現在妊娠中の人・育休中の人の中には、すでに保育園探しを始めている人も多いと思います。

 

自宅と職場が比較的近い場合は、エリア内で条件や雰囲気などを比較して第一希望の園を絞り込んでいけば良いですが、職場が他の市町村で遠い場合「職場近くの園に入れないかな…」と迷ってしまうのではないでしょうか。

 

また、現在は自宅近くの保育園に通っているけれど、転勤転職や離婚などにより市外に引っ越したらどうなるのか、里帰り出産で上の子が実家近くの園へ入園・転園できるのかと気になっている人もいるでしょう。

 

実は、居住地や希望するエリアの状況によって入園・転園できるかどうかは異なってきます。

 

そこで今回は、市区町村外の保育園に入園を希望する場合の基本的なルールや、迷った時の判断基準のヒントを紹介します。

市外からの保育園入園ルールはどうなっているのか

まずは保育園(保育所)受け入れのルールはそもそもどうなっているのか見ていきましょう。

認可・認証保育園(保育所)の基本的な受け入れルール

自治体の認可・認証保育園(保育所)では、運営費用に住民の税金が使われているため、その自治体の子供限定または優先で受け入れるのが基本です。

 

なかでも、東京・首都圏をはじめ人口と待機児童の多い自治体では、市外の児童を受け入れていないことが多く、例えば京都市のホームページでは以下のように説明があります。

京都市内への通勤を理由に京都市の保育施設・事業所は利用できません。 京都市外にお住まいの方は,利用開始日までに京都市内に転入する場合や,里帰り出産のために一定期間のみ京都市内にお住まいになる場合のみ,利用申込みができます。

ただ、待機児童の人数などによっては、市区町村外に住んでいる子の受け入れが可能なことも。

 

また、地域によっては、両親のいずれかが通勤していたり、里帰り出産に限って受け入れ可能だったり、保育園ではなく幼稚園や認定こども園のみ受け入れたりする自治体もあります。

 

いずれも市町村ごとに独自の受け入れ基準が定められており、年度によって変わることもあるので、まずはホームページや電話で確認してみるのが確実です。

認可外保育や事業所内保育はケースバイケース

いっぽう、通称「無認可保育園」「認可外保育園」などと呼ばれる民間の保育施設では、居住地や勤務地について制限を設けていないことがほとんどです。

 

また、企業がおもに従業員のために自社で用意している「企業主導型保育施設」「事業所内保育施設」でも、社員の場合は居住地を問わず受け入れてくれます。

 

ただし、企業主導型/事業所内保育施設には、一定の割合で地域の児童を受け入れる枠があり、その枠では通常は市区町村内の子供のみ入所可、または優先されます。

転居する場合は市外やエリア外から通えるの?

転勤・転職や新しく家を建てる場合、または離婚や再婚・親との同居など、さまざまな理由で市外に引っ越すとき、保育園はどうなるのでしょうか?

 

引っ越し先の保育園に転園したい場合は、入所する時点で住民票があれば、ほぼすべての自治体で受け入れ可能です。(※ただし、待機児童が多いなどの理由から、すぐに希望の園に入れる保証はなく、あくまでも「資格がある」という観点の話です。)

 

反対に「隣の市に引っ越すけれど、引き続きこの園に通わせたい」という場合は、もとの自治体のルールで「住民のみ」と決まっていれば、退所して新しい保育園を探す必要があります。

 

名古屋市のホームページには以下のような記載があります。

名古屋市外に住所がある方は、名古屋市内の保育所を利用することはできませんので、名古屋市外に住所が変更となる場合は、施設を退所いただくこととなります。

どちらも選べる場合、迷ったらどうする?

では、現在住んでいる自治体と転居先の自治体、いずれも通える範囲にあり、市区町村外の児童も受け入れ可能…という場合は、どう判断したらよいでしょうか?

 

実際に引っ越しを経験したママ2人に体験談を聞いてみました。

 

お子さんがあと1年で小学校入学というタイミングで、隣の市に新居を建てて引っ越したJさんは、転園せずに同じ園で卒園したといいます。

 

「小さいときからの友達と離れるのは子ども自身が淋しいと思ったので。ただ、引っ越し先の小学校が地元の園からでがっちり固まっているようなところだったらスタートでなじめない可能性があると思い、小学校に相談してみました。すると、3つの幼稚園と2つの保育園からの子が混在しているとのことだったので安心しました」

 

お子さんが2歳のときに転職したYさんは、

 

「前の職場は5時に会社を出て5時半には迎えに行けたのですが、新しい職場からは乗り換えが増えて、シミュレーションしたところ、6時半ギリギリになってしまいそうでした。そこで、夫と私の職場の中間にあり、どちらも定時に出れば6時までに迎えに行ける園に転園希望を出しました。2歳だったので、すぐに新しい園にも慣れることができました」

 

と転園の理由を話してくれました。

 

転園するべきかするべきでないか迷ったら、保護者の通勤や送迎などのしやすさと、環境の変化によるお子さんへの負担を考え、何を優先させるかを判断するのがポイントです。

おわりに

市外からの保育園への通園は、都市部を中心に多くの認可・認証園では認められていませんが、通勤や保育時間などの事情で選択肢に入ってくることもありますよね。

 

今回の記事も参考に、どういう施設や条件ならば可能なのかを確認し、ベストな通園先を検討してみて下さい。

文/高谷みえこ
参照/内閣府「子ども・子育て支援新制度における利用調整等について 別添」 https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/administer/office/pdf/s11-2.pdf
京都市:保育利用に関するよくある御質問 https://www.city.kyoto.lg.jp/hagukumi/page/0000274557.html
名古屋市:保育所等の利用に関するよくある質問(FAQ) https://www.city.nagoya.jp/kurashi/category/8-14-4-1-6-0-0-0-0-0.html