仕事をする女性

ワークライフバランスとは「働くすべての方々が、『仕事』と育児や介護、趣味や学習、休養、地域活動といった『仕事以外の生活』との調和をとり、その両方を充実させる働き方・生き方」のこと。

 

仕事がうまくいっていると生活面でも心のゆとりを持つことができ、また、私生活が充実することで仕事のパフォーマンスも上がるという好循環を目指します。

 

自分らしく働きながら家族との暮らしも大事にしたい ── 。働き方が多様化する今、そんな思いで自身の「ワーク」の部分を見直す人が増えています。

 

今回、最近仕事面で変化があったという3名のワーキングマザーに登場いただき、現在の働き方と満足度、ワークライフバランスの考え方から今後目指す働き方まで、本音を語ってもらいました。

 

座談会に参加したのは以下の3人

  • 加藤美佳さん(37歳)/教育関係事務企画(業務委託)。大分県在住。6歳(長男)と3歳(次男)のママ。
  • 佐原由美子さん(35歳)/食品商社のマーケティング職(正社員)。東京都在住。6歳(長女)と4歳(次女)のママ。
  • 松田香織さん(仮名・34歳)/外貨両替会社の事務職(契約社員)。東京都在住。7歳の男の子のママ。

 

子どもの成長で働き方を変える選択肢も悪くない

── まずは、皆さんの現在の仕事の内容と働き方について教えていただけますか?

 

加藤さん: 子ども向けのオンライン授業を配信している会社で事務や企画の仕事をしています。業務委託契約なので特に決まった業務時間はないのですが、基本的に9時から14時までリモートワークで働いています。

 

実は、この仕事は2か月前から始めたばかりなんです。モニターのバイトで今の会社の座談会に参加した際に、「意見が面白かったので、うちで企画職として働きませんか?」と声をかけていただきました。

 

佐原さん:

食品の商社で正社員として働いています。私も加藤さんと状況が似ていて、前の会社の先輩に声をかけていただき、1か月前に入社したばかり。

 

小さな会社なので、マーケティングから広報まで担当分野が幅広く、今は仕事を覚えるのに精一杯です。本来は週1回の出社ですが、早く仕事を覚えたいので週2~3回出社して、他の曜日はリモートワークで働いています。

 

松田さん:

金融系の会社で契約社員として外貨両替の事務をしています。4年前に入社して以来、ずっと9時から15時の時短勤務です。今は週1回程度出社し、あとはリモートワーク。

 

これまで海外出張や旅行などで外貨が出回る時期はかなり忙しかったのですが、コロナ禍で外貨の需要が減り、今はだいぶ緩やかに働いていますね。小さな会社で社員同士の仲が良く、社長や上司も子育てに理解があるので、いろいろと融通もきき、非常に働きやすい環境です。

 

── 皆さん、お子さんが生まれるまでは、どんな働き方をされていたのですか?

 

加藤さん:

食品販売会社で店長として働いていました。イベントを頻繁に企画してスタッフ一丸で店を盛り上げるなど、自分の裁量で働くことが可能だったので、やりがいを感じていましたね。

 

出産を機に仕事を退職し、在宅でモニターやライティングなどの内職を2年ほど続けていたのですが、子どもが3歳になり、そろそろ本格的に仕事を再開したいと思っていたタイミングで今の会社に声をかけていただいたんです。

「まだ始めたばかりだけど、とてもやりがいのある仕事に就けて嬉しい」と話す加藤さん。

 

佐原さん:

私は新卒で損害保険会社に入り、その後、転職をして広告会社で働いていたのですが、夫の海外転勤で会社を退職し、1年間アメリカで過ごしました。

 

201912月に帰国して、その後は以前働いていた損害保険会社で9時から15時勤務のパートタイムとして復職しました。しばらくパートとして働き続けるつもりだったんですが、今の会社で働く先輩から「未経験でもいいから、マーケティングをやってみない?」と誘われたのが転職のきっかけです。

 

今年から上の子が小学生になり、そろそろ自分のキャリアを磨いていきたいと思っていましたし、これまでやったことのないスキルが身につくチャンスだと決断しました。今は毎日忙しいですが、ワクワクしながら仕事ができていることが嬉しいですね。

