2022年の4月から、高校の授業で株式投資などの資産形成について学べるようになる-そんなニュースが流れています。

 

「私たちの頃はそんなのなかったよね」 「株って、お金が余っている人だけのものってイメージ」 「株価が下がったらソンするんじゃないの?授業で教えちゃって大丈夫?」

 

と思う人もいるかもしれません。

 

そこで今回は、高校ではいったいどの教科でどのような「金融教育」を学ぶのかを紹介します。

ママ・パパの時代とまったく違う令和のお金事情

2021年。今あなたが30歳だとすると、あなたの生まれた1990年前後は、銀行や郵便局に100万円を1年間預けるだけで数万円もの利子・利息が受け取れる時代でした。

 

しかしその後どんどん預金の利率は下がり続け、現在、定期預金の金利はほとんどの銀行で0.002%、インターネット銀行でも0.01%などが多く、100万円を預けてもわずか10円程度しか受け取れない…という状態が当たり前になっています。(※2021年5月現在。)

 

また、このまま少子高齢化が進めば、長い老後の生活費を人数の少ない若い世代が支える構造が続き、定年までにおさめる年金額が増えたり定年後に受け取れる年金額が今より減ったりする可能性もあります。

 

その一方で会社員の平均賃金は、右肩上がりだった昭和の時代と違い、この30年間近く、ほとんど停滞どころか時には下がるという状況です。

 

つまり、お給料が毎年増えてまじめに貯金していれば順調に利子がつき年金も十分にもらえていた時代と現在とでは、老後のお金事情は大きく異なっているといえます。

 

そこで国は、子どもたちが将来お金で困ることがないよう、2018年に告示した「高等学校学習指導要領」で、資産形成の方法として「投資」を高校での授業内容に組み込むことを提言しました。

高校では具体的に何を学ぶの?

高校で、2022年から金融教育や資産形成を学ぶ教科は、おもに「公民」と「家庭科」となっています。

 

公民では、

金融を通した経済活動の活性化について多面的・多角的に考察、構想し、表現すること

を目的として、いくつかの金融商品や投資計画をグループで比較し、どれがよいのかを話し合ったり、お互いに評価しあったりする…といった授業内容になる見込みです。

 

どのような時に株価が変動し利益や損失が出るのか、投資先の選び方などを高校時代に知ることで、将来、リスクを正しく知って運用を始められると期待されています。

 

また家庭科では、

預貯金、民間保険、株式、債券、投資信託等の基本的な金融商品の特徴(メリット、デメリット)、資産形成の視点にも触れる

と、将来の家計管理や教育・老後資金形のために、節約や貯蓄以外の選択肢も周知していくことになるようです。

 

また、「情報コンテンツと情報デザイン」の単元では、インターネットを通じて金融商品の情報をリサーチし、データベース化して運用する方法なども学ぶとされています。

 

ママ・パパの世代からすると、家庭科の授業で「NISAについて」「金融商品の選び方」などを教わる…と思うと、ちょっと不思議な感覚かもしれませんね。

おわりに

2022年4月には、成人年齢もこれまでの20歳から18歳に引き下げられます。

 

成人するとクレジットカードやローンを組むのにも保護者の同意がいらなくなるため、ぜひ18歳までに、お金についてしっかりとした知識と考え方を身につけておいてほしいですよね。

 

そのためには、ママやパパ自身も知識をアップデートしていきたいもの。

 

忙しい毎日ですが、もし「あまり知識もないし、何も資産形成できていないな」と感じている人は、少額から始められるNISAやiDeCoなどを含め、情報収集からはじめてみてはいかがでしょうか。

文/高谷みえこ
参考/日本銀行 Bank of Japan|(統計の注釈)金融市況(金利・利回り・外為レート等) https://www.boj.or.jp/statistics/outline/note/notest2.htm/#cdab0729
厚生労働省大臣官房統計情報部|厚生労働省発表「一般労働者の賃金」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2019/dl/01.pdf

文部科学省|【家庭編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 https://www.mext.go.jp/content/1407073_10_1_2.pdf
文部科学省|【公民編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 https://www.mext.go.jp/content/1407073_04_1_2.pdf