コロナ禍でリモートワークが続く方も多いのではないでしょうか。在宅のウェブミーティングでは、要件のみの会話に終始しがちで、同僚とのコミュニケーション不足に陥りがちです。

 

イメージコンサルタントの吉原珠央さんに解決策を伺いました。

相手のつぶやきを拾う

── 対面の場合は、ひとつの発言が派生をし、議論が盛り上がるケースがありましたが、ウェブミーティングだとなかなか難しいなと実感しています。

 

吉原さん:

そうですね。ただ、自分がいい発言をして「盛り上げなくては」と思う必要はありません。相手の方が話したいことを察知して、自然に聞いてあげるだけでもいいのではないでしょうか。

 

例えば、みんなで「夏季休暇の取得について」話していたとします。そこで「夏休み、子どもどうしよう」とつぶやく人がいたら、「あ、お子さんいらっしゃいますものね」と、リアクションを受け止め、返してみてください。相手が気持ちを話してくれます。

 

ただし、相手のリアクションを見て、それ以上、触れないほうがいい話題だと思ったときは「そうなんですね」などと相槌を打って間を置きつつ、話を軌道修正してみましょう。

 

── 対面でないと、会議の場の空気みたいなものを見逃しがちですが、ウェブミーティングでも相手の反応を拾っていくことが、必要なんですね。

 

吉原さん:

空気が張り詰めた会議などはもちろんその限りではありません。大勢の前で目立つのが嫌いな方もいるので、相手によって最低限の配慮は必要です。

 

私が相談を受けるケースでは反対に、会話が盛り上がったあと、本題に切り替えるのが難しいとおっしゃる方もいます。気づかいができる方に多いですね。

 

── そういうときはどう切り替えたらいいのでしょう。

 

吉原さん:

会話を聞きつつも、まとめを考えていくことが大切です。相手の体を気づかう言葉を活用して、キリのいい場面で「では、体調に気をつけて夏休みまで乗りきりましょう」などとまとめ、本題に移るのがいいのではないでしょうか。

頂点を目指さなくていい

── 大人数の話を聞きながらだと、難しそうですね。

 

吉原さん:

そんなにプレッシャーに感じる必要はありません。「今日うまく会話ができなかったな」と振り返られる人は、実は普段から気配りを意識する人なのだと思います。

 

頂点を目指さなくとも、円滑なコミュニケーションはできますから。自信をなくしたり、悩む必要はありません。

 

もし勇気があれば、「今日私が話した内容で過不足があれば教えてもらえますか」と聞いてみるのもコミュニケーション力をつけるひとつの方法です。

 

また、リモート会議だとイヤホンを使用していることもあり、画面を見つつも音声だけに集中している人も少なくありません。

そのため、少しオーバーに反応をしてみましょう。手を画面の見える場所に置いて、手の動きを見せたり、体を前に倒して聞くと、関心があるように見えます。

 

相手の話に驚いたら、「えー」という感じで画面から後ろに引いてみましょう。納得した時は左右に「そうね」という感じで動いても説得力が増します。ずっと動いていると相手も疲れるので、静止もしましょうね。

 

会議前にどんな風に見えるのか、動画に入る前の画面で練習し、胸上ぐらいが映る画面との距離で参加するといいですね。

 

── 複数のウェブ会議だと会話に入ることも難しいですが、どうしたら良いでしょう。

 

吉原さん:

複数人の会議では、雑音が入らないように、発言者以外はミュートしていることもあるので、人が話しているときに割って入るのはタイミングが難しいですよね。

 

例えば、会話の途中でも発言すべきタイミングでは、手を5秒間ほどあげてみるのはどうでしょう。

チャットツールでは言葉を言い換えてみよう

── オンライン会議と並行して、職場のチャットツールを利用する機会も増えてきましたが、メッセージの返信が「承知しました」ばかりになってしまって味気なく感じています。

 

吉原さん:

「承知しました」も丁寧ですね。でも「ありがとう」の方が嬉しいと思うので、まず「ありがとうございます。よろしくお願いします」と少しの手間なので足しましょう。

 

── 「ありがとうございます」も多用しすぎてしまう気がします。

 

吉原さん:

そんな時は、「嬉しいです」「光栄です」「勉強になります」などに言い換えてみると良いかもしれません。ありがとうと伝えられるのは良いことですが、言い過ぎるとありがとうの重みが薄まってしまいます。ここぞにとっておくために「さすが」なども良いですね。

 

会話の中でチャレンジしてみて、違ったら軌道修正してみてください。粘りすぎないで良いんです。独りよがりにならない方がいいですから。

 

著書「だから、あの人は嫌われる」の前書きでも書いていますが、自分自身がうっかり「無神経な人」になって嫌われていないか、相手を傷つけていないか気づくことが大切です。

 

そして、「嫌われない」ことは決して「いい人」を目指すことではなく、『必要とされる人』を目指していくことなのです。

 

── いい人を目指す必要はないんですね。

 

PROFILE 吉原珠央 

イメージコンサルタント。プレゼンテーション、コミュニケーションをメインにしたコンサルティングを行うほか、「体感して学ぶ」と言うオリジナルのメソッドで企業向け研修や講演活動を全国で実施。またストレスフリーをコンセプトにした化粧品、ファッションアイテムなどを扱う「PURA Tokyo」を立ち上げ、会社を経営。著書は「『また会いたい』と思われる人の38のルール」「その言い方は『失礼』です!」「だから、あの人は嫌われる」など多数。

取材・文/天野佳代子