いことではないのですが、Mさんの住まいは通勤通学の利便性重視で選ばれた家で、落ち着いて仕事できるようなスペースはないのだそう。
昨年の一時期は長男の小学校の授業もリモートだったそうで、その頃は掃除機ひとつ満足にかけられない、何か取りに行くにも物音を立てないよう、カメラの範囲に立ち入らないよう気をつかう、窮屈な日々だったと言います。
そして今年もまた、夏休みの時期が来てしまいました。緊急事態宣言やまん延防止措置などで、林間学校などの行事も予定通り行われるか定かではなく、夫婦の実家はどちらも遠方で帰省もしづらい…まさに八方塞がりの状況です。
そんな状況では、家族皆がどうしてもイライラしてしまいますよね。ちょっとしたケンカや、小さな衝突が増えてしまったというのも無理のないことです。
物理的に狭すぎる状況が人をイラつかせる
「Mさんの気持ちがよくわかる」という人は読者の皆さんにも多いのではないでしょうか。これ、とても難しい問題ですよね。
落ち着いて過ごすためのパーソナルスペースとして、どの程度の広さが必要かは人それぞれ違いますが、物理的に狭すぎるのは、気の持ちようではどうにもなりません。
今より広い家に引っ越しするという案も出たそうですが、もともと長男の中学受験後に引っ越す予定だったことと、長男本人が現時点での引っ越しを嫌がっていることもあり、計画が頓挫してしまったそう。
「リモートワーク」に不向きな性格なら、在宅勤務は苦痛でしかない
リモートワークって、例えば部屋の広さとか椅子の座り心地とか、環境面の問題ももちろんあるのですが、その人の「性格的な向き・不向き」もあります。
満員電車での通勤がなくなってラクになったと喜んでいる人もいれば、「家」というプライベートな空間を「仕事」に侵食されるのがどうにも耐えがたい、という人もいます。
Mさんのパートナーは、自分は家では仕事がはかどらないタイプだと自覚しているよう。そもそも物理的にも限界があるため、なるべく出社したいと言っているそうですが、会社の方針を無視するわけにもいきません。
本来であれば、それぞれの都合に合わせて選べるのが一番なのですが、Mさんのパートナーの会社では、今後コロナが落ち着いてもリモート勤務が継続されることがすでに決まってしまっているそうです。
この状況をどうにか改善しようと話し合えない夫婦…その本音は
僕だったら、例えば、最近よくあるホテルのリモートワーク向けプランを利用したり、今後もっと比率が上がった場合は、子どもの長期休みの期間だけウィークリーマンションを借りるといった選択肢も視野に入れるかもしれません。「会議中だから静かにして!」と怒りながら仕事をするのはしんどいですから。
費用はかかってしまいますが、ほかならぬ家族の心身のため、それくらいの出費はやむを得ないように思います。
「いざとなったら、長男にゲーム機を持たせて喫茶店に母子で避難するなどの対策は考えている」と話すMさん。とはいえ、子ども連れではMさんの気が休まらないし、夏休みの宿題などの都合もある。このコロナ禍という状況的にもなかなか難しそうです。
継続的に家族で話し合って、ベストな方法が見つかればいいのですが…。
…と、ここで、この状況に1年以上甘んじてきたことが気になりました。こんなにお互いにストレスフルな状況なのに、このままやり過ごすにはちょっと無理があります。「この状況について夫婦で話されていますか?」と質問したところ、Mさんは口ごもってしまいました。
どうやら「なかなか直接は言いづらい、パートナーとケンカになりそうで躊躇してしまう」という気持ちがあるようです。
そこから見えてきた別の問題については、次回お話します。
文/中村カズノリ イラスト/竹田匡志