パートナーどうしが抱える性の悩みは千差万別…。
そこで今回、30〜40代の女性読者に「夫婦の性にまつわる悩み」を大調査! 特に多かった質問や印象的な悩みについて、男性の性機能や不妊治療に詳しい小堀善友さんに答えていただきました。
読者からの相談
- 夫に「私のことを性の対象として見られなくなった」と言われました。結婚して25年が経ちますが、夫に飽きられてしまったのでしょうか。以前のような関係に戻るのは難しい?(N.Mさん)
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お互いの希望を話し合い、落としどころを見つけて
── 性の不一致が理由で、夫婦関係がギクシャクしてしまうケースも多いようです。
小堀さん:
最近、似たようなケースであるご夫婦が受診されました。「妻は子どもが欲しいので妊活を頑張りたい。けれど夫は性生活に積極的でなく、うまくいかない」というご相談でした。
このご夫婦の場合は、男性側の器質的な問題ではなく、妻のふくよかな見た目が気になり性欲が湧かなくなってしまったという、夫の心情の変化がおもな原因とわかりました。
── 男性は特に、精神状態が症状に結びつくことが多いのでしょうか。
小堀さん:
その可能性もありますが、私のクリニックでは男性の不妊治療に関する診療や処置はできるものの、精神的な領域は専門外です。とはいえ、目的が妊娠であるなら他の選択肢があることを説明し、夫婦で相談することを提案しました。
このケースの場合、人工授精もしくは体外受精を選択すれば、妊娠を望む妻の希望も、妻と積極的な性生活を望まない夫の希望も叶えることができます。性交渉にこだわる必要はないんですよね。
とはいえ、妻・夫のいずれかが納得できない場合は、落としどころを見つけるのは容易ではありません。デリケートな内容だからこそ、慎重に丁寧に話し合うことが必要だと思います。
良好な関係を築くにはお互いに歩み寄る努力が大切
── 年とともに性欲が減退するという話もよく聞きます。
小堀さん:
男性の性欲は加齢によって落ちる一方で、パートナーとの関係性によっても落ちることがあります。例えば、お互いが定期的に「する」ことを拒む、前述したように見た目に対して気を使わなくなることなどで関係が冷めてしまうこともあり得ます。セックスレスを避けたいなら、普段の生活に適度な緊張感が必要かもしれません。
Nさんのご質問にある「夫に飽きられたのか」については、残念ながら明確な回答はできません。というのも、妻だけに性欲が湧かなくなる場合と、単純に性欲が落ちる場合の両方が考えられるから。セクシャルアクティビティが高い場合は、妻だけでなく妻以外の人とも性交渉を持ちたくなるという人もいますし、特に個人差が大きい領域なんです。
そもそも、セックスレス自体は悪いものではなく、お互い性生活が必要ないと思っているのであれば、無理をしてまでする必要はありません。お互いの希望を話し合いながら、着地点を決めることが大切だと思います。
Profile 小堀善友さん