「ママが幸せじゃないと、子どもは幸せになれません」と断言するのは、心理学や行動科学を元にママの怒りを手放す方法を編み出した星渉さん。でも、どうやって?
実は、脳が幸せを感じるための方法があるんです。
自分にとって幸せは何か決める
── 著書『神子育て』のなかでもママの幸せが大事とおっしゃっていますが、それはどうしてですか。
星さん:
幸せは感情です。幸せは伝染すると科学的にも証明されています。ママの機嫌がいいと、家族に伝染してみんなが幸せになるんです。
── そのために、私たちが幸せになるためにはどうしたらいいのでしょう。
星さん:
とてもシンプルです。ママが幸せになるには、自分にとって、幸せとは何かを決めるだけ。
多くのママは子どもを授かってから、子供の幸せが親の幸せになってしまいがちです。冷静に考えた時、ママの幸せが、子供の良い状態だと、子供に左右される人生になってしまいます。
周囲のサポートも受けながら、育児中もひとりで読書や買い物をする時間を持つ。自分自身でストレスを解消し、機嫌をとる方法がないと、子どもに依存してしまいます。
子どものためにも、子育てにだけ固執するのではなく「自分がやりたいことを決める」ことが大切です。
これを心理学では「課題の分離」と言いますが、自分と子どもを切り離す。子どものことだけで一喜一憂しないと決めます。
── 子どもが怒っていること、子どもの課題とママの気持ちを切り分けた後はどうしたらいいですか。
星さん:
次に、ママの視野を広げることが大切です。知る量を増やすことが次のステップです。
そして、少しずつ気になることをお母さんが体験してみて、自分に響くもの、響かないものを分けて1年後、5年後どうなっていたいか、目的地を設定してください。
ママがどうなりたいかの目的地を設定しないと、子育ても人生も迷います。
アメリカに行きたいのに新幹線に乗っては困りますよね。東京から横浜に行きたいのに飛行機に乗っても困ります。
同じ滑走路から飛び立っても、それぞれ別の場所に行けるのは目的地がはっきりしているからです。子供とは関係なく、ママ自身がどうなりたいかの目標を決めましょう。
一番重要なのは「目指す」ということ
── そうやって1年後、5年後の目的地を設定するんですね。
星さん:
はい。そして、最も重要なことは、達成することではないんです。「目指す」ということなんです。極端な話、目指している状態なら良くて、失敗してもいいんです。
なぜかというと、科学的には将来に希望が持てた時点で、ポジティブな感情は起きてくるんです。
では、将来の希望はどうやったら持てるかというと、個人的な成長を感じられると、「この先良くなりそうかもしれない」と思って、希望が持てます。そういうメカニズムなので、将来の目標を設定し、日々目指すことを始め、少しずつ成長を感じられると、幸せな感情が持てます。
そうした方法により、最終的にママが幸せになれる、という仕組みです。
── 達成したかより、今現在、目指している状態が幸福を感じられるんですね。
星さん:
そうなんです。極端な話、目標を達成しても、目標に近づいている実感なく達成してしまうと、充実度はあまり高くないんです。宝くじにある日、当たっても瞬間的な嬉しさです。しかし、努力して収入が上がった喜びは全然違う。それとも似ています。
例えば子育てでイライラしてしまう場合、1年後、イライラしない自分になろうと目標を設定してみます。
では、できることは何だろうと考えます。 1日10分だけでも努力と成長を感じられるとポジティブな気持ちになっていきます。そして余裕がうまれます。
子どもがテレビゲームをしていたとして、それを見て「何しているの」とイライラするのか、「熱中できるものがあるのね」と静かに思うかは親の受け止め方次第です。
ゲームをしている事実は変わらず、親にどれだけ余裕があるかによってイライラしなくなります。
── 失敗してもいいから目標を設定し、日々何かしら「目指す」ことを意識してみたいですね。
PROFILE 星渉さん