料理の下ごしらえ

健康な身体を維持するために、食費を削るべきではないという意見があります。さまざまな栄養素を身体に取り入れる上で、必要不可欠な出費だからでしょう。

 

ですが、削るべき部分があるのもまた食費。その食費とは、買ったものの口には入らず、ごみと化してしまった分です。

 

環境省の発表によると、廃棄される食材は2017年度の推計で612万トン。このうち284万トンは家庭から出されているごみとなっています。

 

少なくともごみになってしまう食費は必ず節約できる部分。そこで今回は、食材を有効に使うための冷凍庫収納をご紹介します。

1. 一番見直すべきは「冷凍室収納」!

冷蔵庫の収納でよく目にするのはいつも使う冷蔵室部分。いつも使うから大切なところ、という認識の方も多いかと思いますが、すぐに食品がダメになってしまう冷蔵室よりも、冷凍室こそ食品を有効に使う上でとても重要な場所です。

冷蔵庫の冷凍室

冷凍室に何年も前の食材や、いつ入れたものかわからない食材がある方は、「もったいないから…」という気持ちにいったん折り合いをつけましょう。これから食材を無駄にしないことを重要視して、一度きちんとリセットをすることをおすすめします。

2. まだ重ねてる?“立て収納”こそ、食材を無駄にせず美味しく食べるコツ

食材を買ったそばから重ねて収納している人も多いのでは?でもこれは、自然に古い食材が一番下になってしまうやり方です。取り出しやすい一番上から使っていくと、下にある古い食品はさらに古くなり、その結果、食べたくなくなるような状態になってしまいます。そのせいで

 

使う気が起きないけど捨てられない食材が冷凍室を圧迫 → 入れたいけれど入らないからとりあえず冷蔵保存 → あっという間に賞味期限が切れて廃棄食品が増える

 

の悪循環が発生してしまうのです。今すぐ“立て収納”に変更して「買ったら奥に入れる → 手前から食べる」を実践してみましょう。

冷蔵庫の冷凍室

立て収納にするには、ざっくりと空間を分ける収納仕切りが必要です。わが家では上のような半透明のプラスチックケースを長く使っています。汚れたらすぐに拭いたり洗ったりでき、手軽に取り出せるので、庫内の掃除の際にも便利です。

3.きれいに詰めることよりも、無理なくできる収納法に

「冷凍庫収納」と検索をすると、同じ収納ケースがずらりと几帳面にならんだ収納画像がたくさん出てきます。見ていて気持ちがいいし、丁寧な暮らしぶりに憧れてしまいますよね。

 

でもそれは、あくまでも「詰めてきれいに見せる」ことを目的に作られた場合がほとんど。その裏側には

 

■数多くある収納ケースの洗浄

■たくさんの収納ケースの買い直し

■分類ラベルの作成

■使う度に蓋を開け閉めする動作

 

など、たくさんの動作が必要になります。

冷蔵庫の冷凍室

少なくとも仕事と家事の両立で時間がない人、子どもとの時間をどうにかして捻出したいと考えている人、家事に疲れている場合などは、それに固執する必要はありません。きれいに詰めておくことよりも、買ったものをなるべく早くきちんと食べきることを最優先にしましょう。

4.「パッケージから出す」「入れ物をなるべく使わない」で収納効率UP

アイスクリームの箱、冷凍うどんの袋、食材トレイに入ったお肉など、買ったままの状態で冷凍していませんか?

冷蔵庫の冷凍室

意外と収納スペースを取られるパッケージは、買ったらすぐ外して収納しましょう。そのほうが必要な収納スペースが減り、たくさんの食材が入ります。

厚みのある収納ケース、収納物に対してサイズが大きすぎる収納ケースについても、必要以上に場所を取るのですぐに外してみてもいいかもしれません。

5.冷凍が可能な食材は驚くほどある!

肉や魚は一般的ですが、その他にもたくさんの冷凍可能な食材があります。「え?それも冷凍できるの?」という反応が多いのが、粉ものやカレー粉、練り物など。

 

その中でも私が便利だなとつねづね思っているのが、スライスチーズ。表記されているのは開封前の賞味期限なので、「一体いつまで食べられるの?」と不安になりがちですよね。

 

ですから、冷凍しておくとちょっと安心。毎日使う訳ではないけれど、あると便利ですよ。そのままトーストにのせたり、凍ったまま細かく割るとピザ用チーズのようにも使えたりと、とても重宝しています。

 

冷蔵室をパンパンにしないためにも、冷凍室の整理をぜひ心がけましょう。

 

 

皆さんは毎日どのくらいの食品を廃棄しているでしょうか?前述の環境省調べでは、国民1人当たり毎日お茶碗1杯分の食材を廃棄してしまっているそうです。

 

安い食材を買う、食べたいものを我慢する…そんな無理のある節約に励む前に「捨てる食材を減らす食費節約」をぜひ始めてみてください。

文・撮影/瀧本真奈美
参考/環境省「サステナブルな食に関する環境省の取組について」https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000760254.pdf