「トイレ掃除って、誰にも教わらないし、罰ゲーム的にやらされることが多い」。どうにかして、そんな悪いイメージを払拭したいと思ったのが、トイレ芸人・佐藤満春さんの原点。そんなトイレ掃除を極めたサトミツさんが明かす、キレイにするためのコツとは——

きっかけは20年前のドキュメンタリー番組

芸人や構成作家、放送作家のほか、トイレ博士や掃除マニアといった肩書きを持つ佐藤満春さん。掃除に目覚めたのは、20年近く前に放送された某ドキュメンタリー番組でのウォシュレットの特集がきっかけだそう。

 

「その番組で見た、トイレの技術革新や空間のとらえ方に感動して。そこからトイレの歴史や課題を勉強するようになりました。よくよく考えると、トイレ掃除って誰にも教わったことがないし、正しい掃除法がわからない。それにトイレ掃除は学生時代、罰ゲームの対象になるようなマイナスイメージが多いなと。

 

その2つをどうにか変えたいと思って、歴史も掃除方法もより深く勉強するようになりました。そこから掃除全体が好きになりました」

 

こうしてトイレ掃除に魅せられた佐藤さんは、トイレ掃除業者で修行することに。

 

「芸人や作家業をしながらですが、2年ほどガッツリお世話になりました。野球のスタジアムやオフィスビルなど、いろいろな現場に連れて行ってもらい、正しいトイレ掃除の方法を教えてもらったんです。ノウハウを習得していくうちに、お風呂やキッチンといった水まわりのほか、リビングや玄関などの掃除にもいかせるのではないかと思って。おうちの掃除も突き詰めようと決めました」

テレビ番組や雑誌などでトイレ・掃除好き芸人として取り上げられるようになった佐藤さんですが、そもそも芸人の活動に活かす気はまるでなかったと振り返ります。

 

「注目されるようになったのは、今から15年くらい前。たまたまバラエティ番組でトイレ好き芸人として呼んでいただいて。当時、一芸に秀でた芸人やタレントが脚光を浴びる時代で、本当に運が良かっただけです。

 

僕の場合、お笑いを始めたのも、構成作家の仕事をしているのもそうですが、自分の熱が生きる道筋になるというか。仕事につなげようと思って勉強すると、芸能界ってうまくいかないんですよね。やっぱり本当に熱がある人の話って、面白いし惹かれるものがある。そういう情熱って見ている側にも伝わると思うんです」

トイレ掃除は便器周りの床を拭くよりも

トイレ掃除を突き詰めている佐藤さんに基本について聞くと、「まずは空気の循環に着目するといいですよ」という答えが返ってきます。

 

「掃除の基本でもありますが、天井から壁面、床へと上から下に向かって掃除することが大切です。とくにトイレは狭い空間。天井や壁の上部から床に向かって掃除しないとホコリが溜まってしまいます。それに雑菌や悪臭など空気が滞留しやすいので、空気の循環をよくすることも大事。

 

だからまずは、換気扇をチェックするといいですね。カビたり、ホコリが溜まっていたりすると、空気が動かないし、汚い空気をトイレ中に撒き散らしている状態。そうならないためにも24時間換気扇を稼働させつつ、ホコリや汚れを除去しておきましょう」

 

トイレ掃除というと、どうしても便器を中心にお手入れしがち。佐藤さんがいうように、トイレを空間として捉えて掃除してみると、清潔なトイレがキープできるかもしれません。

 

PROFILE 佐藤満春さん

1978年生まれ、東京都町田市出身。お笑いコンビ・どきどきキャンプ、放送作家、構成作家、ラジオパーソナリティ。トイレの魅力に目覚め、トイレ掃除専門店の会社への修行を経て、掃除マニアに。著書に『感動の掃除術』宝島社)などがある。

文/船橋麻貴