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仕事に子育てに追われていると、食事作りがおっくうになることもしばしば。本当は栄養のとれるご飯を自炊したいし、子どもの食育だってしたいけど、これ以上、時間も手間もかけたくない…。

 

自炊の面倒さは、どうしたら解消されるのでしょう。献立作りのストレスを減らすには?「家族で料理」を叶える方法は?

 

「ごちそんぐDJ」(Eテレ)でもおなじみのDJみそしるとMCごはんさんが、自炊のハードルを下げるさまざまなアイデアを提案します!

米だけ炊いてもそれは自炊だよ!

── 自炊のハードルは、どうしたら下がるのでしょう?

 

DJみそしるとMCごはんさん:『ジャスタジスイ』という曲で「米だけ炊いてもジャスタジスイ」と歌っているんですが、自分や家族のために食卓を整えたなら、それは自炊だと思うんです。

 

スーパーで選んだお惣菜を並べてレトルトご飯を温めるのだって、立派な自炊。料理することだけが愛情じゃないし、あんまりプレッシャーに感じないでほしいですね。

 

自炊のハードルは人それぞれですが、おいしいおかずを作らなきゃ、何品も作らなきゃと思う人には、ご飯がおいしく炊ける高性能の炊飯器がおすすめです。

 

ご飯がおいしいと食卓のレベルが底上げされるので、ご飯に味噌汁とおかず1品で十分に満足できるはず。おかずをたくさん作らなくていい分、食費も浮きます。

 

── いいアイデアですね。野菜はどうやって補えばいいですか?

 

DJみそしるとMCごはんさん:野菜は、土井善晴先生にならって、季節の野菜を味噌汁にいっぱい入れればOK。

 

私もこれを実践するようになって、「野菜とれてる」って思えるようになりました。詳しくは『一汁一菜でよいという提案』(グラフィック社)を読んでみてください。

 

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お米をもっとおいしく食べるために、無洗米ではなく洗って炊くお米にしてもいいかもしれません。栄養バランスが気になるなら、白米を玄米に変えてもいいし。

 

いつもと違うお米も食べてみるのも面白いですよ。「ゆめぴりか」とか「新之助 しんのすけ」とかかわいい名前のお米もあるので、スーパーで名前買いしてみたり。

 

食事のとき、「今日のお米なんて名前だと思う?」「ゆめぴりかっぽい味する?」なんてコミュニケーションもできるかも。

「1人で作るのが当たり前」のレシピにイラッと…

── 食事担当になっていることを重荷に感じる人もいそうです。

 

DJみそしるとMCごはんさん:みんなで食べる料理でも、1人で作るのが当たり前とされていますよね。

 

以前から、2人分以上のレシピでも、1人で作業するのに適した形で書かれていることに、イラッとしてたんですよ。だから最近は、どうやったら2人以上で料理ができるか考えています。

 

たとえば、料理する人は日替わりで豚肉、鶏肉、牛肉、魚を味をつけずに焼く、または蒸すだけ。味付けは、食卓にいろんな調味料を並べておいて、食べるときに各自でする。

 

作る人は焼くこと、蒸すことだけに集中できて、職人的に楽しめそうです。食べる側も、ひと口ごとに違う味が楽しめるなんて最高だし、普段は料理をしない人もだんだん調味料の加減がわかるようになります。

 

調味料は、塩、しょうゆ、マヨネーズ、ケチャップ、ポン酢、バター、カレー粉、食べるラー油、ゆずこしょう、かんずり…。「この組み合わせ、めっちゃおいしいよ!」って家族でコミュニケーションしながらね。

 

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── 家族でスーパーのスパイスコーナーへ行って調味料を選ぶのも楽しそうです。

 

DJみそしるとMCごはんさん:もう一つおすすめなのが、「ごちそんぐDJ」でも紹介したマスタースープ。お鍋にしめじ、ジャガイモ、にんじん、玉ねぎ、豚肉を入れて味つけせずにグラグラ煮ておいて、食べる時に食べる人が味をつける。

 

味噌を入れれば豚汁になるし、塩・コショウならポトフ、トマト缶ならミネストローネ、カレールーやシチューのもとを入れてもOK。これなら大人はもちろん、子どももある程度大きくなったら自分で食事の用意ができます。

味付けは目玉焼きにしょうゆをかける感覚と同じ!

── 毎日の献立づくりに悩む人はどうしたらいいでしょう?

 

DJみそしるとMCごはんさん:いくつか、レシピを見ないで作れる料理や味つけのレパートリーを持っておくといいですよ。料理なら、合わせる具材で味が変わる味噌汁や塩豚がおすすめ。塩豚は豚肉に対して1%の塩を振ったもの。一週間ぐらいは持つので、まとまった量を作っておいて少しずつ使うと便利です。

 

味つけなら、私は「バタポン」。お肉や野菜を炒めて、最後にバターとポン酢を1:1で入れるだけでなんでも美味しくなります。しょうゆ、酒、みりんを1:1:1で入れて仕上げる照り焼きも、応用が利きます。

 

「調味料の量はどうすればいいの?」って思うかもしれません。でも、みんな目玉焼きにはちょうどいい量のしょうゆをかけられるじゃないですか。調味料を入れるときは、その感覚を思い出せばいいんです。味がたりなかったら、食べるときに足せばいいし。

 

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── 楽しく料理をするためには、どんな工夫ができますか?

 

DJみそしるとMCごはんさん:

私なら、キッチンにいる自分が好きになれるように、かわいいエプロンを着るとか、キッチンにあるだけでうれしくなる道具を使うとかかな。

 

料理の道具はひいては家族のためのものだから、課金していいんです。ご機嫌で料理できたら、それが味にも出て、食べた家族もそりゃ元気になりますよ。

 

コンロの数や調理台などのせいでやる気が出ないなら、キッチンを重視した物件に引っ越してもいいと思うぐらいです。自分に合うキッチンの間取りもあると思います。コックピットみたいな狭いキッチンが集中できる人もいれば、家族が見えるカウンターで料理したいという人もいますよね。

 

美味しいものを作って食べるって、本来はすごく楽しいこと。楽しんで料理できるようにはどんな環境がいいのか、今一度考えてみてもいいと思います。

 

PROFILE 

DJみそしるとMCごはん(でぃーじぇーみそしるとえむしーごはん)さん

「おいしいものは人類の奇跡だ!」をモットーに、トラック、リリック、アートワーク、Music Videoなどを自ら制作し、料理と音楽の新たな楽しみ方を提案する、くいしんぼうヒップホッパー。 “音楽×料理”番組「ごちそんぐDJ」(NHK Eテレ)にレギュラー出演中。著書に絵本『みよこ』『となりのおやつ』(ともに神宮館)がある。

取材・文/有馬ゆえ 撮影/河内 彩