「うちは平日パパの仕事が忙しくて、週末にパパと子どもで遊ぼうとしてもなかなか慣れなくて…」という嘆きはよく聞きますよね。
しかし、それとは反対に「とにかくパパが好きで、パパのいうことなら聞く」という「パパっ子」も、数はやや少ないながらときどき見かけます。
そこで今回は、「うちはパパっ子」というお宅のママたちに、自宅での様子や、なぜそんなにパパっ子になったのかなど話を聞かせてもらいました。
「パパが甘いだけかも…」
Kさん(3歳児のママ)は、お子さんを叱るとすぐに、叱らないパパのほうへ逃げていくといいます。
「夫も私も同じように叱っていて夫のほうに行くならしかたないと思うのですが、夫は全然叱らないから、そりゃ逃げるよね…と。歯みがきとか、遊びを終わらせて片付けるとか、薬を塗るとか、子どもが嫌がることは全部私の担当ですし」
Kさんが休日に、家中の布団を干して掃除したいからパパと子どもで公園にでも行ってきてと頼んだところ、毎回公園には行かず駅前でジュースやアイスを買ったり、ゲームセンターに行ったりして過ごしていたとのこと。
「毎回、水筒のお茶が全然減っていないので、おかしいなと思って夫に聞いてみたら、最初はとぼけていたんですが、実は…と」
パパはお子さんにも「ママには内緒な」と言い聞かせていたそうです。
第三者からすると笑ってしまいそうな話ですが、Kさんは
「叱るべき時に叱らないで、甘いものやゲームをさせていたら、父親というより祖父じゃないですか?お菓子やジュースもですが、私が毎日一生懸命教えていることを守らないとき、まぁいいじゃんとか言うのを本当にやめてほしいです」
と嘆きます。
もちろん、両親が同じトーンで厳しく叱る必要はありませんが、もしママが強く叱ったら、パパが優しく「ママのいうとおりだよ」と話すなど、良い・悪いの基準は夫婦で揃えておくほうがいいですね。
「助かるけど、ママ嫌いにならないか心配」
「もうすぐ下の子が生まれるのですが、切迫早産気味で自宅安静がしばらく続き、上の娘をだっこできなかったんです」
と話すのはMさん(2歳児のママ、妊娠9ヶ月)。
「娘は以前からパパが帰ってくるとまわりを離れないなどの様子はありましたが、眠くなったときや転んだときなど、ここぞと言うときはママ(私)じゃないとダメだったんです。でも切迫早産になる少し前から、身体も思うように動かないし、娘のイヤイヤ期やトイレトレーニングなども重なって、イライラして叱ることが増えました。そうしたら、安静が解けた後も、寝かしつけから何から全部パパ!パパ!と言うようになって」
パパはよくお子さんの相手をしてくれるため、出産前後のことも考えると助かるのは確かですが、最近ではパパのいる時にMさんがお世話しようとすると拒否されてばかりで「このままでは娘に嫌われてしまいそう」と悲しくなることもあるといいます。
しかし、これはお子さんなりにママを心配して甘えないようにしているのかもしれませんし、一時的なものかもしれません。
愛情を持って育てていれば「ママ嫌い」になることはなく、いずれまたバランスが戻ってくるのではないでしょうか。
「一生分の思い出作りだと言われて」
Uさん(1歳児のママ)は、
「私は、ママ友と比べても、特に子どもに厳しすぎることもないと思うのですが…娘はとにかくパパが好きみたいで」
と言います。
「お風呂も、私が入れようとするとパパーと探して泣くので、最近はリモートワークが増えたこともあり完全に夫の担当です。特に遊ぶのは私よりもパパが相性がいいようで。たしかにパパは根気強く同じ遊びでも付き合ってくれるますが、私はある程度で切り上げないと家事ができないので…」
とはいえUさんも、ママとして毎日色々なお世話をしているのに、お子さんがパパばかりに愛情を示すことに対しやりきれない気分になってしまうといいます。
しかし、あるとき実家のお母さんにそのことを愚痴ったUさんは、お母さんから
「お父さんだって同じだったのよ、あなたが小さい時は本当にパパパパって離れなかったのに、小学校高学年あたりから急に避けるようになって、お父さんガックリしてたんだから」
と聞いてビックリしたそう。
「自分では全然そんな記憶はないんですが、様子を聞くと今の娘とよく似ていました(笑)。今は、私は父とはふつうに話しますが、そんなにお父さん大好き!というほどではないので、ああ、今だけなのかも…と思うようになりました」
そしてお母さんの「一生分の思い出を作ってるんだから、しばらく見守ってあげたら」という言葉も、とても印象に残っているそうです。
おわりに
今回は、パパのことが大好きな「パパっ子」について、3人のママから話を聞かせてもらいました。
パパのお子さんへの態度にはそれぞれ違いはありますが、基本的にはお子さんと向き合ってくれるからこそ、お子さんも近付いていくのでしょう。
とはいえ、あまりにもママに見向きもされないと「私だって親なのに…」と理不尽な気持ちになることもあると思います。
しかし、世のパパたちの大部分も、もしかしてそんな気持ちで日々過ごしているのかもしれません。
子供の興味関心やパパっ子・ママっ子度合いは日々変わっていくもの。それぞれに相手の気持ちを思いやりつつ、子供の成長を見守っていけるといいですね。
文/高谷みえこ