 

松田さん:

私の場合は、新卒で入社した英会話学校が1年で倒産してしまったんです。どうせなら語学力を身に付けようとアメリカへ行き、アミューズメントパークでウエイトレスをしたり、美容部員として5年ほど働きました。

 

帰国後、結婚して京都の百貨店で美容部員をしていたのですが、出産を機に退職し、夫の仕事の都合で関西から上京。しばらく家庭に入っていたのですが物たりなさを感じて、ファミレスのパートから仕事を再開し、語学を生かせる今の会社に入りました。

座談会顔写真1
松田さんは「仕事をしていないとだらけてしまうし、メリハリのない生活が苦手」だと言う。

通勤のない働き方がママの働く意欲を支えた

── 仕事とプライベートのバランスを図ることが、特に仕事面でプラスに作用すると言われていますが、パートからフルタイムに戻すなど、働き方が変わると生活リズムも違ってきますよね。何か工夫されたことはありましたか?

 

佐原さん:

当初は、うまく回るか不安もあったのですが、今のリモートワークの環境に助けられています。上司に確認をとれば、子どものお迎えや習い事に連れていくこともできるので、かえって時間の工面がつけやすいと感じています。これまでも17時まで子どもたちを幼稚園に預けていたので、生活リズムはそれほど変わっていません。

 

加藤さん:

私もリモートワークができる現状に助けられていますね。上司の許可をとって、家事や子どもの世話がひと段落したあと、夜に仕事をすることもあります。

本当は家族全員でワークとライフの最適化をすべきなんだけれど…

── パートナーが外国人だと、“育児も家事もフィフティ・フィフティ”というイメージがあります。ワークライフバランスを夫婦で意識する場合が多いのかなと感じますが、チャンバース家では実際はどうですか?

 

松田さん:

特に育児に関してはよくやってくれるので助かります。料理もしますね。ただ、うちの夫は凝り性で、そのメニューにしか使えない高い調味料や使い回しができないものを買ってくるのにはちょっと困っています…。

 

── “夫の家事あるある”は、万国共通という感じでしょうか(笑)。

 

佐原さん:

うちの夫は全然やってくれないので羨ましいです。リモートワークが難しい職種ということもあり、平日の夜はほぼいないので、完全にワンオペ状態で。その分、夕飯は外で食べてきてもらい、家事の負担を減らすようにしています。家にいるときは子どものめんどうはよくみてくれるので、まあいいかなと。ちょっと諦め気味です(苦笑)。

 

── 不満がたまってぶつかったり、話し合いをしたりしたことは?

「夫の仕事の状況的に家事分担が私に偏っても責められない。どうすれば自分がラクになるかを追求している」と話す佐原さん。

 

佐原さん:

ありますよ。アメリカにいた時は、17時には帰宅してご飯を作ったり、家事もよくやってくれていたので、帰国直後は不満が溜まってしまい「アメリカで就職したほうがいいんじゃない!?」と気持ちをぶつけたことも…。でも、しばらくしたら夫が居ない平日の生活に慣れてしまった感じです。

 

その代わり、“便利家電は好きに買っていい”というルールを夫婦で決めて家事を効率化したり、疲れたときはウーバーイーツを頼んだり、掃除サービスを利用したりしていますよ。

 

加藤さん:

わが家もはじめは家事分担には苦労しました。手が離せないときは手伝ってほしいと思うこともあったのですが、夫には「(具体的に)これをしてと言ってほしい」と言われましたね。今はお互いが伝え方を変えていったことで、うまくコミュニケーションが取れるようになってきました。

 

それに最近は、6歳になる長男が先に声をかけてくれるんです。「ねえパパ、食べ終わった食器なんで洗わないの?」って。子どもにそう言われると、すぐ洗ってくれますね(笑)。

 

夫も子どもも家事を手伝ってくれるようになったことで、私も仕事を再開できるようになったし、家族の協力のおかげでスムーズになる部分が多くなりました。

 

 

家族全員を巻き込み、便利家電や外部サービスをうまく活用することが、ワークライフバランス向上の秘訣のよう。次回は将来のワークライフバランスについて、それぞれの思いを伺います。

 

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取材・文/西尾英子