身の回りで起きたことについて、悪い理由ばかり考えてしまう…。
未来のことについて、悪い結末ばかり予想してしまう…。
そんな「マイナス思考」はなぜ起こるのでしょうか?
ママやパパがマイナス思考だと子供にも遺伝してしまうのか、改善方法はあるのかなどについて考えてみました。
「マイナス思考」とは?
「マイナス思考」は、心理学などで正式な定義がされているわけではなく、人の性格や考え方のクセのようなものだといわれています。
マイナス思考な人、マイナス思考の傾向がある人とはどんな人なのか、特徴をあげていきましょう。
- 物事の良い面ではなく悪い面ばかり見てしまう
- 環境や人に対して、文句や愚痴が多い
- これから取り組むことについて、失敗や悪影響ばかり予想する
例えば、今日一日の仕事を振り返ったとき、上司叱られたことや苦情の電話などが真っ先に浮かんでしまう人。
実際には同僚にフォローしてもらったり、電話対応のスキルが身についたりと良い面もあるにも関わらず、悪かったことばかり探していると、どんどん習慣化して、何事に対しても悪く考える「マイナス思考」になるといわれています。
似た言葉としては「ネガティブ思考」、反対の意味を持つ言葉としては「プラス思考」「ポジティブ思考」などがあります。
親がマイナス思考だと子供に遺伝する?
マイナス思考は遺伝(生まれつき)のものか、親や兄弟など周囲の人の言動の影響で後天的になるものか、どちらなのでしょうか。
これまでに、親の性格をマイナス思考・プラス思考のグループに分けて子供の性格を比較するといった大規模な研究は行われていません。
しかし子供は身近な大人の判断基準を取り入れて成長するため、親や祖父母など周囲の大人が何かにつけて「そんなのうまく行くわけないでしょう」「最悪!」などのマイナス思考的な発言をしていれば、子供がその影響を受けることはじゅうぶん予想されます。
ただ、過去の研究では、不安を軽減し情緒を安定させる脳内物質「セロトニン」を取り込む「セロトニントランスポーター」が多いか少ないかによって、悲観的(マイナス思考)か楽観的(プラス思考)かが決まるという報告があるそう。
そして、日本人は海外の諸国と比べ、悲観型の人の割合が非常に多いことがわかっています。
その理由は災害が多く、常にネガティブな要素を気にかけていた方が危険を免れるからだという説もあります。
たしかに日本では慎重・控えめ・計画的な人が評価されやすい面があり、もはや親の遺伝というよりも国民性といえるのかもしれません。
マイナス思考にもメリットがある
よく、自分がマイナス思考なのかプラス思考なのかを知るための例として出されるのは、コップのちょうど半分まで水が入った絵を見て、どう感じるかというテストです。
「まだ半分も水がある」と思ったらプラス思考、「もう半分しか水がない」と思ったらマイナス思考というもの。
しかし、この時に「半分しかない」とマイナス思考で考えたからこそ早めに水を補充できて、あとでのどが乾いて困らずに済む…という可能性もあります。
水がたりないと思ってパニックになったりもうだめだと悲観的になったりせず、落ち着いて対策を考え備えることができるのならば、マイナス思考はりっぱな長所だといえるでしょう。
マイナス思考の改善方法
それでも、やっぱりわが子には物事の良い面に目を向け、未来のことにも前向きにチャレンジしてほしい…というのも親心ですよね。
上記のように、先のことをシミュレーションして悪い状況だった場合に備えてしっかり準備するのはむしろ長所であることをふまえつつ、少しだけプラス思考に転じられるようなヒントを紹介します。
「目の前の出来事が本当に悪いこととは限らない」と考える
小さい子供が外で転ばないようにいつも気をつけていたのに、公園でたまたま目を離した瞬間に転んで、膝をすりむいてしまったとします。
「あんなにいつも気をつけていたのに、最悪!」 「私は昔からついてない」
と思うかもしれませんが、そのおかげでお子さんは「コンクリートの上に砂が広がった場所では滑りやすい」という経験を得て、次の週に保育園で出かけたお散歩で転ばずに済むかもしれません。
ママやパパに、日頃から目の前の現象だけでよしあしを判断せずニュートラルにとらえる習慣があれば、子供にもそれが伝わっていくのではないでしょうか。
否定形ではなく肯定で話しかける
寝る時間になっても子供がなかなか寝ようとしないときに、
「早く寝ないと大きくなれないよ!」
ではなく、
「早く寝たらもっとお兄さんになれるよ」
と肯定形で話しかけると、子供が未来の結果についてプラスのイメージをしやすくなります。
おわりに
「マイナス思考」という言葉にはなんとなく悪いイメージがありますが、必ずしも短所とばかりは言えないことがお分かりいただけたでしょうか。
「でも、やっぱり子供はプラス思考でいてほしい」と思ったら、まずは自分自身がプラス思考に近づくのが一番。
毎日1つずつ自分のいいところを見つけてほめたり、毎日3分間など時間を決めてうまくいくイメージを思いうかべてみるなどもおすすめです。
文/高谷みえこ
参考/ログミーBiz「中野信子氏が解説する不安の脳科学」 https://logmi.jp/business/articles/152071