妊娠中は、大きくなったおなかを支えるために、骨盤が開いて、まわりの骨格も変わってしまいます。
産後はじょじょに元の骨格へと戻っていきますが、ママは育児や家事に忙しく自分の身体のケアは後回しになりがち。
そこで、妊娠中や産後に「骨盤ベルト」や「サポーター」を使って適度に腰をホールドすることで、骨盤のゆるみ予防や回復の助けが期待できます。
骨盤ベルトの時期はいつからいつまで使べきなのか、どんなタイプがおすすめなのか…などを先輩ママたちに聞いてみました。
「骨盤ベルト」とは。腹帯とは違う?
妊娠中から産後半年頃までのあいだにはエストロゲン・プロゲステロン・リラキシンといったホルモンの分泌が増えます。
これらのホルモンの作用で、骨盤まわりの靭帯や関節が弛緩して骨盤がゆるみがちになるため、腰や足の付け根が痛んだり、産後の体型が戻りにくくなるといわれています。
上記を軽減するために、無理なく腰を支えるのが「骨盤ベルト」や「骨盤サポーター」で、「妊婦帯」と呼ばれることもあります。
細めのベルトで腰とおなかを下から支える骨盤ベルトのほか、幅広ベルトタイプ、腹巻きとベルトが一体化したもの、ガードルタイプなどいろいろな商品が売られています。
昔からあるさらしの「腹帯」も、大きくなったおなかを支えるという点では骨盤ベルトと同じ働きをします。
また、おなかを衝撃から守り保温する役目や、神社で「戌の日」に御朱印を押してもらっておなかに巻くなど安産祈願の意味合いもありますね。
ママたちに聞く!骨盤ベルトやサポーターはいつからいつまで使ってた?
今回は、妊娠出産を経験したママ50人にアンケートを実施し、骨盤ベルトやサポーターを使用していたかどうか、また使用していた人はいつからいつまで使っていたのかを聞いてみました。
その結果は以下のとおりです。
【骨盤ベルトやサポーター、腹帯は使用していましたか?】
- はい…46人(92%)
- いいえ…4人(8%)
92%とほとんどの人が、なんらかの形でベルトやサポーターを使用していたことがわかります。
【どのタイプを使っていましたか】(複数回答あり)
- さらしの腹帯…23人
- ガードルタイプ…18人
- 骨盤ベルトタイプ…15人
- 腹巻きタイプ…12人
- サポートベルトタイプ…11人
昔ながらの「さらしの腹帯」と答えた人が最も多かったものの、やはり毎日巻くのは大変。
戌の日の安産祈願ではさらしの腹帯を巻き、普段は手軽に装着できるサポーターを使っていた人も多いようです。
【妊娠中は何か月から使用していましたか】
- 妊娠5か月頃…27人
- 妊娠8か月頃…7人
- 妊娠中は使用していなかった…7人
- 妊娠がわかってすぐ…3人
- 妊娠3か月頃…2人
こちらも、妊娠5か月の最初の戌の日に安産祈願で腹帯を巻き、それから使い始める人が多かったようです。
また、実際におなかが出てきて体型や姿勢が変わるのも5か月を過ぎた頃から…という人が多く、この時期からは適度なサポートがあると動きやすくなるという理由も。
そのほか、妊娠直後から「なんとなくおなかを守りたくて、ゆるめの腹巻きタイプのベルトを巻いていました」という人や、「妊婦に配慮された設計とはいえ、やっぱり締め付け感が合わなくて、一度も使いませんでした」という人もいました。
【産後は何か月まで使用していましたか】
- 産後1か月頃まで…14人
- 産後2か月頃まで…13人
- 産後は使用していない…12人
- 産後半年頃まで…6人
- 産後3か月頃まで…1人
一方、出産後は、出産後にゆるんだ骨盤まわりの骨格や筋肉を理想的な位置に戻す手助けや、赤ちゃんのおむつ替えやだっこでひんぱんにかがむ時、腰の負担を和らげるために使っていたようです。
産後3週間ほどできるだけ安静に過ごす「床上げ」や、里帰りから自宅に戻ったりお宮参りに行ったりする産後1~2か月で、そろそろ身体も回復したかな?と使用をやめた…という人が比較的多くいました。
また、夏場に出産した人を中心に、「暑苦しくて使い続けられなかった」という声もありました。
骨盤ベルトやサポーター使ってみてどうだった?先輩ママの体験談
最後に、先輩ママたちがどんな骨盤ベルトやサポーターを使っていたのか、また使ってみての感想を教えてもらいました。
「妊娠3か月頃から、おなかは目立たなくても微妙に姿勢や身体のポジションが変化してきませんか?もともと腰痛持ちだったのもあり、かなり腰にきてしまったので、戌の日を待たずにサポーターを買いました。産後も腰が心配だったので、忘れないように、ショーツとニッパーが一体化したタイプを常に使っていました」(Sさん・30代)
「私はおなかが大きくなって重くなってきた妊娠8か月頃、太めのベルトを巻き付けるタイプのサポーターを買ったのですが、私には体型と合っていなかったのか、仕事でちょっと動くとずれてしまってストレスに。細めでおなかの下に装着する骨盤ベルトを買い直し、産前休業中もそれをつけて毎日散歩してました」(Uさん・20代)
「産後半年くらいは、関節や靱帯・皮下脂肪などが流動的になっていて、うまく補正下着などを使えば妊娠前より理想の体型に近づけるかも?と聞いて、ちょっと面倒だけどがんばりました。さすがに理想の体型に変身!とまではいかなかった気がしますが(笑)、まずますスムーズに体型は戻った気がします」(Nさん・30代)
おわりに
骨盤ベルトやサポーター、産後のウエストニッパーなどは、忙しいママの強い味方。
メーカーのサイトなどを見ればそれぞれのタイプの特徴が分かり、正しいつけかたの動画を見ることもできます。
自分に合ったタイプの骨盤ベルトやサポーターを見つけて、おなかを圧迫したりずれたりしないよう、正しく装着して快適に使って下さいね。
文/高谷みえこ
アンケート実施時期/201年5月 アンケート方法/インターネット 実施人数/n=50人(20代〜40代女性)
参考/宮崎大学「妊産褥婦における骨盤支持の目的と方法および効用に関する文献検討」 http://www.med.miyazaki-u.ac.jp/home/kango/wp-content/blogs.dir/65/files/2015/09/a1c72a040a104c35b0566ac4b9c69c6c.pdf