3年前にNHKを対局し、フリーに。不妊治療の末、今年の4月には長女が誕生するなど、40代になってもチャレンジの連続。そんな研究熱心で、努力家の素顔に迫ってみました。
育児を第一に掲げる白髪パパの苦労
── 50歳の誕生日(6月10日)おめでとうございます。50代の抱負はありますか?
登坂さん:
子どもが生まれて2か月くらいですが、育児を一番の目標にしたいですね!世の中が変わっても自力で生き抜いていける元気な子になってほしいので、この10年は育児に専念したいです。
── 素敵な目標ですね。育児は、どんなことをしていますか?
登坂さん:
母乳を与えること以外ですかね。ミルク、オムツ交換、沐浴(もくよく)に、夜泣きをあやすことなど、自分にできることは全部やるという気持ちでやっています。
── “白髪のパパ”ということで、50歳の育児に苦労はありませんか?
登坂さん:
こんなにも、全身を使う重労働とは思いませんでしたよ! 月に3回はマッサージに行っています。子どもを抱くときなどに、想像以上に身体のバランスが崩れているようです。
先日も、しゃがんで荷物を取り上げるときにくしゃみをしたら、腰に違和感が! 生まれて初めてコルセットを購入しました。実は、今もしています(笑)。
年齢を重ねて
── 身体を整えるために気をつけていることはありますか?
登坂さん:
最近はジムでトレーニングしていますが、子どもを持ち上げるときも、今後は身体の左右のバランスも考えて、鍛えていきたいですね。
── 育児は若いときに限りますか?
登坂さん:
基礎体力は、若いときのほうがあるとは思いますが、年をとってからは精神的な余裕がありますね。
フリーになり、毎日出社する必要がなくなり心の余裕が生まれたからなのか、子どもが泣いても、ただただ可愛いと感じています。
あやすのもコミュニケーションのひとつなので、何で泣いているんだろうかとか、泣き方が変わってきたなとか、考えながら楽しくやっています。
仕事9割、プライベート1割…残りの人生これでいいのか
── 3年前にフリーになったときは、余裕ある育児なども見越しての選択だったのですか?
登坂さん:
それはまったくありません。当時は20年以上NHKに勤めていましたが、これ以上、新しいことはできないのではないか、という思いが出てきました。
仕事が9割、プライベートが1割という状態にも疑問をもちはじめていました。
さらに当時、妹が亡くなったこともあり、残りの人生このままでいいのか、と考えるようになっていました。
そのときに声をかけてもらい、今の所属事務所にお世話になることになりました。
NHK時代は視聴率を意識
── NHK時代から、さまざまなチャレンジをしていたんですね。
登坂さん:
私はアナウンサーでしたが、制作者のひとりだという意識もあり、どうすれば、より多くの視聴者にみてもらえるかを考え、提案していました。
東京で正午のニュースを読んでいたころは、裏番組がタモリさんの『笑っていいとも!』だったので、“(視聴率が)今週はうちの3勝だ!”などと、意識していました。
── 視聴率を民放ほど意識しないと言われるNHKで、意外ですね。東京を離れてからは、いかがでしたか?
登坂さん:
40歳になったころ、札幌放送局に異動しました。そこでも北海道の視聴者は何を求めているのかを研究しました。
すると、天気予報がよく視聴されていることに気づきました。天気を気にする理由は、農業や漁業、酪農従事者が多く、死活問題だからです。
だから、天気を伝えるときには、そこを意識して、ひと言添えるようにしていました。
オリンピック選手にほめられて指導員にまで…
── 北海道時代はカーリングも始めたそうですね。
登坂さん:
はい。カーリングが盛んな北見市の特集番組を放送するときに、私の投げたストーンを本橋麻里さんたち選手がスウィーピングするという映像を撮影したことがきっかけです。
みんなに”上手ですね”とほめられて、その後は趣味に発展し、指導員の資格も取りました。
カーリングはオリンピア、子どもから高齢者までがひとつのリンクで、楽しめる生涯スポーツなので、みなさんにおすすめしたいです。
TikTokで『M』達成!フリーになってからのさまざまな挑戦
── フリーになり、バラエティー番組に出演してみていかがでしたか?
登坂さん:
バラエティーは、見て楽しむ番組だと思っていたので、出演する側になると想像以上に集中力や頭の回転が必要だと感じました。
ダウンタウンの浜田雅功さんに頭をはたかれたのも、いい経験になりました。
── TikTokやYouTubeなどのSNSも発信されていますが、何がきっかけで始められたのですか?
登坂さん:
特にTikTokは、若者が多用するツールということで、若者に私を知ってもらいたい、興味を共有したいと思いで発信しています。
見よう見まねでやったダンスの投稿に『M』(ミリオン=100万視聴回数)の文字が出たときは、感激しましたね!
── 最近は相撲実況にも挑戦されていますね?
登坂さん:
スポーツ実況は、アナウンサーでも簡単にできるものではありません。しかも、私の大相撲への興味は8歳がピークだったので…私に務まるのかな? と思いました。
でも、そんな私で構わないと言っていただき、それなら自分にできることをやろうと思い、土俵にまく塩の話など素人目線で話をさせてもらいました。初心者の方にも、興味をもってもらえたらうれしいです。
ある種の鈍感力を
── 30、40代になってからの挑戦には、二の足を踏む人も多いと思いますが、どう心がけたらいいですか?
登坂さん:
誰かに何かを言われても、ある種の鈍感力をもつことかもしれません。自分の気持ちを大切に、自分の道を歩んでみるのもオススメです。
…
いろいろなことに挑戦されてきた登坂さんの言葉は、とても説得力がありました。
PROFILE 登坂淳一さん